六本木の鴉-カラス-(鳴かない杜鵑 episode2)

五嶋樒榴

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「ガキのお守りはどーよ」

真幸が笑いながら、パソコンを打っている工に尋ねる。

「最悪です」

工の言葉に真幸は笑う。

「しょーじきな奴だな」

工は何も言わず、パソコンの画面から目を離さない。
真春が大学に行っている間だけは、真幸のそばに居られるので落ち着く。

「ガキに欲情すんなよ」

「するわけありません。眼中にありません」

「だけど、ガキはお前に懐いてんじゃん。もうだいぶお前も男抱いてないから、懐かれて食っちゃったり」

面白がっていると分かり工はため息をつく。

「食いません。それぐらいの処理は自分でしてます」

工の答えに真幸は笑う。

「ホントしょーじきな奴」

真幸はそう言うと社長室に入った。
真幸はデスクに腰掛けると煙草を吸い始める。
煙草を咥えると、伸びた後ろ髪を両手で束ねた。


もう少し伸びたら、結べそーだな。
伸ばすか。


燃え尽きた灰を灰皿に落としながら、疾風と別れてからの時間を思った。
もう季節は秋から冬に向かっていた。
あれだけ愛し合ったのに、別れは一瞬だった。
もちろん切り捨てたのは自分。
愛しているが故に疾風と別れた。
その後、何人もの女と肌を重ねても、性欲は満たされても、真幸の中が潤うことはなかった。


あー、突っ込まれてぇ。
疾風のブツに。


目を瞑ると嫌という程思い出すのは、疾風の逞しい身体と時折見せる笑顔。
もうその姿を見ることも、触れることも出来ないと思うと、ただ寂しく、月に何度か身体が疼くのだった。
ドアがノックされた。

「真春さんを大学まで迎えに行く時間なので、今日はこれで失礼します」

ドアの向こうの工の声を聞き、中に入るように真幸は言う。
工は部屋の中に入るとドアの前に立つ。

「何か?」

工が尋ねると、真幸はソファに腰掛けたまま左腕を捲った。

「傷が疼くんだ。どうしようもなく」

疾風を想いながら、バタフライナイフで傷付けた手首を工に見せる。
工は真幸に近づくと、跪いて手首を手で支え傷に舌先を這わす。

「あッ、はぁ」

真幸は喘ぎ、ベルトを緩めホックとチャックを下ろすと、自身でモノを扱き始めた。
この倒錯した快感に、真幸の性欲と心の隙間が満たされる。

「しゃぶってくれ」

工は真幸のモノを咥えると、真幸の喘ぎ声を聞きながら真幸に快楽を与える。

「はぁッ、ああッ!」

工の喉に真幸の体液が流れ落ちていく。工はそれを一滴残らず飲み干す。
工が静かに真幸から離れると真幸を見下ろす。
自分の口で堕ちた、美しく乱れた真幸に興奮する。

「やっぱしゃぶりはお前の方が上手いな」

誰との比較かと工は思ったが、疾風のはずがないので女かと思うと腹が立った。
こうして月に何度か真幸は工を求めては身体の疼きを鎮める。
工が真幸を抱かないことをわかっているからだ。

「今夜のオカズは俺か?」

わざとらしく真幸は尋ねる。

「失礼します」

工は答えず部屋を出て行った。
真幸はため息をつく。

「全く、つまんねー奴」
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