2 / 50
No.1 恋するシャボン玉
2
しおりを挟む
俺はまともな恋愛をしたことがない。
したことがないんじゃなく、できなかったが正解かな。
19歳の時、知ってはいけない物を知ってから、それが俺のなにかを壊した。
現在28にもなって女をまだ抱けないのは、それが身体に刻まれているから。
今こうして、俺の勃たないモノを必死に咥え込んで、俺を興奮させようとしてる女が不憫でならない。
「秋ちゃん、そんなにあたし下手?」
レースのキャミソール姿の女、京子は言った。
「いや、俺が不能なだけ。アゴ疲れただろ?もういいよ」
俺はベッドから起き上がって、テーブルの上の煙草を咥えるとライターで火を点けた。
「あたし、それでも秋ちゃんが好きだからね!秋ちゃんは、あたしをどう思ってる?」
「勃たない男に告白とか、お前はどんだけ慈悲深いの?言っただろ?だから俺は28にもなって童貞だって」
俺はフッと笑って裸のままソファに腰掛けた。
「だいたい、俺みたいなのどこがいい?他の奴らに比べたら身体も華奢で、この先何かあっても、鉄砲玉として役に立つかどうかってモンだぜ」
俺は自分の役割を知っている。
ヤクザとしても半人前で、女だってまともに抱けない。
全てにおいて中途半端なんだ。
「顔が好き。綺麗な顔してる」
綺麗な顔ね、と俺は心の中で笑った。
俺はこの顔が大嫌いだ。
「いつか、あたしが秋ちゃんの初めて奪ってあげる」
京子の言葉に俺は笑った。
「そのセリフ、フツー男が言うんじゃね?」
「そっか」
京子は笑うとシャワーを浴びに行った。
俺はただ煙草を吸って、ラブホの薄暗い部屋の中で動けなかった。
俺のモテ期が来たのは、クラブの下働きを始めた頃だった。
店の女になぜかモテた。
可愛いだのなんだのと、まるで手の届くアイドルのごとくモテた。
ただ俺がインポだと言うと、試してみたいと挑んでくるが、それが本当だとわかると大抵はスーとフェードアウトしていく。
それもあって、店の先輩達も別に俺に嫉妬したりはしない。逆に同情される。
「もったいねーなー、宝の持ち腐れってもんじゃん。ってその宝がフニャチンじゃな」
あははとみんな笑う。
俺は笑われても別に腹も立たない。
事実なんだから仕方ない。
別に性欲もないから、女を抱きたいとも思っていない。
女の味も知らないまま、気がつけば28になっていた。
下働きからそのうち俺は、なぜかヤクザになっちまった。
ヤクザとなった俺のいる五島組のサラ金屋で、京子は結構な額の借金をしていた。
京子は24だったが、親の病気の治療費のための借金だった。AVの稼ぎだけじゃ、間に合わない時があったようだ。
顔見知りになった俺がインポの童貞だと話したら、面白がって何度か俺を誘ってきた。
京子は元々風俗嬢の経験もあってか、俺を勃たせないと自分のプライドが許せないんだろう。
「今日もダメか。結構ガンコね」
京子はそう言って俺のモノを指先でツンツンと突く。
「そう言えば、キスもしてなかったね。キスぐらいしても良くない?」
俺はイマサラ?と思った。
「悪いけど、付き合うつもりないから。もう、お前も俺を勃たせるのは諦めろよ」
どう出る?俺を引っ叩くか?
別に焦らしたわけじゃないけど、京子を俺から求めたことがないので、キスどころか京子の身体にも触れたこともない。
だが、俺に酷いことを言われても京子は顔色ひとつ変えない。
「だね。諦めるわ。秋ちゃん、好きな人いるんでしょう?」
ん?京子は何を言っている?
俺はジッと京子を見た。
「だって、そう思わないと、あたし惨めじゃん」
京子はそう言って俺から離れた。
今日は服を着たままだったから、すぐに気持ちも切り替えられたようだ。
「バイバイ」
俺が京子の姿を見たのはそれが最後だった。
したことがないんじゃなく、できなかったが正解かな。
19歳の時、知ってはいけない物を知ってから、それが俺のなにかを壊した。
現在28にもなって女をまだ抱けないのは、それが身体に刻まれているから。
今こうして、俺の勃たないモノを必死に咥え込んで、俺を興奮させようとしてる女が不憫でならない。
「秋ちゃん、そんなにあたし下手?」
レースのキャミソール姿の女、京子は言った。
「いや、俺が不能なだけ。アゴ疲れただろ?もういいよ」
俺はベッドから起き上がって、テーブルの上の煙草を咥えるとライターで火を点けた。
「あたし、それでも秋ちゃんが好きだからね!秋ちゃんは、あたしをどう思ってる?」
「勃たない男に告白とか、お前はどんだけ慈悲深いの?言っただろ?だから俺は28にもなって童貞だって」
俺はフッと笑って裸のままソファに腰掛けた。
「だいたい、俺みたいなのどこがいい?他の奴らに比べたら身体も華奢で、この先何かあっても、鉄砲玉として役に立つかどうかってモンだぜ」
俺は自分の役割を知っている。
ヤクザとしても半人前で、女だってまともに抱けない。
全てにおいて中途半端なんだ。
「顔が好き。綺麗な顔してる」
綺麗な顔ね、と俺は心の中で笑った。
俺はこの顔が大嫌いだ。
「いつか、あたしが秋ちゃんの初めて奪ってあげる」
京子の言葉に俺は笑った。
「そのセリフ、フツー男が言うんじゃね?」
「そっか」
京子は笑うとシャワーを浴びに行った。
俺はただ煙草を吸って、ラブホの薄暗い部屋の中で動けなかった。
俺のモテ期が来たのは、クラブの下働きを始めた頃だった。
店の女になぜかモテた。
可愛いだのなんだのと、まるで手の届くアイドルのごとくモテた。
ただ俺がインポだと言うと、試してみたいと挑んでくるが、それが本当だとわかると大抵はスーとフェードアウトしていく。
それもあって、店の先輩達も別に俺に嫉妬したりはしない。逆に同情される。
「もったいねーなー、宝の持ち腐れってもんじゃん。ってその宝がフニャチンじゃな」
あははとみんな笑う。
俺は笑われても別に腹も立たない。
事実なんだから仕方ない。
別に性欲もないから、女を抱きたいとも思っていない。
女の味も知らないまま、気がつけば28になっていた。
下働きからそのうち俺は、なぜかヤクザになっちまった。
ヤクザとなった俺のいる五島組のサラ金屋で、京子は結構な額の借金をしていた。
京子は24だったが、親の病気の治療費のための借金だった。AVの稼ぎだけじゃ、間に合わない時があったようだ。
顔見知りになった俺がインポの童貞だと話したら、面白がって何度か俺を誘ってきた。
京子は元々風俗嬢の経験もあってか、俺を勃たせないと自分のプライドが許せないんだろう。
「今日もダメか。結構ガンコね」
京子はそう言って俺のモノを指先でツンツンと突く。
「そう言えば、キスもしてなかったね。キスぐらいしても良くない?」
俺はイマサラ?と思った。
「悪いけど、付き合うつもりないから。もう、お前も俺を勃たせるのは諦めろよ」
どう出る?俺を引っ叩くか?
別に焦らしたわけじゃないけど、京子を俺から求めたことがないので、キスどころか京子の身体にも触れたこともない。
だが、俺に酷いことを言われても京子は顔色ひとつ変えない。
「だね。諦めるわ。秋ちゃん、好きな人いるんでしょう?」
ん?京子は何を言っている?
俺はジッと京子を見た。
「だって、そう思わないと、あたし惨めじゃん」
京子はそう言って俺から離れた。
今日は服を着たままだったから、すぐに気持ちも切り替えられたようだ。
「バイバイ」
俺が京子の姿を見たのはそれが最後だった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる