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春の夜の夢
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その夜家に帰ると、懇親会のことを母に告げた。
「じゃあ週末は夕飯いらないのね。それとね、今後のことだけど、やっぱりあなたに春夜を任せて良いのかずっと悩んでいるのよ」
母の言葉に真騎士はビクッとした。
「春夜はまだ小学2年生だし、あなたが働きだしたら夜も遅くなるでしょ。夜にひとりでお留守番をさせるのは心配よ」
「大丈夫だよ!俺が就職するときには春夜だってもう小学4年だよ。今の会社なら残業が無ければ7時には家に帰れる」
必死に真騎士は自分が春夜と暮らせることをアピールする。
「でもあなただって恋人もいるでしょ?学生のときのように昼間にデートも出来なくなるわ。何もあなたが責任を感じて春夜を育てる理由もないわ」
確かに春夜は甥っ子というだけで、祖母である母がいる以上、自分と暮らす意味はない。
それは十分分かっていたが、真騎士は春夜を手離したくない。
「どうしても無理な時は母さんにお願いするから、それまでは春夜と暮らしたい。ダメかな?」
そこまで言われたら、母も何も言えなかった。
「分かったわ。でも本当に無理しないで。子育てって大変でしょ?」
「ぜーんぜん!春夜は良い子だし、母さんが十分すぎるほど生活費もくれるから俺たちすげー楽させてもらってる」
真騎士がいうと母は笑う。
「あの人が真騎士に苦労させたらダメだって言ってくれてるから」
あの人とは、再婚した相手だった。
母より5歳年上で、再婚後、栃木の実家を継ぎ農家をしている。聞いた話ではかなりの大農家でその辺りの大地主でもあると聞いた。
農業以外にも不動産経営もしているので、お金に不自由はないのだった。
「旦那さんに申し訳ないな。母さんにこっちの手伝いさせて」
「良いのよ。ちゃんと私もあの人を大事にしてるもの」
母の笑顔を見て真騎士はホッとした。
幸せそうで本当に良かったと思った。
「後はあなたがちゃんと就職できれば言うことないわ」
「うん。そうしたら仕送りももういらないよ。このマンションの借金もないし俺の給料だけで春夜を養う事は出来るから」
「でも、初任給なんて大したことないでしょ?お金の心配は本当にしなくて良いのよ。春夜だってこの先塾に行ったりするようになればお金はもっとかかるわ。春夜が大人になるまでは、春夜の生活費は出させてもらいますからね!」
そう言って母は笑う。真騎士も春夜の生活費は母に素直に甘えることにした。
「でもあなたももう21なのね。未知瑠も元気だったらまだ25。春夜の父親は最低な男だったけど、未知瑠だって生きていたらステキな人と人生をやり直せたかもしれないのに」
少し涙ぐんで母は言った。
「母さん。姉さんは早くに逝ってしまって、春夜のこともあって心残りが多かっただろうけど、俺が姉さんの分まで、いつかちゃんと母さんにも親孝行するから。だから、姉さんのこともそんな風に思い出すのやめよう」
真騎士はそういうと母の肩に優しく手を置いた。
姉の代わりに、母のためにも春夜をちゃんと大人にすると覚悟を決めた。
「じゃあ週末は夕飯いらないのね。それとね、今後のことだけど、やっぱりあなたに春夜を任せて良いのかずっと悩んでいるのよ」
母の言葉に真騎士はビクッとした。
「春夜はまだ小学2年生だし、あなたが働きだしたら夜も遅くなるでしょ。夜にひとりでお留守番をさせるのは心配よ」
「大丈夫だよ!俺が就職するときには春夜だってもう小学4年だよ。今の会社なら残業が無ければ7時には家に帰れる」
必死に真騎士は自分が春夜と暮らせることをアピールする。
「でもあなただって恋人もいるでしょ?学生のときのように昼間にデートも出来なくなるわ。何もあなたが責任を感じて春夜を育てる理由もないわ」
確かに春夜は甥っ子というだけで、祖母である母がいる以上、自分と暮らす意味はない。
それは十分分かっていたが、真騎士は春夜を手離したくない。
「どうしても無理な時は母さんにお願いするから、それまでは春夜と暮らしたい。ダメかな?」
そこまで言われたら、母も何も言えなかった。
「分かったわ。でも本当に無理しないで。子育てって大変でしょ?」
「ぜーんぜん!春夜は良い子だし、母さんが十分すぎるほど生活費もくれるから俺たちすげー楽させてもらってる」
真騎士がいうと母は笑う。
「あの人が真騎士に苦労させたらダメだって言ってくれてるから」
あの人とは、再婚した相手だった。
母より5歳年上で、再婚後、栃木の実家を継ぎ農家をしている。聞いた話ではかなりの大農家でその辺りの大地主でもあると聞いた。
農業以外にも不動産経営もしているので、お金に不自由はないのだった。
「旦那さんに申し訳ないな。母さんにこっちの手伝いさせて」
「良いのよ。ちゃんと私もあの人を大事にしてるもの」
母の笑顔を見て真騎士はホッとした。
幸せそうで本当に良かったと思った。
「後はあなたがちゃんと就職できれば言うことないわ」
「うん。そうしたら仕送りももういらないよ。このマンションの借金もないし俺の給料だけで春夜を養う事は出来るから」
「でも、初任給なんて大したことないでしょ?お金の心配は本当にしなくて良いのよ。春夜だってこの先塾に行ったりするようになればお金はもっとかかるわ。春夜が大人になるまでは、春夜の生活費は出させてもらいますからね!」
そう言って母は笑う。真騎士も春夜の生活費は母に素直に甘えることにした。
「でもあなたももう21なのね。未知瑠も元気だったらまだ25。春夜の父親は最低な男だったけど、未知瑠だって生きていたらステキな人と人生をやり直せたかもしれないのに」
少し涙ぐんで母は言った。
「母さん。姉さんは早くに逝ってしまって、春夜のこともあって心残りが多かっただろうけど、俺が姉さんの分まで、いつかちゃんと母さんにも親孝行するから。だから、姉さんのこともそんな風に思い出すのやめよう」
真騎士はそういうと母の肩に優しく手を置いた。
姉の代わりに、母のためにも春夜をちゃんと大人にすると覚悟を決めた。
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