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春の夜の夢
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久しぶりに会う晋はどこか変わって見えた。
先に社会人になり、仕事にも慣れて自信をつけていた晋は、まだ新入社員の自分と大きく差が開いたと思った。
「なかなか会えなくてごめん」
真騎士が言うと晋は笑顔で首を振った。
「こうして時間作ってくれたんだもん。気にしないで」
笑顔は変わらないなと思った。
「甥っ子ちゃんいくつになった?もうひとりで夜もお留守番できるの?」
「小学4年生。少しなら料理もするようになったよ。危ないから包丁は使わせてないけど。夜はあまり遅くには帰れないけど、今夜は遅くなるって言って夕飯は用意して来た」
こんな話がしたいわけじゃないと真騎士は思った。
「そう。じゃあ、僕の部屋来る?」
晋にそう言われたかった。
早くふたりきりになりたかった。
春夜のことも麻人のことも考えたくなかった。
「ああ。もう行っても良い?」
焦る真騎士に晋は笑う。
「久しぶりにガッツいてる」
楽しそうに晋が言うと真騎士は立ち上がった。
「焦らすなよ。マジで」
不機嫌そうに真騎士が言うと晋も立ち上がった。
晋の部屋に入ると、真騎士はすぐに晋をベッドに押し倒した。
「待って!シャワーぐらい浴びさせろよ」
晋が抵抗すると、真騎士は晋の唇を塞いだ。
『一度だけでいいから』
麻人に前に言われた言葉が浮かんで、真騎士は雑念を払うように激しく晋の唇を貪る。
『何してるの?お兄ちゃん』
春夜に言われた言葉に真騎士はより興奮する。
未知瑠に申し訳ないと思いながら、晋の身体を抱いた時何度も春夜を思い浮かべ、しかも実際に口に含んでしまった。
俺は歪んでる。
真騎士がキスを止め、晋の身体から離れた。
晋は手を伸ばして、真騎士の頬に触れた。
「もう。久しぶりだからって、もう少し落ち着こうよ。僕は逃げないから」
可愛い笑顔で晋は微笑む。
「……………ごめん。ずっと欲しかったから」
真騎士は、頬に触れていた晋の指を掴み自分の唇に寄せた。
晋を裏切って、麻人と関係を持たなくて良かったと思った。
「随分、手が荒れたな。仕事大変?」
「うん。でも、好きなことしてるから頑張れる」
「そうか。なかなか会えないけど、俺たち大丈夫だよね?」
「どうしたの?」
真騎士は晋をギュッと抱きしめる。
「心配なんだよ。晋、段々素敵になってる。俺は疲れたオッサンになった気がする」
晋も真騎士を抱きしめる。
「……………真騎士だって仕事に慣れれば、落ち着いてくれば余裕も出てくるでしょ。今だけだよ、そんな風に思うのも」
晋が優しく真騎士の髪を撫でる。
「うん。だな。サンキュー」
晋に甘えられて、少しだけ疲れも癒されていた。
春夜とのあの夜の出来事も、邪な思いも全て忘れようと思った。
先に社会人になり、仕事にも慣れて自信をつけていた晋は、まだ新入社員の自分と大きく差が開いたと思った。
「なかなか会えなくてごめん」
真騎士が言うと晋は笑顔で首を振った。
「こうして時間作ってくれたんだもん。気にしないで」
笑顔は変わらないなと思った。
「甥っ子ちゃんいくつになった?もうひとりで夜もお留守番できるの?」
「小学4年生。少しなら料理もするようになったよ。危ないから包丁は使わせてないけど。夜はあまり遅くには帰れないけど、今夜は遅くなるって言って夕飯は用意して来た」
こんな話がしたいわけじゃないと真騎士は思った。
「そう。じゃあ、僕の部屋来る?」
晋にそう言われたかった。
早くふたりきりになりたかった。
春夜のことも麻人のことも考えたくなかった。
「ああ。もう行っても良い?」
焦る真騎士に晋は笑う。
「久しぶりにガッツいてる」
楽しそうに晋が言うと真騎士は立ち上がった。
「焦らすなよ。マジで」
不機嫌そうに真騎士が言うと晋も立ち上がった。
晋の部屋に入ると、真騎士はすぐに晋をベッドに押し倒した。
「待って!シャワーぐらい浴びさせろよ」
晋が抵抗すると、真騎士は晋の唇を塞いだ。
『一度だけでいいから』
麻人に前に言われた言葉が浮かんで、真騎士は雑念を払うように激しく晋の唇を貪る。
『何してるの?お兄ちゃん』
春夜に言われた言葉に真騎士はより興奮する。
未知瑠に申し訳ないと思いながら、晋の身体を抱いた時何度も春夜を思い浮かべ、しかも実際に口に含んでしまった。
俺は歪んでる。
真騎士がキスを止め、晋の身体から離れた。
晋は手を伸ばして、真騎士の頬に触れた。
「もう。久しぶりだからって、もう少し落ち着こうよ。僕は逃げないから」
可愛い笑顔で晋は微笑む。
「……………ごめん。ずっと欲しかったから」
真騎士は、頬に触れていた晋の指を掴み自分の唇に寄せた。
晋を裏切って、麻人と関係を持たなくて良かったと思った。
「随分、手が荒れたな。仕事大変?」
「うん。でも、好きなことしてるから頑張れる」
「そうか。なかなか会えないけど、俺たち大丈夫だよね?」
「どうしたの?」
真騎士は晋をギュッと抱きしめる。
「心配なんだよ。晋、段々素敵になってる。俺は疲れたオッサンになった気がする」
晋も真騎士を抱きしめる。
「……………真騎士だって仕事に慣れれば、落ち着いてくれば余裕も出てくるでしょ。今だけだよ、そんな風に思うのも」
晋が優しく真騎士の髪を撫でる。
「うん。だな。サンキュー」
晋に甘えられて、少しだけ疲れも癒されていた。
春夜とのあの夜の出来事も、邪な思いも全て忘れようと思った。
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