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●アンビバレント●
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健は顧問弁護士に相談して、その伝で賢一郎の鑑定をした高槻に面会を申し入れた。
「お忙しい中、申し訳ありませんでした。でもお会いできて良かったです。楜沢と申します」
健は高槻に名刺を渡した。
「いえ。飯豊賢一郎君の事件は、私も正直謎が多すぎて、ただの尊属殺人事件で終わらせて良かったのかと気になっていたので」
高槻も健に名刺を渡すと、2人は向かい合わせでソファに腰掛けた。
「見ていただきたいのはこれです。こちらは賢一郎君のスマホ。そしてこれは、賢一郎君が中学3年の時に埋めたタイムカプセルの中身です」
スマホは健が一久から借りてきた物だった。
健は賢一郎のスマホを開いて、中の写真とタイムカプセルの中身の写真を高槻に渡した。
高槻は、タイムカプセルの中に入っていた写真を見て次第に顔色を変えた。
「これは……まさか」
「先生はどう思われますか?」
健は高槻を見つめる。高槻は、信じられないと言う顔でスマホの写真も全て確認した。
「……賢一郎君は、母親に対して、特に執着心が有ったように思われます」
高槻は自分が感じた感想を漏らす。
「それはなぜそう思うのですか?」
健は鋭い口調で尋ねる。
「恐らく、この黒く顔を塗りつぶされたのは、彼の父親だったのではないですか?」
健は頷く。
高槻が顔色を変えて見たその写真は、結婚式の写真だった。
白無垢や色打掛、ウエディングドレスやカラードレス姿の桜の隣で、どれも顔が黒く塗られた男性は、どう考えても父親の肇のはずだった。
2人がまだ結婚する前に撮られた、桜だけの写真は無傷なのに対し、ツーショットの肇の顔は、やはり全て黒く塗り潰されていた。
「賢一郎君は、極度のマザコンだったと言うことですか?それだけの理由で、両親を殺すことなどあり得るのでしょうか?」
健の言葉が強くなる。
高槻がどう答えるのか早く知りたい。
「……あくまでも推測ですよ」
高槻は前置きをした。
真実は賢一郎だけが知っているからだ。
「構いません。この写真を見た先生のご意見をお聞かせください」
「お忙しい中、申し訳ありませんでした。でもお会いできて良かったです。楜沢と申します」
健は高槻に名刺を渡した。
「いえ。飯豊賢一郎君の事件は、私も正直謎が多すぎて、ただの尊属殺人事件で終わらせて良かったのかと気になっていたので」
高槻も健に名刺を渡すと、2人は向かい合わせでソファに腰掛けた。
「見ていただきたいのはこれです。こちらは賢一郎君のスマホ。そしてこれは、賢一郎君が中学3年の時に埋めたタイムカプセルの中身です」
スマホは健が一久から借りてきた物だった。
健は賢一郎のスマホを開いて、中の写真とタイムカプセルの中身の写真を高槻に渡した。
高槻は、タイムカプセルの中に入っていた写真を見て次第に顔色を変えた。
「これは……まさか」
「先生はどう思われますか?」
健は高槻を見つめる。高槻は、信じられないと言う顔でスマホの写真も全て確認した。
「……賢一郎君は、母親に対して、特に執着心が有ったように思われます」
高槻は自分が感じた感想を漏らす。
「それはなぜそう思うのですか?」
健は鋭い口調で尋ねる。
「恐らく、この黒く顔を塗りつぶされたのは、彼の父親だったのではないですか?」
健は頷く。
高槻が顔色を変えて見たその写真は、結婚式の写真だった。
白無垢や色打掛、ウエディングドレスやカラードレス姿の桜の隣で、どれも顔が黒く塗られた男性は、どう考えても父親の肇のはずだった。
2人がまだ結婚する前に撮られた、桜だけの写真は無傷なのに対し、ツーショットの肇の顔は、やはり全て黒く塗り潰されていた。
「賢一郎君は、極度のマザコンだったと言うことですか?それだけの理由で、両親を殺すことなどあり得るのでしょうか?」
健の言葉が強くなる。
高槻がどう答えるのか早く知りたい。
「……あくまでも推測ですよ」
高槻は前置きをした。
真実は賢一郎だけが知っているからだ。
「構いません。この写真を見た先生のご意見をお聞かせください」
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