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……罪な人
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今となっては、過去のことより未来のことが美紅には重要だった。
龍彦と前だけを見て進むために、きちんと美奈子に分からせなければならない。
「今扱っている仕事で、龍彦と関わりを持つのは仕方ないと私も諦めます。でも、仕事以外に絶対関わりを持たないでください。もう分かっていると思いますが、私から奪おうなんて二度と思わないでください。龍彦に何かしたら、今度だけは絶対あなたを許しませんから」
「奪うなんて。千秋君のことだって美紅さんから奪うつもりはなかったんです。千秋君だって美紅さんのこと愛していたし。でも優しくされて、つい甘えてしまった」
美奈子の言い方は、どう聞いても美紅を見下しているような、開き直っているようにしか聞こえなかった。
「優しくされたら誰でも良いんですか?」
美奈子は首を振る。
「……誰でも良いわけじゃないわ。気になった人にしか興味なんてないです」
美奈子はチラッと龍彦を見た。その視線に気がついて、ずっと黙っていた龍彦が口を開く。
「俺は川瀬さんに興味をもたれてゾッとする。前にも言ったけど、あなたの事は一切眼中にないから。相手にどう思われてるか、自分の事ちゃんと分かったほうがいいですよ」
みんなに好意的に思われることはないのだと、龍彦は美奈子を完膚なきまでに拒絶する。
美奈子も美紅を知って、龍彦に対する気持ちはもう無駄だと分かっている。
「亘理さんに相手にされてないことも十分分かりました。もう美紅さんに嫌な思いをさせることもしません。千秋君のことで許せないのも分かってますから、絶対に亘理さんには仕事以外に近付きません」
淡々と語る美奈子の口調はその場しのぎにしか聞こえず、全く分かってないなと龍彦はため息をついた。
「美紅に悪かったと本気で思ってます?あなたのせいで美紅の家庭は壊れたんですよ」
「龍彦。もう良いの。この人になにを言っても無駄だわ。自分のことしか考えてないもの」
美紅ももうこれ以上は話しても無駄だと思った。結局美奈子は、誰のことも本気で愛してなどいないのではないかと感じたからだった。
俯いて美紅の声を聞いていた美奈子は、この場にいる苦痛と屈辱に耐えられなくなってきた。
なぜ自分だけが呼び出されて責められているのか、そう思うと自然と唇が動き呟き始めた。
「……何も知らないくせに。裕介のことだって、何も知らないくせに。私だって、辛かったのに。そんなに私だけが責められることなの?私だって全て失ったのよ?」
美奈子の声がだんだん大きくなった。
美紅はギョッとして美奈子を見ると、美奈子は美紅を睨んでいる。
「私だけが悪いわけじゃないのにッ!どうしてよ!千秋君だって、あなたのことを愛してるって言いながら、結局私の事が好きだったんじゃないッ!どうして私だけこうやって責められるのッ?亘理さんの事だって、好きになったらダメなの?好きになるのは自由じゃない!たまたま恋人があなただったってだけでしょ?あなた達だって別れるかもしれないじゃない!」
突然美奈子が支離滅裂に美紅にキレだした。
周りの客の視線が一気に美紅達に集まり、美紅は美奈子の姿に動揺して真っ青になって震える。
龍彦はカフェの伝票を持つと、美紅の体を支えて静かに立ち上がった。
美奈子はテーブルに突っ伏して泣いている。
「行こう」
龍彦は冷静に美紅にそう言って、美奈子を残してカフェを出た。
龍彦と前だけを見て進むために、きちんと美奈子に分からせなければならない。
「今扱っている仕事で、龍彦と関わりを持つのは仕方ないと私も諦めます。でも、仕事以外に絶対関わりを持たないでください。もう分かっていると思いますが、私から奪おうなんて二度と思わないでください。龍彦に何かしたら、今度だけは絶対あなたを許しませんから」
「奪うなんて。千秋君のことだって美紅さんから奪うつもりはなかったんです。千秋君だって美紅さんのこと愛していたし。でも優しくされて、つい甘えてしまった」
美奈子の言い方は、どう聞いても美紅を見下しているような、開き直っているようにしか聞こえなかった。
「優しくされたら誰でも良いんですか?」
美奈子は首を振る。
「……誰でも良いわけじゃないわ。気になった人にしか興味なんてないです」
美奈子はチラッと龍彦を見た。その視線に気がついて、ずっと黙っていた龍彦が口を開く。
「俺は川瀬さんに興味をもたれてゾッとする。前にも言ったけど、あなたの事は一切眼中にないから。相手にどう思われてるか、自分の事ちゃんと分かったほうがいいですよ」
みんなに好意的に思われることはないのだと、龍彦は美奈子を完膚なきまでに拒絶する。
美奈子も美紅を知って、龍彦に対する気持ちはもう無駄だと分かっている。
「亘理さんに相手にされてないことも十分分かりました。もう美紅さんに嫌な思いをさせることもしません。千秋君のことで許せないのも分かってますから、絶対に亘理さんには仕事以外に近付きません」
淡々と語る美奈子の口調はその場しのぎにしか聞こえず、全く分かってないなと龍彦はため息をついた。
「美紅に悪かったと本気で思ってます?あなたのせいで美紅の家庭は壊れたんですよ」
「龍彦。もう良いの。この人になにを言っても無駄だわ。自分のことしか考えてないもの」
美紅ももうこれ以上は話しても無駄だと思った。結局美奈子は、誰のことも本気で愛してなどいないのではないかと感じたからだった。
俯いて美紅の声を聞いていた美奈子は、この場にいる苦痛と屈辱に耐えられなくなってきた。
なぜ自分だけが呼び出されて責められているのか、そう思うと自然と唇が動き呟き始めた。
「……何も知らないくせに。裕介のことだって、何も知らないくせに。私だって、辛かったのに。そんなに私だけが責められることなの?私だって全て失ったのよ?」
美奈子の声がだんだん大きくなった。
美紅はギョッとして美奈子を見ると、美奈子は美紅を睨んでいる。
「私だけが悪いわけじゃないのにッ!どうしてよ!千秋君だって、あなたのことを愛してるって言いながら、結局私の事が好きだったんじゃないッ!どうして私だけこうやって責められるのッ?亘理さんの事だって、好きになったらダメなの?好きになるのは自由じゃない!たまたま恋人があなただったってだけでしょ?あなた達だって別れるかもしれないじゃない!」
突然美奈子が支離滅裂に美紅にキレだした。
周りの客の視線が一気に美紅達に集まり、美紅は美奈子の姿に動揺して真っ青になって震える。
龍彦はカフェの伝票を持つと、美紅の体を支えて静かに立ち上がった。
美奈子はテーブルに突っ伏して泣いている。
「行こう」
龍彦は冷静に美紅にそう言って、美奈子を残してカフェを出た。
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