BLACK & PINK(鳴かない杜鵑 spin off2)

五嶋樒榴

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Act.1《危険な香りの男性が、初めての男-ヒト-でした。》

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オフィスを出ると成城の運転で雅楽を連れ、成城のマンションに到着した。

「すぐ戻ります」

成城がそう言うと雅楽は車の中からロックをかけた。
いつ何時、襲われるか分からないからだ。
成城が部屋に入るとゆあが出迎えた。

「お帰りなさい」

ゆあは成城に声をかける。

「お前の荷物を全て紙袋に入れろ」

成城の言葉に、やっと家に帰れるのかとゆあは喜ぶ。

「ママのところに行くの?」

笑顔でゆあは言う。

「お前は今日から組長の家に行くんだよ」

成城の言葉にゆあは凍りつく。
下を向いたまま動かない。

「さっさと支度しろ!下で組長待たせてんだよ。何か起これば面倒だ」

成城の言葉にゆあは首を振る。

「行きたくないです!ここに居させてください!ご飯もいらないです!床で寝ます!お願い!それがダメなら、家に帰してください!」

ゆあは涙を流して成城に懇願する。

「お前の所有者は組長だ。お前のじいさんの借金をお前が払うんだ。お前の自由にはならねぇんだよ」

成城の冷たい言い方にゆあは動けない。
やっとこの家にも慣れたのに、雅楽の元に行けば今までのような平和な生活を送れないのはゆあも分かっている。

「どうしてですか?私、お兄ちゃんと暮らしたいのに」

ゆあはボロボロ泣きはじめた。

「やめろ。俺はお前の兄貴でもねぇ」

冷たい言い方に、ゆあももうダメだと諦めた。
諦めて紙袋に荷物を入れると、成城に付いて雅楽の待つ車にゆあもついて行く。

「久しぶりだなぁ嬢ちゃん」

ゆあが雅楽の隣に座ると、成城は車をスタートさせた。
ゆあはもう何も考えられなかった。
雅楽が怖くて見れない。
憎しみもある。
雅楽の魔の手に堕ちることを想像するだけで身の毛がよだつ。

「随分嫌われたもんだな。無視かよ」

雅楽は怯えるゆあを見て楽しんでいる。どう可愛がろうかと想像する。
ゆあは雅楽のマンションに着かなければ良いのにと願って祈っていたが、無情にも、もう雅楽のマンションまで着いてしまった。
車から無理やり降ろされゆあは腕を掴む成城を見つめる。
どう足掻いても成城が助けてくれないのは分かっていた。
雅楽のマンションの部屋に入り、ゆあは直ぐに雅楽のベッドルームに押し込められ、キングサイズのベッドに押し倒された。
雅楽が笑いながらゆあの手首を握る。
ゆあは雅楽を見ないようにしていたが、怖くて涙が出てくる。

「成城、来い!」

成城がヤレヤレという顔でベッドルームに入ってきた。

「ネクタイを外してこいつの手首を縛れ」

ゆあは泣きながら成城を見つめる。
成城はネクタイを外すとゆあの手首を素早く縛った。

「やだッ!やあッ!」

体を丸めてゆあは抵抗する。
成城は泣き叫ぶゆあから目を逸らした。
雅楽はゆあの着ていたスウェットのパンツに手をかけズルッと一気に脱がした。

「いやぁ!やだ!やあッ!」

ゆあは悲鳴を上げて抵抗する。

「オイオイ、そう叫ぶなよ」

ネズミを追い詰めて生殺しにしている猫のように、雅楽はゆあを追い詰める。
ゆあは抵抗を止めない。

「暴れると痛いだけだぞ。少しは気を使って優しくしてやろうと思ってるんだからさぁ」

雅楽はそう言ってゆあの両膝を掴むと脚を開く。

「色気のねぇパンツ穿かせやがって。もっとそそるパンツ穿かせておけや」

雅楽は成城に笑いかける。
最後の砦のパンツに雅楽は手をかける。

「やめて!助けて!お兄ちゃん!」

ゆあが泣きながら成城を見て叫ぶ。

「お兄ちゃん?なんのことだ」

雅楽の手が止まって成城を見つめる。

「そいつが勝手に俺をそう呼んでるだけです」

成城が答えると雅楽はふふふと笑う。

「なになに?なんかのプレイか?」

雅楽はそう言うと、何かを思いついたのかゆあから手を離した。

「成城。お前がこのガキ抱けや。擬似近親相姦プレイってのも面白そうだな」

「勘弁してくださいよ」

ため息まじりに成城は言う。

「俺が女を抱いてるところ何度も見てんだろ?たまにはその逆もいいじゃねぇか」

勝手に見せるくせにと成城は思った。
ゆあは成城を見つめて大人しくなっている。

「ほらよ、このガキもお前なら良いみたいだぞ」

雅楽は笑って、ベッドの横のサイドチェストに置いてある煙草に手を伸ばす。

「ガキを抱く趣味はありません」

成城が頑なに拒むと雅楽は笑う。

「はぁッ?あー、興醒めだわ」

雅楽は自分で煙草に火を着け吸う。
ゆあは震えながら成城を見つめる。

「正直俺もこの手のガキを抱くのは面倒くせぇんだよ。下手にヤって自殺でもされたら余計に面倒だしな」

雅楽はゆあを見る。
保育園の相続人がゆあの以上、下手に追い詰められないと雅楽も分かっている。

「少しは楽しませてくれるかと思ったけど、ガッチガチの処女かよ」

面白くなさそうに雅楽は言う。
ゆあはジッと成城だけを見つめている。

「もうこいつに手は出さねぇよ。お前も子守をちゃんとやれよ。こいつは大事な金蔓だ」

雅楽は成城に笑う。
金蔓と言われては、成城もゆあの世話をするのは仕方ないと諦めた。
ゆあの手首からネクタイを外すと、成城とゆあはタクシーに乗って成城の部屋にまた戻った。
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