インシデント～楜沢健の非日常〜

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清太の実家のワイナリーでワインをしこたま購入して、勿論割引もしてもらい、途中サービスエリアに寄ったりしながら夜に健達は東京に到着した。
蓮司の自宅の前に車を停めて先に蓮司を降ろした。

「最初はどうなることかと心配したけど楽しかったよ。サンキュー」

トランクから自分の荷物を出して蓮司は健に礼を言う。

「ま、たまにはこういうのも良いもんだろ。また機会が有れば一緒に行こうぜ」

健が蓮司を誘うと、蓮司はマドカを見ないようにする。

「その時が来たら考えるよ」

正直、マドカと旅行はもう懲り懲りだと思った。
2人の間に何もなくても、余計におじゃま虫になりたく無い。

「じゃあ、また連絡するよ。お休み」

「うん。気を付けてね」

蓮司が手を振ると、健は窓を閉めながら走り去った。
蓮司が家の中に入ろうとした時だった。
ポツポツと雨が降って来て慌てて蓮司は中に入る。
健の車のフロントガラスも、あっという間に雨で濡れた。

「急に降って来たな」

ずっと天気が良かったが、突然の土砂降りに健はワイパー全開で運転する。

「良かったね。もう家に帰るだけだし」

「ああ。マドカも疲れただろ。着いたらさっさと寝ろ。頼むから、今夜は部屋に忍び込んでくるなよ」

流石に健も運転のしっぱなしで疲れているのを知っているので、マドカもそれは大人しく聞き入れることにした。

「あー、旅行の間だけだったみたい。明日からしばらく雨だよ」

マドカがスマホで天気予報を見ている。

「ずっと天気だったし、少しは雨降らないとな」

2人は会話をしながら、土砂降りの中無事に家路へと到着した。