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慟哭
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女は新宿のある組長の妹だった。
詩音には詳しくは話さなかったが、二人のやり取りを聞いていると詩音の中に挿れたイケメンは、その組の若頭だったようだ。
女を慕っているようだが、いくらイケメンでも、美少年じゃないからと突っぱねられてると言った。
「どう?この子。流石に組に連れていくわけにいかないから、あんたがこの子使ってやってよ。裏で扱ってる家出してる子達がいるでしょ。この子もなんでもするって言ってたし」
詩音の身体で果てたイケメンは女と向かい合わせに座る。
「組と関係なくこいつも使えるなら良いですよ。家出の子供は正直面倒なんでね。まあ、逃げ出したとしても別にこっちも関係ないし。それまで稼いでくれたら文句はないですよ。特にこいつは顔も身体も良いしね」
詩音は話がよくわからない。ただ詩音にとっては良い話ではないのは分かる。
「あんた、名前は?」
女に聞かれて詩音は答える。
「詩音です」
女は詩音という名が本名かどうかは興味はない。
「じゃあ、詩音。しばらくここで働きなさい。あんたのことだから指名もいっぱい来そうだし。まぁ、嫌になれば逃げれば良いわよ。私もこいつも組の人間じゃない奴まで逃げても追わないし」
良い人なのか、悪い人なのか、詩音には分からなかった。 ただ、母親にバレるのを恐れながらあの男に犯されるよりは、お金で買ってもらう方がまだマシだと思った。
そうして詩音はこの街で暮らして来た。同じ境遇の同世代の少年達と寝食を共にした。
誰も愛さず、ただ金のために、男でも女でも相手をするようになった。
その生活の中で、結局詩音の容姿は妬まれ、あの様な結果になった。
そしてそんな荒んだ生活の詩音を助けてくれたのが長谷川だった。
長谷川の元に逃げても、女は最初の約束通り本当に詩音を探さなかった。いちいちそんな手間をかけなくても詩音の替えはいくらでもいるからだ。そうしてやっと詩音は歌舞伎町で約1年経って自由になれたのだった。
出会うまでの詩音の話を聞いて、長谷川は泣いていた。まだ16の子供が、なぜそんな目に遭うのか。
「お母さんは君を探しているんじゃないのかい?」
長谷川の問いに詩音は首を振った。
「一度電話したの。母さんが心配してると思って。そうしたら、母さんから言われた。僕が居なくなってあの男が母さんに言ってしまったんだ。僕を犯していたことを。母さんは僕が卒業式後にいなくなったから心配してくれたらしいけど、あの男が、詩音は自分にヤられるのが嫌になったから出て行ったんだろうって。他にも僕の身体が良かったとか言いたい放題言ったみたい。それで母さんが嫉妬したんじゃないかな。もう二度と帰ってくるなって。母さんはずっと僕が邪魔だったんだと思う。僕はどこに行っても嫌われる」
辛くなって長谷川は詩音を抱きしめる。
「もういい!君には私がいる。私とずっと暮らそう。昔のことは全て忘れるんだ!」
長谷川に抱きしめられて詩音は気持ちよかった。
「僕には先生がいる。先生が大好きです」
詩音も長谷川を抱きしめる。
いつか傷が癒えたら、詩音が心から笑えるようになったら、私の元から巣立っていくのだろう。
だから詩音に教養だけは付けさせよう。
その日から、長谷川は高卒認定試験の勉強をさせるようになった。
詩音が望めば大学だって入れてやりたいと思った。
人生は何度でもやり直せることを教えたかった。
詩音には詳しくは話さなかったが、二人のやり取りを聞いていると詩音の中に挿れたイケメンは、その組の若頭だったようだ。
女を慕っているようだが、いくらイケメンでも、美少年じゃないからと突っぱねられてると言った。
「どう?この子。流石に組に連れていくわけにいかないから、あんたがこの子使ってやってよ。裏で扱ってる家出してる子達がいるでしょ。この子もなんでもするって言ってたし」
詩音の身体で果てたイケメンは女と向かい合わせに座る。
「組と関係なくこいつも使えるなら良いですよ。家出の子供は正直面倒なんでね。まあ、逃げ出したとしても別にこっちも関係ないし。それまで稼いでくれたら文句はないですよ。特にこいつは顔も身体も良いしね」
詩音は話がよくわからない。ただ詩音にとっては良い話ではないのは分かる。
「あんた、名前は?」
女に聞かれて詩音は答える。
「詩音です」
女は詩音という名が本名かどうかは興味はない。
「じゃあ、詩音。しばらくここで働きなさい。あんたのことだから指名もいっぱい来そうだし。まぁ、嫌になれば逃げれば良いわよ。私もこいつも組の人間じゃない奴まで逃げても追わないし」
良い人なのか、悪い人なのか、詩音には分からなかった。 ただ、母親にバレるのを恐れながらあの男に犯されるよりは、お金で買ってもらう方がまだマシだと思った。
そうして詩音はこの街で暮らして来た。同じ境遇の同世代の少年達と寝食を共にした。
誰も愛さず、ただ金のために、男でも女でも相手をするようになった。
その生活の中で、結局詩音の容姿は妬まれ、あの様な結果になった。
そしてそんな荒んだ生活の詩音を助けてくれたのが長谷川だった。
長谷川の元に逃げても、女は最初の約束通り本当に詩音を探さなかった。いちいちそんな手間をかけなくても詩音の替えはいくらでもいるからだ。そうしてやっと詩音は歌舞伎町で約1年経って自由になれたのだった。
出会うまでの詩音の話を聞いて、長谷川は泣いていた。まだ16の子供が、なぜそんな目に遭うのか。
「お母さんは君を探しているんじゃないのかい?」
長谷川の問いに詩音は首を振った。
「一度電話したの。母さんが心配してると思って。そうしたら、母さんから言われた。僕が居なくなってあの男が母さんに言ってしまったんだ。僕を犯していたことを。母さんは僕が卒業式後にいなくなったから心配してくれたらしいけど、あの男が、詩音は自分にヤられるのが嫌になったから出て行ったんだろうって。他にも僕の身体が良かったとか言いたい放題言ったみたい。それで母さんが嫉妬したんじゃないかな。もう二度と帰ってくるなって。母さんはずっと僕が邪魔だったんだと思う。僕はどこに行っても嫌われる」
辛くなって長谷川は詩音を抱きしめる。
「もういい!君には私がいる。私とずっと暮らそう。昔のことは全て忘れるんだ!」
長谷川に抱きしめられて詩音は気持ちよかった。
「僕には先生がいる。先生が大好きです」
詩音も長谷川を抱きしめる。
いつか傷が癒えたら、詩音が心から笑えるようになったら、私の元から巣立っていくのだろう。
だから詩音に教養だけは付けさせよう。
その日から、長谷川は高卒認定試験の勉強をさせるようになった。
詩音が望めば大学だって入れてやりたいと思った。
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