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依存からの共存
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着替えた春夜が近くのコンビニでおにぎりやパンを買ってきた。
「……………食べられるようなら食べて。軽いもの買ってきたから」
ドサドサと春夜がダイニングテーブルにそれらを出す。
真騎士はもちろん食欲などない。まだ床に腰をおろしていた。
春夜はいつから自分に復讐しようとしていたのか考えた。
「僕ね、あの夜とても怖かったんだ。雷が激しくて。真騎士さんはあの人が来る日は必ず僕を早めに寝かしつけてたよね。僕が寝た後にいつもあの人は部屋にやって来てたんだよね?だから会ったこともなかった。あの夜まで」
パリッと海苔の良い音を立てて、春夜はおにぎりを一口食べた。
「嵐の音で目が覚めた。暗い部屋でお母さんを思い出した。でも顔が浮かぶまでに怖くて怖くて。真騎士さんに怒られるのも覚悟で真騎士さんの部屋に行ってしまった」
部屋には裸の男の姿。
その後はもう無我夢中になっていた。
11歳の春夜は、湧き上がった性欲を抑えることができなかった。
「綺麗な男の人だったね。真騎士さんを心配して僕の部屋に来た時初めて見た。その時は、真騎士さんの恋人だと思ってなかった。でもふたりの行為がセックスだと言うことは分かってたよ」
真騎士は何も言い返せない。口の中が乾いて喉がつかえている。
「僕が今日までどんな思いだったかわかる?僕がどれほど切ない夜を過ごしていたか」
切ない夜と聞いて真騎士は春夜を見た。
春夜は1個目のおにぎりを食べ終わり、ペットボトルのお茶を喉に流し込んだ。
「僕はずっと真騎士さんを慕っていた。叔父さんだけどお兄ちゃんみたいに思ってた。真騎士さんとの生活は、寂しい時もあったけど幸せだった。でも11歳のあの夜に僕は真騎士さんに辱められた」
真騎士は、ズクッと心臓の鼓動が嫌な音を立てた気がした。
「あんな姿、見られたくなかった。真騎士さんが大好きだったから。でも、僕は中学に入ってから、毎晩のように自分でシてた。真騎士さんを思い浮かべてね」
真騎士は春夜をひたすら見つめた。
「あの人のように、自分が真騎士さんに抱かれることを想像して。僕を変えたのは真騎士さんだよ。僕は信行の愛情につけ込んだ酷い奴だ。真騎士さんの代わりに信行とセックスしてたんだから」
春夜の告白に晋が浮かんだ。
晋を抱きながら、自分は想像の中で春夜を抱いていた。
あり得ないことだが、春夜は全てを知っていて真騎士を責めているように感じた。
「……………お前は酷くない。そうさせてしまったのは俺だから。俺がお前を壊した。お前に慕ってもらえるような男じゃない。俺はずっとお前を穢してきたんだから。お前が小さな頃、俺はお前に……………」
春夜の小さなモノを口に含んだ記憶が蘇る。
あの時から自分の罪が生まれていたんだと思った。
「お前が小さな時に、俺はしてはいけないことをした」
「どんなこと?」
「お前の、を口に入れてしゃぶった」
真騎士の告白に春夜はドキンとして背筋が震えた。
そんな幼い頃から、この目の前にいる男が自分を性的な目で見ていたことに正直怖いと思いながらも、嬉しいと思った。
「他の男を抱きながら、小さなお前を抱いている想像もした。あの頃はお前とセックスをしてみたくて仕方なかった」
春夜は顔がにやけてしまった。
真騎士がどれだけ自分を欲していたのか分かった。欲望丸出しの男の告白だった。
「……………愛してた。愛してる。だから、いけないことだと思って、お前をただ甥っ子として大切にすることを決めた。それなのに、こんなことになって、本当にすまない」
「愛してた?愛してる?どの口が言ってんの?じゃああの男は何?僕を愛してると言いながら何であんなことがあったのにまだあの男と続いてるの?僕が高校生になってからは堂々と毎週末会っているのを僕が知らないと思ってる?」
真騎士は何も言い返せない。
春夜の問いかけに一つも満足に答えを出せない。
全ては自分が撒いた種なのだから。
「……………お前を甥っ子として愛している。俺をどんなに恨んでくれても良い。憎んでも良い。目障りだと思うなら俺はここを出て行く」
春夜は飲んでいたペットボトルのお茶を真騎士の顔にぶっかけた。
真騎士は濡れたまま動かない。
壁にかけられた時計の針の音が、異様に響いているように聞こえた。
「……………食べられるようなら食べて。軽いもの買ってきたから」
ドサドサと春夜がダイニングテーブルにそれらを出す。
真騎士はもちろん食欲などない。まだ床に腰をおろしていた。
春夜はいつから自分に復讐しようとしていたのか考えた。
「僕ね、あの夜とても怖かったんだ。雷が激しくて。真騎士さんはあの人が来る日は必ず僕を早めに寝かしつけてたよね。僕が寝た後にいつもあの人は部屋にやって来てたんだよね?だから会ったこともなかった。あの夜まで」
パリッと海苔の良い音を立てて、春夜はおにぎりを一口食べた。
「嵐の音で目が覚めた。暗い部屋でお母さんを思い出した。でも顔が浮かぶまでに怖くて怖くて。真騎士さんに怒られるのも覚悟で真騎士さんの部屋に行ってしまった」
部屋には裸の男の姿。
その後はもう無我夢中になっていた。
11歳の春夜は、湧き上がった性欲を抑えることができなかった。
「綺麗な男の人だったね。真騎士さんを心配して僕の部屋に来た時初めて見た。その時は、真騎士さんの恋人だと思ってなかった。でもふたりの行為がセックスだと言うことは分かってたよ」
真騎士は何も言い返せない。口の中が乾いて喉がつかえている。
「僕が今日までどんな思いだったかわかる?僕がどれほど切ない夜を過ごしていたか」
切ない夜と聞いて真騎士は春夜を見た。
春夜は1個目のおにぎりを食べ終わり、ペットボトルのお茶を喉に流し込んだ。
「僕はずっと真騎士さんを慕っていた。叔父さんだけどお兄ちゃんみたいに思ってた。真騎士さんとの生活は、寂しい時もあったけど幸せだった。でも11歳のあの夜に僕は真騎士さんに辱められた」
真騎士は、ズクッと心臓の鼓動が嫌な音を立てた気がした。
「あんな姿、見られたくなかった。真騎士さんが大好きだったから。でも、僕は中学に入ってから、毎晩のように自分でシてた。真騎士さんを思い浮かべてね」
真騎士は春夜をひたすら見つめた。
「あの人のように、自分が真騎士さんに抱かれることを想像して。僕を変えたのは真騎士さんだよ。僕は信行の愛情につけ込んだ酷い奴だ。真騎士さんの代わりに信行とセックスしてたんだから」
春夜の告白に晋が浮かんだ。
晋を抱きながら、自分は想像の中で春夜を抱いていた。
あり得ないことだが、春夜は全てを知っていて真騎士を責めているように感じた。
「……………お前は酷くない。そうさせてしまったのは俺だから。俺がお前を壊した。お前に慕ってもらえるような男じゃない。俺はずっとお前を穢してきたんだから。お前が小さな頃、俺はお前に……………」
春夜の小さなモノを口に含んだ記憶が蘇る。
あの時から自分の罪が生まれていたんだと思った。
「お前が小さな時に、俺はしてはいけないことをした」
「どんなこと?」
「お前の、を口に入れてしゃぶった」
真騎士の告白に春夜はドキンとして背筋が震えた。
そんな幼い頃から、この目の前にいる男が自分を性的な目で見ていたことに正直怖いと思いながらも、嬉しいと思った。
「他の男を抱きながら、小さなお前を抱いている想像もした。あの頃はお前とセックスをしてみたくて仕方なかった」
春夜は顔がにやけてしまった。
真騎士がどれだけ自分を欲していたのか分かった。欲望丸出しの男の告白だった。
「……………愛してた。愛してる。だから、いけないことだと思って、お前をただ甥っ子として大切にすることを決めた。それなのに、こんなことになって、本当にすまない」
「愛してた?愛してる?どの口が言ってんの?じゃああの男は何?僕を愛してると言いながら何であんなことがあったのにまだあの男と続いてるの?僕が高校生になってからは堂々と毎週末会っているのを僕が知らないと思ってる?」
真騎士は何も言い返せない。
春夜の問いかけに一つも満足に答えを出せない。
全ては自分が撒いた種なのだから。
「……………お前を甥っ子として愛している。俺をどんなに恨んでくれても良い。憎んでも良い。目障りだと思うなら俺はここを出て行く」
春夜は飲んでいたペットボトルのお茶を真騎士の顔にぶっかけた。
真騎士は濡れたまま動かない。
壁にかけられた時計の針の音が、異様に響いているように聞こえた。
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