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本日の気まぐれタパスとピンチョス
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広重はロッカーから着替えを出して、無言で更衣室に入るとスーツに着替えた。
村瀬の名前に反応してしまう自分が悪いのは分かっているが、元々の元凶は村瀬と貴彦だと思い腹が立ってきた。
大体、職場でセックスとか信じられない!
しかも村瀬さんは既婚者だ。
犬神さんもうちの社員なんだから、村瀬さんが既婚者だと知っているはず。
どうかしてる。
男同士なら不倫にならないとでも思っているのか?
腹立たしい気持ちが収まらず、この怒りをぶつける矛先もなく、広重は着替え終わるとスタッフルームに戻った。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
ムッとしたまま広重が貴彦の前を通り過ぎようとすると、貴彦が腕を伸ばして広重の腕を掴んだ。
「言いたいことがあるなら言えよ」
睨みつけながら貴彦は言う。
「か、絡まないでください!言えないですよ!」
広重は無理矢理腕を振り払う。
「何?あんたも村瀬さんのこと好きなわけ?嫉妬?お前が言ったよな、プライベートは口出ししないって言ったじゃねーか。でもガッツりプライベート気にしてるよね。鬱陶しいんだよ。仕事は仕事でちゃんと気持ちよくしろよ」
言いたいことを貴彦は捲し立てた。
「俺はお前でもあんたでもないです。道明です」
プイと広重は顔を背けた。
「村瀬さんは既婚者です。奥さんやお子さんに悪いと思いませんか?」
「だから何?奥さんや子供に説教されるなら分かるけど、道明さんは関係ないよね。口挟むって筋違いだと思わない?」
冷静な貴彦の言葉に、広重はぐうの音も出ない。
確かにふたりの関係を知ったところで、広重には関係ない。無駄な正義感だ。
「………村瀬さんを尊敬してました。目標にもしてた。なのに、あんなの見せられて、どうしても俺の中で、何かが違うって悔しくて」
真っ赤になりながら広重は告白した。
「それって道明さんの一方的な思いでしょ?村瀬さんが尊敬してくれって言った?目標にしろってお願いされたのか?」
冷たく言い放つ貴彦に、広重は首を振って否定するしか出来なかった。
「あんたの、道明さんの勝手な独りよがり、俺や村瀬さんに押し付けないでくれ」
トドメを刺されたようで広重は黙るしかなかった。
「………お疲れ様、でした」
広重はそう言ってオーシャンを後にした。
村瀬の名前に反応してしまう自分が悪いのは分かっているが、元々の元凶は村瀬と貴彦だと思い腹が立ってきた。
大体、職場でセックスとか信じられない!
しかも村瀬さんは既婚者だ。
犬神さんもうちの社員なんだから、村瀬さんが既婚者だと知っているはず。
どうかしてる。
男同士なら不倫にならないとでも思っているのか?
腹立たしい気持ちが収まらず、この怒りをぶつける矛先もなく、広重は着替え終わるとスタッフルームに戻った。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
ムッとしたまま広重が貴彦の前を通り過ぎようとすると、貴彦が腕を伸ばして広重の腕を掴んだ。
「言いたいことがあるなら言えよ」
睨みつけながら貴彦は言う。
「か、絡まないでください!言えないですよ!」
広重は無理矢理腕を振り払う。
「何?あんたも村瀬さんのこと好きなわけ?嫉妬?お前が言ったよな、プライベートは口出ししないって言ったじゃねーか。でもガッツりプライベート気にしてるよね。鬱陶しいんだよ。仕事は仕事でちゃんと気持ちよくしろよ」
言いたいことを貴彦は捲し立てた。
「俺はお前でもあんたでもないです。道明です」
プイと広重は顔を背けた。
「村瀬さんは既婚者です。奥さんやお子さんに悪いと思いませんか?」
「だから何?奥さんや子供に説教されるなら分かるけど、道明さんは関係ないよね。口挟むって筋違いだと思わない?」
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確かにふたりの関係を知ったところで、広重には関係ない。無駄な正義感だ。
「………村瀬さんを尊敬してました。目標にもしてた。なのに、あんなの見せられて、どうしても俺の中で、何かが違うって悔しくて」
真っ赤になりながら広重は告白した。
「それって道明さんの一方的な思いでしょ?村瀬さんが尊敬してくれって言った?目標にしろってお願いされたのか?」
冷たく言い放つ貴彦に、広重は首を振って否定するしか出来なかった。
「あんたの、道明さんの勝手な独りよがり、俺や村瀬さんに押し付けないでくれ」
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広重はそう言ってオーシャンを後にした。
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