子飼-秘密の共有-

五嶋樒榴

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春の夜の夢

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その夜はひどく荒れた夜だった。
正しく春の嵐と言うように、風も強く時折り雨も激しく降っていた。
春雷。
雷の轟音と一筋に光る稲妻に、春夜しゅんやは布団の中に頭まで突っ込んでひとりベッドの中で震えていた。

怖い。
怖い!
お母さん!

布団の中で声なき声で春夜は呟いた。
こんな夜は母親に抱きしめられて眠りたい。
しかしその母ももういない。
父親の顔も知らず、春夜は母と祖父母と暮らしていた。
その母ががんを患い夭折ようせつし、今は母の弟で春夜にとっては叔父にあたる真騎士まきしの家に厄介になっていた。

どうしよう。
怖くて眠れない。
お兄ちゃんと一緒に今夜は眠りたい。
でも、今夜はダメだと言われた。
お兄ちゃんの友達が来るから、早く寝ろと言われたんだもん。

それでも春夜は、どうしてもひとりでベッドの中で蹲ってはいられなかった。
真騎士に怒られるのも覚悟をして、春夜は部屋を出て、真騎士の部屋に向かった。
春夜は真騎士の部屋のドアをそっと少しだけ開けてみた。
ギシギシと音がするなと春夜は思った。
「はぁッ!……………そこはダメ……………そこ、イっちゃうッ!」
その声は男だったが真騎士の声ではなかった。
「ああッ!……………んんッ!……………ダメッ!ダメッ!……………真騎士!気持ち良すぎちゃうッ!」
ギシギシと激しい音を立てていたのはベッドが軋む音だった。
「ああ!お願い!噛んで!……………そこ!噛み付いてぇ!」
春夜はベッドの上で繰り広げられている光景を息を殺して見ていた。
男の背が激しく揺れていた。
上下に動いているように見えた。
ヘッドボードに寄りかかり、男の腰に手を当てているのが真騎士だと春夜は思った。
「真騎士!気持ちいいの!ああ!イくッ!イくぅ!」
真騎士の声は聞こえない。真騎士が何をしているかは春夜からは見えなかった。
見ているうちに、春夜の下半身は熱くなってきた。腹の下辺りがむず痒い。
春夜は真っ赤な顔で、パジャマのズボンに手を入れた。
まだ幼い陰茎が硬くなっていた。
春夜は無意識に陰茎を握った。それだけで、全身が痺れた。
熱い。
熱くて痛いよ!
僕のおちんちん、何でこんなに痛くなってるの?
春夜は握りながら身体を震わせた。
「あああ!真騎士!もうッ!……………もうだめぇ!もう!お願い!僕の中に出してぇ!真騎士のいっぱい出してぇ!」
泣き叫ぶような男の声に、春夜はもう我慢出来なかった。
無意識に陰茎を上下に扱いていた。

あ!あ!あ!
何!これ何?
気持ちいいの!
ここ、こうすると、気持ちいいの!

春夜はその場にしゃがみ込むと真っ赤な顔で扱き続けた。
もう止まらなかった。
真騎士と一緒にいる、見知らぬ男の喘ぎ声に春夜は堪らなくなってしまった。

ああ!
変!
なんで、こんなにッ!
……………気持ちいい!

次の瞬間、春夜は射精していた。
もちろん初めてだった。
11歳で知ってしまった射精に、春夜は果てたと同時に怖くなった。
パジャマのズボンも濡れて、何やら嗅いだことのない匂いが充満している。
怖くて春夜は泣き出した。我慢出来ずに大声で泣いてしまった。
「春夜!」
春夜の泣き声に驚いた真騎士が裸のまま飛び出してきた。
「おに…………い、ちゃん。ごめんなさい!僕、僕ッ!……………」
ヒックヒックとむせび泣く春夜を真騎士は抱き上げた。
まさか春夜が、自分の情事を見て射精したのが正直信じられない気持ちもあった。
真騎士は春夜を綺麗にしてあげると、ベッドに寝かせた。
「真騎士。風邪ひくよ」
裸で行ってしまったので、真騎士の情事の相手が真騎士のパジャマを持ってきた。
春夜は泣きながらその相手の顔を見た。
とても美しい顔をしていると思った。
「僕は向こうに行ってるから、その子についててあげて」
真騎士はパジャマを着込むと、春夜のベッドに添い寝した。
ショックを受けている春夜はまだヒックヒックと泣いている。
「春夜、泣くな。もう大丈夫だから。これは悪い夢なんだ。明日の朝になれば全て忘れる」
真騎士はそう言うと春夜を抱きしめた。
春夜は泣きながら真騎士の胸に顔を埋め眠った。
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