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No.2 お茶漬けの味

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店に戻って俺はお茶漬けを作り始めた。
裕人は食器を洗っている。

「………………至さんが田嶋さんの特別な感じがして、俺、モヤモヤしました」

素直だなぁと俺は思いながら恥ずかしくなる。
その気持ちを誤魔化すように、ザクザクとお茶漬けを口に流し込む。

「ただ情報を流してる関係じゃないっすよね」

「………………それ、お前に言わないといけない話か?」

冷静になろうと必死になる俺。

「いえ。俺が勝手に気にしてるだけっすから」

裕人はそう言って、シンクの縁を握る。

「至さんは俺に親切で、優しくて、女将さんも俺を大切にしてくれて。五島組のみんなも確かに優しいけど、それとここは違くて。俺、ここに来て、擬似家族になってたのかも」

擬似家族。
そうだよな。
家庭の幸せを壊されて、心が傷つきまくっていた裕人が、俺やお袋に家族と言う物を投影するのはおかしい話じゃない。

それなのに、俺は!
俺は、そんな裕人に対して、17も年下の裕人に対して、何て邪な事を!

「すみません。田嶋さんに嫉妬しただけです。至さんのこと、取られたくないって思ってしまって」

裕人にしたら、父親のような、兄貴のような俺を、慕って独り占めしたくなったって感じか。

全く。
まだ子供なんだよな。
可愛いじゃねーの。
それなのに俺はバカだね。

「んー。俺と伊織との関係は、お前が思ってるような関係じゃねーよ。ただのWIN-WINの関係だ。あいつが欲しい情報を集めて俺はその報酬をもらう。ただのそれだけの………………」

そう。
あいつを先に捨てたのは俺だ。
あいつの浮気癖に腹を立てて、あいつを好きになりすぎるのが怖くて。
あいつは、俺を本気で愛してなかったのが分かってたから。
何度肌を重ねても、何度キスをしても。
あいつは俺を好きだっただけで、愛してはいなかった。

「至さん!」

え?
あれ?
なんかあったけぇ。
裕人が俺を包んでる。
こいつ、どこまで大きくなるつもりだ?
ガキのくせして、俺より17も年下のくせして。
なんで、俺がこいつに癒されてる?

「すんません。しばらく、こうさせてください」

「………………ん」

しばらくこうしていてくれ。
あったかいんだ。
擬似家族最高じゃん。
暖め合おうぜ。

「………………すんません。勃ってきちゃった」

はぁ?
何言ってんだ!
俺の感動を返せ!
何急に発情しやがった!

「お前!何で俺に勃ってんだよ!」

「しょうがないでしょ!好きなんだからッ!」
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