優しいあなたは罪な人

五嶋樒榴

文字の大きさ
上 下
5 / 195
美紅と千秋

5

しおりを挟む
千秋と美紅が付き合い始めて3ヶ月が経った。
美紅は仕事とプライベートをしっかり分けて、千秋との仕事も付き合う前以上に成果を上げていた。
千秋と付き合い始めたことで、仕事の効率が落ちたと言われるのが嫌だったからだ。
そんな美紅の頑張る姿に、千秋は益々美紅への愛おしさが増していた。

「美紅、クリスマス、どっか旅行に行かないか?」

いつものように千秋の部屋に来ている美紅に尋ねる。
今は10月。
クリスマスの予定を立てるのも、ちょうど良い時期だと美紅も思った。

「行きたい!千秋さんと旅行行きたい!どこにする?北の方の温泉とか行ってホワイトクリスマスも良いよね!」

嬉しくてはしゃぐ美紅を見て、千秋は美紅の左手を握る。

「千秋さん?」

千秋は握った美紅の指先を唇に当てた。
美紅はドキドキしながら千秋の顔を見つめる。

「散々悩んだけど、やっぱり今日言わせて」

「……………え?」

何を言われるのか分からず美紅は固まる。

「どうしたの?」

「本当は、クリスマスまで我慢しようとしたんだけど、無理」

どうしたのか分からず、美紅は大人しく黙ったまま。

「美紅。俺と結婚して」

あまりにもシンプルなプロポーズに、美紅は聞き間違いかと目を見開く。

「美紅、目、見開きすぎ。元々目がおっきいんだから、落っこちるぞ」

千秋のそんな冗談も頭に入ってこない。

「婚約指輪、一緒に買いに行ってくれる?用意しようと思ったけど、一生物だから、美紅に好きなの選んで貰いたいんだ」

美紅の大きな瞳から、ポロポロと涙が溢れる。

「美紅」

千秋は照れ笑いをする。

「びっくりしたのッ!びっくりしたー!びっくり…………」

わぁんと美紅は泣く。
嬉しすぎて涙が止まらない。
千秋の腕の中で美紅はしばらく泣いた。

「……………クリスマスまで我慢できなかった。1日も早く言いたかった。クリスマスには、婚約指輪してる美紅と旅行に行きたかったから。ごめん、なんでもない日に、しかも俺の部屋とかムードも無かったよな」

千秋の腕の中で美紅は思いっきり首を振る。

「なんでもない日じゃない!千秋さんがプロポーズしてくれた日だもん!私にとって記念日が増えたもん!場所なんて関係ないもん!」

美紅が可愛すぎて、千秋はもう顔が緩みっぱなしになる。

「あ、あれ?俺、返事貰ったっけ?」

盛り上がりすぎて、美紅からちゃんと返事を貰ってないことを千秋は気付く。

「あ、そうだッ!してないッ!」

慌てる美紅に千秋は微笑む。

「結婚しよう、美紅。美紅を一生大切にする。ずっと俺のそばに居て欲しい」

「はい。千秋さんのそばに一生います」

泣き笑いの美紅から返事を貰って笑顔になる千秋。
絶対に幸せな家庭を築くと美紅に誓った。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...