あなたの指先で触れられたい

五嶋樒榴

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俺と君

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リビングに戻ると蓮見は真冬を起こそうと声をかける。
「真冬。星川帰ったよ。真冬も部屋に行こう」
「んー。お腹、いっぱぁい」
完璧酔って寝ぼけている。
蓮見は微笑むと、真冬の額の髪を指で払った。
「しょうがない」
蓮見は華奢な真冬をひょいと軽々抱き上げると真冬の部屋に運んだ。
飲めないくせに、なぜ梅酒を飲んだのか蓮見には分からなかったが、眠る真冬の顔をずっと眺めていたかった。
ベッドの上に静かに下ろすと、真冬はうっすらと目を開けた。
「んッ。せ、先生?」
目をこすりながら真冬は蓮見を見つめる。
「大丈夫かい?梅酒を飲んで酔ったんだよ。酒弱いのに、なんで飲んだの?」
静かな口調で蓮見は尋ねる。
「うーん。先生と星川さんが楽しそうに飲んでたから、僕も仲間に入りたくてぇ」
そんな理由かと蓮見は笑いそうになった。
「今夜はもうおやすみ。着替えられるかい?」
「無理ぃ」
真冬は甘えて万歳をする。
その仕草も可愛くて、蓮見はドキドキする。

昨日タップリ抜いて良かった。
じゃなきゃ、こんな可愛い姿見たら襲ってしまう。

まだ理性が勝てるほど余裕があった。
万歳をしている真冬の洋服を脱がす。
白い肌にドキドキしながら、新しいTシャツを着せる。
ジーパンを脱がせると、流石に理性を保つためにパンツを替えるのは断念した。
横になった真冬にタオルケットをかけて、エアコンの冷房のタイマーをセットしてかける。
まだ蒸し暑い夜だった。
大人しくなったので寝たかなと顔を覗き込むと、真冬は寝ぼけ眼で蓮見の首に腕を回し抱きついてきた。
「真冬?」
次の瞬間、真冬が唇を蓮見の唇にくっつけた。柔らかい唇が、ふにゃっと軽く触れた。
真冬からのキスは直ぐに離れたが、真冬とキスしたことで蓮見のスイッチが入ってしまい、我慢が出来ずに真冬の頭をグイと引き寄せると唇を奪った。
真冬の唇を吸いながら、舌を真冬の口の中に捻じ込んだ。
真冬の舌を捕えると、舌を絡ませて真冬の舌を吸う。
「んんッ!んーッ!」
息苦しくて真冬は声を出す。蓮見は御構い無しに真冬の唇を貪り続ける。
クチュクチュと音を鳴らし、深く深く、蓮見のねちっこいキスは続く。
「んんんッ!」
真冬がもがいて暴れると、蓮見は諦めて真冬の唇を解放した。
ハァハァと真冬が息を整えながら蓮見を見つめる。
目が覚めていた。
「先生、今、僕に」
蓮見が真冬の頬に手で触れると真冬はビクッとした。目に涙を浮かべていて、その顔が可愛すぎて堪らない。もっと弄りたいと思ってしまった。
「ごめん。酔ってた。ごめんよ」
蓮見はそう言って真冬の頬から手を離し、もう何も言わずに部屋を出た。
真冬は唇に手を当てて動けなかった。

息苦しかったのに、すごく、気持ち良かった。
先生のキス、すごく、凄かった。

真冬はドキドキが止まらなかった。
なぜ蓮見が自分にキスをしたのかその意味が分からなかったが、気持ち良くて嫌じゃなかった。
逆にもっとして欲しくなっていて真冬は戸惑う。

僕、変だ。
朝から先生に嫉妬したり、キスが気持ち良く感じたり。
さっきだって、星川さんとばかり話をしてるのがつまらなくて嫌だった。
なんで、こんな気持ちになってるんだろ。

考えがまとまらなくて真冬はパニックだった。
でも一方的に、あんなに熱いキスをしてきた蓮見に腹はたっていない。
逆に嬉しいとさえ思ってしまっていた。
そしてパニックになっているのは蓮見もそうだった。
柔らかな真冬の唇。絡めた舌をもっと吸いたかった。

あー!
何してるの!
完璧、目を覚ましてたじゃん!
きっと酔いも醒めてたよね!
明日、どんな顔をすれば良い?
いや、避けられるかもしれない!

頭を抱えて蓮見はベッドに腰掛けて項垂れる。
止められなかった自分の理性が恨めしい。
誤魔化せないキスをしてしまったことに後悔していた。
後悔しながらも、真冬の唇を思い出すとつい顔が緩んでしまう。
柔らかい唇。微かに梅酒の甘い香りが漂っていた。
ベッドに横になると、真冬を抱えた掌を見つめる。
まだ温もりが残っているようで、更に真冬への恋心が強くなる。
愛おしくて愛おしくて、大切にしたくて、真冬の心を壊せないと思ってしまった。

明日、謝ろう。
どんな結果になっても、自分がした事をこれ以上後悔しても仕方ない。
後悔?
キスした事に後悔はないけど、真冬を失うことが怖いんだ。

今は空っぽな腕の中に真冬の幻影を見ながら、蓮見はため息をついて目を瞑った。
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