優しいあなたは罪な人

五嶋樒榴

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新しい時が流れる

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龍彦の腕枕で、美紅は身体を丸めていた。
久しぶりの刺激に完全に脱力してしまった。

「落ち着いた?」

美紅の呼吸が穏やかになって龍彦は尋ねる。

「うん」

美紅は返事をして龍彦の胸に顔を埋めた。
半年以上ぶりのセックスに、ズキズキと美紅の中が痛む。
それでも龍彦に愛されて嬉しい。

「ごめん。無理させた?」

冷静になって龍彦は気になって来た。

「ううん。ちょっと痛いけど」

美紅の言葉に龍彦はフッと笑って、美紅の顔を上げさせるとおでこにキスする。

「なんか、バージンもらった気がする」

わざと冗談めかして龍彦が言うと、美紅は恥ずかしくなって龍彦に抱きつく。

「もうッ!バカぁ」

「怒んなよ。さて、美紅さん。夕飯はどうしますか?レストランまで行く?それとも部屋で食べる?」

クスクス笑いながら龍彦は尋ねる。

「頑張って着替える」

「じゃあ食べに行くか。席を予約する」

龍彦は受話器に手を伸ばしてコールする。
龍彦が横でリザーブをしている間、美紅は幸せな気持ちになっていた。
好きな人がすぐそばにいて、一つになれて。

「じゃあ、起きれるようになったら支度して」

「はぁい」

可愛い返事に龍彦はクスッと笑う。

「なんか不思議。美紅が俺の横にいるって」

「ん?」

「……ううん。絶対離さないよ」

温かい腕の中で、美紅は安らぎを感じる。
さっきまでの情熱的な激しさと違い癒される。

「たっ君。だーい好き」

美紅が甘えると、龍彦は笑顔になる。

「俺も美紅がだーい好き」

「あー。その言い方真似したー」

楽しそうな美紅の声に龍彦は幸せな気分になる。

「っとに。いちいち可愛いなぁ。食べに行く予約して正解だったな。じゃなきゃ、また抱いてる」

「もうッ!すけべー」

恥ずかしくて美紅は誤魔化す。

「だって仕方ないだろッ!ずっと我慢してたんだからッ!……だから夕飯食べたらまた抱く」

龍彦も言いながら赤面する。

「うん。良いよ。でも、さっきよりももっと優しくしてね。たっ君、後半容赦ないんだもん」

「はい。なるべく抑えるように努力します」

龍彦は言い終えるプッと笑う。美紅もプッと吹き出した。

「ねぇ、美紅。俺たち、シェアハウス出て二人で暮らさない?」

「え?」

「……同棲しようってこと。考えておいて」

龍彦は優しい顔で微笑むと、ベッドから起き上がった。
美紅は突然の告白に、どう答えて良いか分からなかった。

「たっ君」

「直ぐに返事を求めてる訳じゃないから。だから、ちゃんと考えて」

好きだと、初めて告白した時と同じ言い方をして、龍彦は美紅の髪を撫でるとシャワーを浴びに行ってしまった。
残された美紅は考え込む。
龍彦を好きだし、二人で生活をするのも嫌ではないが、どうしても心の中に不安が広がる。シェアハウスを離れるのも寂しいと感じてしまった。
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