すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

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第四話

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一哉の部屋に臨が帰りに寄っていた。

「茉理と絢斗、仲直りしたかな」

気になって臨が言う。

「大丈夫だよ。直ぐ仲直りって言うか、フツーに戻るよ。まぁ、今回は珍しく、絢斗も腹立ててるみたいだったけどね」

クスッと笑って一哉は言う。

「本当に仲良いよね。特に茉理と」

赤面して臨は言う。

「そうか?茉理は揶揄いやすいからな」

楽しそうに一哉は笑う。

「羨ましいよ、そうやって一哉に大事にされてて」

臨は俯いて話す。恥ずかしくて一哉が見れない。

「僕、中学でもなかなか親しい友達できなかったし、こうやって家の行き来できたの一哉が初めてだし。でも、一哉は僕だけじゃないから」

一哉は臨が何を言いたいのか分からない。

「えーと、大事って、そりゃ友達だから茉理も絢斗も大事だよ。もちろん、臨も」

フォローになってないかなと一哉は思った。
臨が自分を慕ってくれるのは嬉しいし、正直臨が可愛い。

「……………絢斗にね、独占したい?って聞かれたんだ」

何の話か一哉は全く見えない。
何を独占したいのか分からない。

「臨?どうした?ごめん、はっきりちゃんと話して。全く話が見えない」

困惑する一哉。
臨は真っ赤な顔で一哉を見つめる。

「僕、変なんだ!一哉を、その、独占したいんだ!」

臨の告白に一哉はびっくりして臨を見つめる。

「一哉は僕の1番の友達だから、一哉の1番になりたいんだ!茉理よりも、絢斗よりも、好きに、なって欲しいんだ」

臨はそう言うと泣きそうな顔で一哉を見つめる。恥ずかしさマックスだった。

「臨。俺、臨のこと、めっちゃ大事だよ。同じ男なのに、お前のことめっちゃ可愛いし、守ってやりたいって思ってるし。って、お前は俺に守ってもらいたいって思ってないかもだけど」

一哉が言うと臨はブンブンと首を振る。

「めちゃくちゃ嬉しい。可愛いとか、守ってやりたいとか、同じ男にそんなこと言われたら気持ち悪いって思うけど、一哉にそう言われたら嬉しい。一哉の特別になりたい」

臨の言葉としぐさに一哉はクラクラする。
どうしても臨が可愛くて仕方ない。

「やべッ。どうしよう。臨が可愛すぎるんですけど」

真っ赤になって一哉は下を向く。

「一哉」

臨が右手で一哉の腕を掴む。

「…………だから、そうやって煽るなよッ」

一哉はそう言って臨の右手を握って見つめ合う。

「特別に、してくれる?」

臨が震える声で一哉に尋ねる。

「ったく。もう、特別になってるし」

一哉もドキドキしながら臨から目が離せない。

「臨…………俺、その…………………………お前と、そのッ」

臨の唇を見ながら、そのあとの言葉が出ない。
キスをしたいと思っても、していいのか分からない。
したいとも恥ずかしくて言えない。

「特別って、どう言う特別?」

臨が問い掛けてきた。一哉はハッと我に帰る。

「へ?…………って、それは、そのッ」

しどろもどろになる。

「僕を好き?」

臨は目まで潤んでいる。

「好き、だよ。特別だし、1番だし」

この先をどうしていいか分からず一哉は焦る。

「良かったぁ。嬉しい」

ホッとしている臨の顔を見て、一哉はドキドキしながらそれ以上進めない。

「これからもずっとずっと仲良くしてね!」

臨のその笑顔にキュンとなりながら、一哉は今日はキスを諦めた。
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