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夜が明け、真春はジュリに電話をかけた。
自分の味方はジュリしかいないと思い、話を聞いて欲しかった。
『…………そうか、工の過去ってそう言うことだったんだ』
ジュリは真春から話を聞くと、今まで自分が見てきた工の姿に納得がいった。
絶対誰も寄せ付けなかったのは、亡き恋人への想いが強かったんだと分かった。
「ジュリも何か知ってたんでしょ?」
真春はジュリと初対面の時から、ジュリと工が親しそうだったので嫉妬したこともあった。
自分よりはるかにジュリは工を知っている。
『真幸さんの護衛で工が負傷した時があって、あいつのアパートにしばらく一緒に住んでいた事があったんだ。その時、あいつ部屋に花を飾っててね。らしくないって思ってたけど、その恋人を思って花を手向けていたんだな』
そんな事をしていたんだと、真春は胸がズキッとする。
「俺が部屋に行った時は何も無かった。俺は本当に何も知らなかった。馬鹿みたいに工を追いかけて、縋って」
工が真春とずっと一緒にいると決まった時、一緒にアパートに荷物を取りに行った事を思い出した。
『仕方ないよ。あいつは自分の事を話すタイプじゃない。まして、そんな過去があったら言うわけがない。ねぇ、真春。真幸さんが言ったように、もう工の事は諦めて忘れた方がいいよ。あいつは自分が決めた事は必ず実行する』
ジュリの言葉に真春はカッとなる。不安になる。
「だから探さないとダメなんだよ!工、きっと死ぬつもりだもん!嫌だ!せっかく生きてくれたのに、死なせるなんて嫌だ!」
真春が言いたい事はジュリもよく分かっている。
でも、真春に自分を全て曝け出したとなると、もう真春の元には二度と戻らないとジュリにも分かった。
「どうやって工を探せば良いのか分からないんだよ!父さんが俺を見張らせてて自由に動けないんだ。この家を飛び出したって良いよ。でも、工を見つけ出す力が俺にはないんだ」
真春のジレンマがジュリにも分からないわけではない。
闇雲にひとりで飛び出したところで、すぐに飯塚組長に押さえつけられる事を真春も分かっている。そして自分がいなくなる事で、他の組員に迷惑をかけたくは無かった。
今回の拉致の件で飯塚組長を激怒させてしまって、真春は一切逆らえないと思い知った。
『伊織に相談してみるよ。あいつなら、ネットワークが半端じゃないから、もしかして何か掴むかもしれない。真幸さんが当てにならないなら、それに賭けても良いんじゃない?』
ジュリの提案に真春は驚く。
「田嶋さん、力貸してくれるかな。俺、田嶋さんには助けてもらってばかりだし」
シュンとなって真春は言う。
『今回のこと…………工が大怪我したのは、元々僕が六本木の鴉を追い始めたせいでもあるし、僕がみんなを巻き込んだんだからなんとかしたい気持ちもあるんだ。それに…………』
ジュリは一度言葉を切った。
「ジュリ?六本木の鴉はジュリのせいじゃないよ!六本木の鴉が表に出たことで救われた人も沢山いるんだし!」
真春はジュリが気にしていると思って、励ますように庇う言い方をした。
『…………ごめん、そのことじゃなくて。今、言うことじゃないかもしれないと思ったんだけど、僕、伊織と、付き合い始めたんだ』
ジュリの告白に真春はびっくりして固まる。
『だから、僕が頼めば、伊織は協力してくれるって言いたかったん、だけどね』
照れながらジュリは言う。
真春は信じられないと思いながらも、いつの間にそんな事になったのか謎でしかない。
とても仲が良いとは思えなかったからだ。
「…………ふたりの話は、落ち着いたらちゃんと聞かせてよ!」
不機嫌そうに真春は言う。どう言う経緯か、ちゃんと説明してもらわないと納得がいかない。
「田嶋さんが協力してくれたら嬉しい。ジュリが言うようにあの人のネットワークは半端ないと思ってるから。よろしくお願いします」
もう伊織に頼るしかないと真春は思った。
真春は何があっても、もう一度工と会って、絶対にもう離さないと決めた。
例え自分の気持ちを受け入れてもらえなくても、そばで生きて欲しいと思った。
自分の味方はジュリしかいないと思い、話を聞いて欲しかった。
『…………そうか、工の過去ってそう言うことだったんだ』
ジュリは真春から話を聞くと、今まで自分が見てきた工の姿に納得がいった。
絶対誰も寄せ付けなかったのは、亡き恋人への想いが強かったんだと分かった。
「ジュリも何か知ってたんでしょ?」
真春はジュリと初対面の時から、ジュリと工が親しそうだったので嫉妬したこともあった。
自分よりはるかにジュリは工を知っている。
『真幸さんの護衛で工が負傷した時があって、あいつのアパートにしばらく一緒に住んでいた事があったんだ。その時、あいつ部屋に花を飾っててね。らしくないって思ってたけど、その恋人を思って花を手向けていたんだな』
そんな事をしていたんだと、真春は胸がズキッとする。
「俺が部屋に行った時は何も無かった。俺は本当に何も知らなかった。馬鹿みたいに工を追いかけて、縋って」
工が真春とずっと一緒にいると決まった時、一緒にアパートに荷物を取りに行った事を思い出した。
『仕方ないよ。あいつは自分の事を話すタイプじゃない。まして、そんな過去があったら言うわけがない。ねぇ、真春。真幸さんが言ったように、もう工の事は諦めて忘れた方がいいよ。あいつは自分が決めた事は必ず実行する』
ジュリの言葉に真春はカッとなる。不安になる。
「だから探さないとダメなんだよ!工、きっと死ぬつもりだもん!嫌だ!せっかく生きてくれたのに、死なせるなんて嫌だ!」
真春が言いたい事はジュリもよく分かっている。
でも、真春に自分を全て曝け出したとなると、もう真春の元には二度と戻らないとジュリにも分かった。
「どうやって工を探せば良いのか分からないんだよ!父さんが俺を見張らせてて自由に動けないんだ。この家を飛び出したって良いよ。でも、工を見つけ出す力が俺にはないんだ」
真春のジレンマがジュリにも分からないわけではない。
闇雲にひとりで飛び出したところで、すぐに飯塚組長に押さえつけられる事を真春も分かっている。そして自分がいなくなる事で、他の組員に迷惑をかけたくは無かった。
今回の拉致の件で飯塚組長を激怒させてしまって、真春は一切逆らえないと思い知った。
『伊織に相談してみるよ。あいつなら、ネットワークが半端じゃないから、もしかして何か掴むかもしれない。真幸さんが当てにならないなら、それに賭けても良いんじゃない?』
ジュリの提案に真春は驚く。
「田嶋さん、力貸してくれるかな。俺、田嶋さんには助けてもらってばかりだし」
シュンとなって真春は言う。
『今回のこと…………工が大怪我したのは、元々僕が六本木の鴉を追い始めたせいでもあるし、僕がみんなを巻き込んだんだからなんとかしたい気持ちもあるんだ。それに…………』
ジュリは一度言葉を切った。
「ジュリ?六本木の鴉はジュリのせいじゃないよ!六本木の鴉が表に出たことで救われた人も沢山いるんだし!」
真春はジュリが気にしていると思って、励ますように庇う言い方をした。
『…………ごめん、そのことじゃなくて。今、言うことじゃないかもしれないと思ったんだけど、僕、伊織と、付き合い始めたんだ』
ジュリの告白に真春はびっくりして固まる。
『だから、僕が頼めば、伊織は協力してくれるって言いたかったん、だけどね』
照れながらジュリは言う。
真春は信じられないと思いながらも、いつの間にそんな事になったのか謎でしかない。
とても仲が良いとは思えなかったからだ。
「…………ふたりの話は、落ち着いたらちゃんと聞かせてよ!」
不機嫌そうに真春は言う。どう言う経緯か、ちゃんと説明してもらわないと納得がいかない。
「田嶋さんが協力してくれたら嬉しい。ジュリが言うようにあの人のネットワークは半端ないと思ってるから。よろしくお願いします」
もう伊織に頼るしかないと真春は思った。
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