田辺君はずるいから

28ずるい・離れるの禁止

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諭は田辺に抱きしめられながら、田辺の背中を撫でる。
大きな身体で、大きな背中。
優しく包んでくれる田辺の優しさと温かさにうっとりとなる。

「田辺って、筋肉凄いね。腕も腹筋も、硬い」

「それなりに鍛えてますよ。元々筋肉つきやすい体質みたいだし」

「俺も高校まではテニス部で鍛えたはずなんだけどな」

その割に、筋肉ないなと田辺は諭の右の二の腕を触る。

「柔らかいと思ってんだろッ」

「柔らかいっす。腹筋も割れてないし」

本当に、無駄な贅肉もなければ、ガリガリと言うわけでもないのに、筋肉も程良くてその分肌にハリがある。
女性的な柔らかさはないが、田辺の肌にしっくりくる。

「はぁッ！…………んふッ」

へその周りを触られて、諭は真っ赤な顔で甘い吐息を放ちながらピクンと反応する。

「……………ったく。もしかしてフラグ？」

ニヤリと笑う田辺。諭は一気に恥ずかしくなる。

「ちがッ！本当にそう思ったからッ！って、田辺だけシャワー浴びてきてずるい！俺もッ！」

逃げようとする諭を田辺はギュッと抱きしめて離そうとしない。

「どうせまた汗かくから、その後にシャワー浴びた方が良いですよ」

諭の首筋にちゅーと吸い付き、キスマークを付ける田辺。
それにキュンとなって動けなくなる諭。
本当に誘ったつもりなどなかったが、再び田辺に蕩かされる。

「今日は起きてる間、離れるの禁止です」

甘える田辺に、諭はもうこのまま時間が止まれば良いのにと願ってしまった。