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繋がる体と募る不安
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中学生になり、千秋と美奈子はクラスも別で接点が減っていった。
美奈子はテニス部、千秋はサッカー部に入った。
「川瀬ってやっぱ美人だよね。すっげぇ目立つ」
成田が美奈子を見つけて千秋に話しかける。
美奈子は中1のアイドルとして有名だった。
「だね。成田は小学校の時から川瀬のファンだっただろ?コクっちゃえば?」
自分の気持ちとは裏腹のことを千秋は言う。
「俺?無理無理。相手にされるわけねーじゃん」
相手にされるわけがない。
その言葉は、千秋の胸に深く刺さった。
小学生の頃とはもう違う。
親しく話す話題もない。
やっと美奈子より千秋の方が背は高くなったが、男らしい容姿ではなくまだ幼い自分に千秋は自信が持てなかった。
いつか。
自分に自信が持てたら、川瀬に好きだって告白したい。
川瀬に好きになってもらいたい。
淡い恋心は、中学3年になっても隠し続けた。
毎年、美奈子と同じクラスになれるように祈ったが、結局最後も同じクラスにはなれなかった。
体育祭も、修学旅行も、何も変化はないまま行事は過ぎていった。
そんな時、千秋は自分の初恋が終わったことを知った。
男子の学年1番人気と美奈子が付き合い始めたのだった。
みんなが羨む美男美女。
冷やかす方が恥ずかしくなる完璧なカップル。
受験が終わった時、進学する高校も2人一緒で同じだと聞いた。
千秋は学年5番以内と優秀で、都内でもトップクラスの進学校へ決まった。
もう卒業したら会えなくなると千秋は思い、最後に美奈子に気持ちだけでも伝えたいと思った。
「今だから言えるけど、小学生の時に千秋君が気になってた」
卒業式の後、美奈子を探していたときに、美奈子と真知子の会話を聞いてしまった。
「1番話しやすかったし、千秋君、他の男子と違って優しいし可愛いし」
好きな女子に、可愛いと言われるのはキツかった。
「確かに西川、可愛いカッコいいもんねー。あいつ、結構後輩とかにコクられてたみたいだし同級生にもファンがいたしね」
「うん。私も良いなって思ってた」
「へー。私はやっぱり岡崎かなぁ」
「真知子、岡崎とずっと仲良しだもんね。私も彼氏とずっと仲良くできるように頑張ろ」
聞かなければ良かったと千秋は思った。
聞いてしまったことで、もう美奈子に自分の気持ちも告白できないと思った。
勇気がなかったばかりに、千秋の初恋は中学卒業と同時に終わったのだった。
そして、その気持ちを引きずったまま美奈子に再会した。
大人になった美奈子はやはり美人で、色気も増していて、大人の女性になっていた。
自分も昔と違う。
男のくせに可愛いと言われ続けてきたが、もう大人の男になっている。
初めは、悩んでる美奈子の力になって相談を聞くだけで良かった。
少しだけ昔のように繋がりが持てれば良かった。
好きと言えずに終わった初恋を、気持ちを伝えて笑って終わりにするつもりだった。
それなのに。
結局は下心があった。
結果体の関係まで持ち、美紅を裏切る結果になってしまった。
美奈子はテニス部、千秋はサッカー部に入った。
「川瀬ってやっぱ美人だよね。すっげぇ目立つ」
成田が美奈子を見つけて千秋に話しかける。
美奈子は中1のアイドルとして有名だった。
「だね。成田は小学校の時から川瀬のファンだっただろ?コクっちゃえば?」
自分の気持ちとは裏腹のことを千秋は言う。
「俺?無理無理。相手にされるわけねーじゃん」
相手にされるわけがない。
その言葉は、千秋の胸に深く刺さった。
小学生の頃とはもう違う。
親しく話す話題もない。
やっと美奈子より千秋の方が背は高くなったが、男らしい容姿ではなくまだ幼い自分に千秋は自信が持てなかった。
いつか。
自分に自信が持てたら、川瀬に好きだって告白したい。
川瀬に好きになってもらいたい。
淡い恋心は、中学3年になっても隠し続けた。
毎年、美奈子と同じクラスになれるように祈ったが、結局最後も同じクラスにはなれなかった。
体育祭も、修学旅行も、何も変化はないまま行事は過ぎていった。
そんな時、千秋は自分の初恋が終わったことを知った。
男子の学年1番人気と美奈子が付き合い始めたのだった。
みんなが羨む美男美女。
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受験が終わった時、進学する高校も2人一緒で同じだと聞いた。
千秋は学年5番以内と優秀で、都内でもトップクラスの進学校へ決まった。
もう卒業したら会えなくなると千秋は思い、最後に美奈子に気持ちだけでも伝えたいと思った。
「今だから言えるけど、小学生の時に千秋君が気になってた」
卒業式の後、美奈子を探していたときに、美奈子と真知子の会話を聞いてしまった。
「1番話しやすかったし、千秋君、他の男子と違って優しいし可愛いし」
好きな女子に、可愛いと言われるのはキツかった。
「確かに西川、可愛いカッコいいもんねー。あいつ、結構後輩とかにコクられてたみたいだし同級生にもファンがいたしね」
「うん。私も良いなって思ってた」
「へー。私はやっぱり岡崎かなぁ」
「真知子、岡崎とずっと仲良しだもんね。私も彼氏とずっと仲良くできるように頑張ろ」
聞かなければ良かったと千秋は思った。
聞いてしまったことで、もう美奈子に自分の気持ちも告白できないと思った。
勇気がなかったばかりに、千秋の初恋は中学卒業と同時に終わったのだった。
そして、その気持ちを引きずったまま美奈子に再会した。
大人になった美奈子はやはり美人で、色気も増していて、大人の女性になっていた。
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