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ジュリは予備校にも通っていた。
冬休み前のこの時期も、予備校の自習室は賑やかだったが、元々人付き合いも悪く、人に対しての興味もないので、黙々と自分の勉強だけに集中できる。
淡々と問題集をこなしている時だった。
「あ、あの」
高校生の男子がジュリに声を掛けてきた。
「……何?」
ぶっきらぼうにジュリはその男子生徒を見る。
おとなしい感じだが、清潔感のある爽やか男子だった。
「もうすぐセンター試験じゃない。どこを受けるのかなって」
高校生の質問にジュリは顔を下に向けて勉強を続ける。
「どこでも良いでしょ。あんたみたいに現役受験じゃないから喋ってる暇ないの」
ジュリは一切寄せ付けない。
「あの、良かったら、この後ご飯食べ行かない?もっと、君と話が」
ガタンとジュリは立ち上がった。
「僕は話すことないから。話しかけないで」
睨み付けると、ジュリの冷たい瞳と迫力に高校生は固まった。
全く、ウザッ。
僕に構うな。
イライラする。
予備校が終わると、ジュリはハンバーガーショップに入った。
家に帰れば夕飯はあったが、小腹が空いたのでチーズバーガーとコーラを買って窓際の席に座った。
食べている途中でスマホにメールが来た。
誰かと見ると伊丹だった。
【今夜、伊織を連れて帰る。とりあえず報告】
メールを読んで家に帰るのが億劫になった。
わざわざ家で会うの?
なんの仕事の話か知らないけど、家にまで連れて来るなよ。
ジュリは不機嫌になってチーズバーガーを食べ終わると、仕方なく家に帰るかと立ち上がった。
「伊丹さん!」
さっき声をかけてきた高校生が、数人連れで同じハンバーガーショップでまた声をかけてきて、ジュリはあからさまに嫌そうに高校生を見る。
一緒に来ていた他の高校生は席について雑談を始めていた。
「ここで食べてたなら、一緒に来れば良かったね!」
馴れ馴れしい態度に、ジュリは鬱陶しくてたまらない。
「もう帰るから」
ジュリはゴミを捨ててトレイを返却場所に置いた。
「それともう話しかけないで。別に仲良くしたいと思ってないから」
睨みつけながら言うと、隣に立っていた女子高生が笑う。
「こっちだって、仲良くしたいと思ってないわよ。ボッチで可哀想だから話しかけてるだけ」
まるで彼女ヅラの女子高生にジュリは笑う。
「あんた達とつるむぐらいなら、ボッチ最高。今後一切話しかけんな」
ジュリは2人を睨み付け帰ろうとした時だった。
目の前に真春と工が立っていた。
「よう。ジュリ」
工がジュリに話しかける。
背が高く、冷たい印象の端正な顔立ちの工と、工より小柄の美しい容姿の真春、目を引く美少女のジュリの姿に周りが注目する。
工がジュリに話しかけてきた高校生を一瞥する。
雰囲気に圧倒され、ジュリに話しかけてきた高校生と女子高生はスゴスゴと離れて行った。
「こんな所で何してんの?」
ジュリが尋ねると真春は工を見る。真春は良いとしても、工には似合わないとジュリは笑う。
「買い物に来て、店の前を通ったらジュリの姿見えたから。目立ってたよ」
楽しそうに真春は言う。
「帰るなら送るよ」
真春がジュリを誘う。黙ったままの工をジュリは見つめた。
「あの人が賭けに勝ったのに、まだつるんでたの?」
ジュリの言葉に工は苦笑いをした。
「最初の賭けに俺が勝ったから、俺が出かけるときはボディガードになってもらってるんだよ」
こりゃ、結局毎日振り回されているなとジュリは笑った。
「とにかく店を出よう」
周りの目が気になって工は言う。
3人が出て行くと、高校生はジュリの姿を目で追った。
冬休み前のこの時期も、予備校の自習室は賑やかだったが、元々人付き合いも悪く、人に対しての興味もないので、黙々と自分の勉強だけに集中できる。
淡々と問題集をこなしている時だった。
「あ、あの」
高校生の男子がジュリに声を掛けてきた。
「……何?」
ぶっきらぼうにジュリはその男子生徒を見る。
おとなしい感じだが、清潔感のある爽やか男子だった。
「もうすぐセンター試験じゃない。どこを受けるのかなって」
高校生の質問にジュリは顔を下に向けて勉強を続ける。
「どこでも良いでしょ。あんたみたいに現役受験じゃないから喋ってる暇ないの」
ジュリは一切寄せ付けない。
「あの、良かったら、この後ご飯食べ行かない?もっと、君と話が」
ガタンとジュリは立ち上がった。
「僕は話すことないから。話しかけないで」
睨み付けると、ジュリの冷たい瞳と迫力に高校生は固まった。
全く、ウザッ。
僕に構うな。
イライラする。
予備校が終わると、ジュリはハンバーガーショップに入った。
家に帰れば夕飯はあったが、小腹が空いたのでチーズバーガーとコーラを買って窓際の席に座った。
食べている途中でスマホにメールが来た。
誰かと見ると伊丹だった。
【今夜、伊織を連れて帰る。とりあえず報告】
メールを読んで家に帰るのが億劫になった。
わざわざ家で会うの?
なんの仕事の話か知らないけど、家にまで連れて来るなよ。
ジュリは不機嫌になってチーズバーガーを食べ終わると、仕方なく家に帰るかと立ち上がった。
「伊丹さん!」
さっき声をかけてきた高校生が、数人連れで同じハンバーガーショップでまた声をかけてきて、ジュリはあからさまに嫌そうに高校生を見る。
一緒に来ていた他の高校生は席について雑談を始めていた。
「ここで食べてたなら、一緒に来れば良かったね!」
馴れ馴れしい態度に、ジュリは鬱陶しくてたまらない。
「もう帰るから」
ジュリはゴミを捨ててトレイを返却場所に置いた。
「それともう話しかけないで。別に仲良くしたいと思ってないから」
睨みつけながら言うと、隣に立っていた女子高生が笑う。
「こっちだって、仲良くしたいと思ってないわよ。ボッチで可哀想だから話しかけてるだけ」
まるで彼女ヅラの女子高生にジュリは笑う。
「あんた達とつるむぐらいなら、ボッチ最高。今後一切話しかけんな」
ジュリは2人を睨み付け帰ろうとした時だった。
目の前に真春と工が立っていた。
「よう。ジュリ」
工がジュリに話しかける。
背が高く、冷たい印象の端正な顔立ちの工と、工より小柄の美しい容姿の真春、目を引く美少女のジュリの姿に周りが注目する。
工がジュリに話しかけてきた高校生を一瞥する。
雰囲気に圧倒され、ジュリに話しかけてきた高校生と女子高生はスゴスゴと離れて行った。
「こんな所で何してんの?」
ジュリが尋ねると真春は工を見る。真春は良いとしても、工には似合わないとジュリは笑う。
「買い物に来て、店の前を通ったらジュリの姿見えたから。目立ってたよ」
楽しそうに真春は言う。
「帰るなら送るよ」
真春がジュリを誘う。黙ったままの工をジュリは見つめた。
「あの人が賭けに勝ったのに、まだつるんでたの?」
ジュリの言葉に工は苦笑いをした。
「最初の賭けに俺が勝ったから、俺が出かけるときはボディガードになってもらってるんだよ」
こりゃ、結局毎日振り回されているなとジュリは笑った。
「とにかく店を出よう」
周りの目が気になって工は言う。
3人が出て行くと、高校生はジュリの姿を目で追った。
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