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quattro
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伊丹家の前に、素晴らしい爆音を轟かせた真っ赤なスーパーカーが到着すると、自動で開かれた門の中に入って行った。
ガレージの前に停車すると、ジュリが玄関から姿を現した。
「おはよう、嬢ちゃん。ったく、色気ねーなぁ。ジーパンとかクリスマスデートにありえねーだろ」
伊織は苦笑して言う。
「何?この派手な車。それに今日はデートじゃないだろ。子供相手にはジーパンでちょうど良いよ」
「カッコいいだろ?前から欲しくて何とか年内に納車出来たぜ。まぁこの先お前以外乗せねーだろうけど」
キザったらしいとジュリは冷めた目で見る。
車の価値をジュリは分かってないが、伊織が乗って来たランボルギーニアヴェンタドールロードスターは6,000万以上は軽くする。ジュリと知り合う前にオーダーはしていたが、知り合いのディーラーに無理を言って絶対に今日に間に合わせたのだった。
「別にあんたがどんな女を乗せてたとしても、まーったく興味もないけどね」
ジュリの言葉を一切無視して助手席に乗せると、伊織はリボンのついた箱をジュリに渡す。
「クリスマスプレゼント。開けてすぐ付けろ」
無理矢理渡され、ジュリは渋々箱を開ける。
ハイブランドのダイヤモンドのネックレスが入っていた。
「…………こんな高いもの貰えないけど」
呆れながらジュリは言う。流石にダイヤモンドのネックレスは、ボックスとリボンで価値が分かっていた。
「ったく、イチイチ可愛くねーな」
伊織はそう言うと箱を取り上げる。ジュリは受け取らずに済んでホッとした。
無言で伊織は車をスタートさせる。
ずっと会話もないまま、伊織の養護施設、美しの森学園に到着した。
「なあ。そんなに俺が嫌いか?」
真剣な目で伊織はジュリに尋ねる。
「うん。嫌い」
間髪入れずにあっさりジュリは言う。
「んー。俺、なんか嫌われるような事、お前にした?確かに今日のことは、無理矢理言うこと聞かせたけどさ」
ガッカリしながら伊織は言う。
「…………そう言う俺様的なところが嫌だ。僕の好みのタイプと真逆だ」
ジュリがそう言うと、伊織はジッとジュリを見つめる。
「お前の好みって?」
伊織に聞かれてジュリは初恋の相手、夏井大河を思い出す。
そして、失恋した日を思い出して辛くなる。
「…………優しくて、包容力があって、あったかい人。イケメンで紳士で、笑顔が素敵で、僕を大事にしてくれる人」
ジュリがそう言うと伊織はフッと笑う。
「それ、まんま俺じゃん。そうか、そうか。よし、付き合ってやるぞ。お前の恋人になってやる」
伊織の言葉にジュリは目が点になる。
「人の話聞いてた?あんたマジ馬鹿なの?うん、マジ気狂いだよね。どっこもかすってもないんですけど」
ジュリはそう言ってあまりにも馬鹿馬鹿しくて笑う。
その笑った顔を伊織は優しい目で見た。
「お前をずっとそうやって笑わせてやるよ」
伊織はそう言うと車から降りた。
ジュリは何を言い出すんだと思いながら、キョトンとして伊織を見つめる。
「変な奴」
ジュリはそう呟くと車から降り、施設の中に入ると、施設スタッフと子供達が伊織とジュリの到着を歓迎してくれてジュリは恥ずかしくなる。
広い食堂には、子供達が好きそうなご馳走も、ケーキも特大のものが並べられていて、お楽しみ会まであって、終始子供たちは笑顔を絶やさない。
パーティーも後半になり、伊織は前もって届けていたプレゼントをスタッフに指示して運ばせると、一人一人に手渡しで笑顔で渡していく。
もちろん子供たちは大喜びで、小さな子供たちは伊織に抱きついたり、ほっぺにキスをしたりする。
そして伊織に子供たちからもプレゼントの箱が手渡された。
子供達が書いた伊織の似顔絵に、伊織は色んな表情を子供達に見せて喜んだ。
その光景を、なんとなくむず痒い気持ちでジュリは見ていた。
ガレージの前に停車すると、ジュリが玄関から姿を現した。
「おはよう、嬢ちゃん。ったく、色気ねーなぁ。ジーパンとかクリスマスデートにありえねーだろ」
伊織は苦笑して言う。
「何?この派手な車。それに今日はデートじゃないだろ。子供相手にはジーパンでちょうど良いよ」
「カッコいいだろ?前から欲しくて何とか年内に納車出来たぜ。まぁこの先お前以外乗せねーだろうけど」
キザったらしいとジュリは冷めた目で見る。
車の価値をジュリは分かってないが、伊織が乗って来たランボルギーニアヴェンタドールロードスターは6,000万以上は軽くする。ジュリと知り合う前にオーダーはしていたが、知り合いのディーラーに無理を言って絶対に今日に間に合わせたのだった。
「別にあんたがどんな女を乗せてたとしても、まーったく興味もないけどね」
ジュリの言葉を一切無視して助手席に乗せると、伊織はリボンのついた箱をジュリに渡す。
「クリスマスプレゼント。開けてすぐ付けろ」
無理矢理渡され、ジュリは渋々箱を開ける。
ハイブランドのダイヤモンドのネックレスが入っていた。
「…………こんな高いもの貰えないけど」
呆れながらジュリは言う。流石にダイヤモンドのネックレスは、ボックスとリボンで価値が分かっていた。
「ったく、イチイチ可愛くねーな」
伊織はそう言うと箱を取り上げる。ジュリは受け取らずに済んでホッとした。
無言で伊織は車をスタートさせる。
ずっと会話もないまま、伊織の養護施設、美しの森学園に到着した。
「なあ。そんなに俺が嫌いか?」
真剣な目で伊織はジュリに尋ねる。
「うん。嫌い」
間髪入れずにあっさりジュリは言う。
「んー。俺、なんか嫌われるような事、お前にした?確かに今日のことは、無理矢理言うこと聞かせたけどさ」
ガッカリしながら伊織は言う。
「…………そう言う俺様的なところが嫌だ。僕の好みのタイプと真逆だ」
ジュリがそう言うと、伊織はジッとジュリを見つめる。
「お前の好みって?」
伊織に聞かれてジュリは初恋の相手、夏井大河を思い出す。
そして、失恋した日を思い出して辛くなる。
「…………優しくて、包容力があって、あったかい人。イケメンで紳士で、笑顔が素敵で、僕を大事にしてくれる人」
ジュリがそう言うと伊織はフッと笑う。
「それ、まんま俺じゃん。そうか、そうか。よし、付き合ってやるぞ。お前の恋人になってやる」
伊織の言葉にジュリは目が点になる。
「人の話聞いてた?あんたマジ馬鹿なの?うん、マジ気狂いだよね。どっこもかすってもないんですけど」
ジュリはそう言ってあまりにも馬鹿馬鹿しくて笑う。
その笑った顔を伊織は優しい目で見た。
「お前をずっとそうやって笑わせてやるよ」
伊織はそう言うと車から降りた。
ジュリは何を言い出すんだと思いながら、キョトンとして伊織を見つめる。
「変な奴」
ジュリはそう呟くと車から降り、施設の中に入ると、施設スタッフと子供達が伊織とジュリの到着を歓迎してくれてジュリは恥ずかしくなる。
広い食堂には、子供達が好きそうなご馳走も、ケーキも特大のものが並べられていて、お楽しみ会まであって、終始子供たちは笑顔を絶やさない。
パーティーも後半になり、伊織は前もって届けていたプレゼントをスタッフに指示して運ばせると、一人一人に手渡しで笑顔で渡していく。
もちろん子供たちは大喜びで、小さな子供たちは伊織に抱きついたり、ほっぺにキスをしたりする。
そして伊織に子供たちからもプレゼントの箱が手渡された。
子供達が書いた伊織の似顔絵に、伊織は色んな表情を子供達に見せて喜んだ。
その光景を、なんとなくむず痒い気持ちでジュリは見ていた。
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