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Act.2《これが、初恋なんだね。》
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しばらくして浩二から、正式に実子と結婚を前提として付き合い始めたと連絡が来た。
正直複雑な心境だったが、秀治は浩二におめでとうの言葉を送った。
その後からも、美奈子のお迎えの手伝いで実子と会うことはあったが、実子の幸せそうな笑顔を見るだけでなぜか秀治も満足できるようになった。
諦めるしかなかった。
ヤクザの自分が、実子に相応しい男ではない事もよく分かっている。
そして、自分の気持ちに気付くのが遅かったことも。
「まぁな。初恋は実らねぇって昔からよく言うしな」
楽しそうに雅楽は言う。
「初恋じゃないっすけどね」
車を運転しながら、認めたくなくて秀治は言う。
秀治は正式に、雅楽の用心棒兼運転手になった。
実子の事を初恋じゃないと否定はしたが、今以上好きになったら浩二にも渡したくないほど好きになっていた。
浩二の存在を知っていたせいか、恋というものを自覚していなかったせいか、どこかで自分の気持ちにブレーキを掛けていたんだと思った。
自分でも分からなかった感情。
苦くて、切なくて。
でも、どこか心が暖かくなって。
「でもさ、そんな風に思ったの初めてなんだろ?じゃあ、初恋っていうんじゃねぇの?初めて保健室の先生とセックスした時より興奮したんだろ?」
ふふふと笑いながら雅楽は言う。
「性的な興奮はしてないっすけどね。つーか……セックスとは関係なくないですか?ホント組長って、恋話好きっすよね」
照れながら秀治は言う。
「んー、そうか?でも確かに好きかもな。暇つぶしに聞くのにちょうど良いんだよ」
そう言う雅楽は、決して自分のことは語らないなと秀治は思った。
「どうせなら、お前がモノにすれば良かったんじゃねぇの?その女。お前なら落とせたんじゃね?何、譲っちゃったのよ。今からでも遅くねーから、お前、奪っちゃえよ」
楽しそうに、略奪を仄めかす雅楽の言葉に秀治は笑う。
「気になった女が、幸せになった姿を見れてそれで十分ですよ。今回の件で組長には認めてもらえたけど、俺、まだ用心棒として半人前だし、自動拳銃を完璧に扱えるまで女は自粛します」
急に聖人のようになった秀治に雅楽は笑う。
「ばっかじゃねーの。何カッコつけてストイックになろうとしてんだよ。お前ほんまモンのバカじゃねぇの?あ、バカか。バーカ、バーカ」
ガキのような雅楽に秀治は笑う。
「組長は、バカが嫌いっすか?」
秀治が尋ねると雅楽はクスリと笑う。
「ああ?嫌いじゃねぇよ。ったくよ、自粛なんて言ってねーで早く女作れよ。つまんねー」
まだ言う雅楽に秀治は笑うしかなかった。
「はい、到着です」
雅楽の数人いる女の1人のマンションに到着した。
「仕方ねぇ。お前の代わりに俺がたっぷり女を可愛がってくるわ。それとも3Pでもすっか?」
秀治の決心を聞いていなかったように楽しそうに雅楽は聞く。
「いえ、俺、組長の前じゃどうせ勃ちそうにないんで」
ふふふと笑いながら秀治は断る。
「つまんねーの」
少しがっかり気味に言う雅楽に、秀治は笑うしかなかった。
雅楽を護衛しながら車から降ろして見送ると、秀治は運転席にまた戻った。
格闘技の動画を見ながら、こんな生活も良いもんだと、いつか出会う本気で好きになれる最高の女はどんな女かと、想像しながら雅楽が戻るのを待った。
End of Act.2
To be continued.
正直複雑な心境だったが、秀治は浩二におめでとうの言葉を送った。
その後からも、美奈子のお迎えの手伝いで実子と会うことはあったが、実子の幸せそうな笑顔を見るだけでなぜか秀治も満足できるようになった。
諦めるしかなかった。
ヤクザの自分が、実子に相応しい男ではない事もよく分かっている。
そして、自分の気持ちに気付くのが遅かったことも。
「まぁな。初恋は実らねぇって昔からよく言うしな」
楽しそうに雅楽は言う。
「初恋じゃないっすけどね」
車を運転しながら、認めたくなくて秀治は言う。
秀治は正式に、雅楽の用心棒兼運転手になった。
実子の事を初恋じゃないと否定はしたが、今以上好きになったら浩二にも渡したくないほど好きになっていた。
浩二の存在を知っていたせいか、恋というものを自覚していなかったせいか、どこかで自分の気持ちにブレーキを掛けていたんだと思った。
自分でも分からなかった感情。
苦くて、切なくて。
でも、どこか心が暖かくなって。
「でもさ、そんな風に思ったの初めてなんだろ?じゃあ、初恋っていうんじゃねぇの?初めて保健室の先生とセックスした時より興奮したんだろ?」
ふふふと笑いながら雅楽は言う。
「性的な興奮はしてないっすけどね。つーか……セックスとは関係なくないですか?ホント組長って、恋話好きっすよね」
照れながら秀治は言う。
「んー、そうか?でも確かに好きかもな。暇つぶしに聞くのにちょうど良いんだよ」
そう言う雅楽は、決して自分のことは語らないなと秀治は思った。
「どうせなら、お前がモノにすれば良かったんじゃねぇの?その女。お前なら落とせたんじゃね?何、譲っちゃったのよ。今からでも遅くねーから、お前、奪っちゃえよ」
楽しそうに、略奪を仄めかす雅楽の言葉に秀治は笑う。
「気になった女が、幸せになった姿を見れてそれで十分ですよ。今回の件で組長には認めてもらえたけど、俺、まだ用心棒として半人前だし、自動拳銃を完璧に扱えるまで女は自粛します」
急に聖人のようになった秀治に雅楽は笑う。
「ばっかじゃねーの。何カッコつけてストイックになろうとしてんだよ。お前ほんまモンのバカじゃねぇの?あ、バカか。バーカ、バーカ」
ガキのような雅楽に秀治は笑う。
「組長は、バカが嫌いっすか?」
秀治が尋ねると雅楽はクスリと笑う。
「ああ?嫌いじゃねぇよ。ったくよ、自粛なんて言ってねーで早く女作れよ。つまんねー」
まだ言う雅楽に秀治は笑うしかなかった。
「はい、到着です」
雅楽の数人いる女の1人のマンションに到着した。
「仕方ねぇ。お前の代わりに俺がたっぷり女を可愛がってくるわ。それとも3Pでもすっか?」
秀治の決心を聞いていなかったように楽しそうに雅楽は聞く。
「いえ、俺、組長の前じゃどうせ勃ちそうにないんで」
ふふふと笑いながら秀治は断る。
「つまんねーの」
少しがっかり気味に言う雅楽に、秀治は笑うしかなかった。
雅楽を護衛しながら車から降ろして見送ると、秀治は運転席にまた戻った。
格闘技の動画を見ながら、こんな生活も良いもんだと、いつか出会う本気で好きになれる最高の女はどんな女かと、想像しながら雅楽が戻るのを待った。
End of Act.2
To be continued.
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