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俺と君
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「今夜は何にしようかな」
食事が済むと、2人はせっかくだからと普段は使わない高級なスーパーに寄った。
真冬がカートを押す隣で、蓮見はポイポイと目につくものをカゴに入れる。
「ちょっ!先生!またそうやって無闇に入れる」
プンプンして真冬が蓮見を睨む。
「えー、だってこれも美味そうだし。ビールのつまみにしたいしー」
「全く、これだから先生は経済観念ないんだから。確かに先生はお金持ちだけど、こう言う買い方はダメ。ほら、賞味期限もチェックしてない」
ブツブツ言いながら、真冬はカゴの中身を減らす。
「あー、それもかよー」
蓮見は戻されて泣く泣く諦める。
周りから見たら、仲のいい兄弟か何かに見えたのか、近くにいた上品そうなマダムが「しっかりした弟さんね」と声をかけて行った。
「兄弟に見られたね」
嬉しそうに真冬が言うが、蓮見は少し複雑だった。
「今夜何食べたい?おにーちゃん」
わざと真冬が言うと、蓮見もフッと笑った。
「真冬が食べたい」
と言いたいのをグッとこらえた。
「昼はパスタだったし、和食かな。刺身とかいいな。でもステーキも捨てがたい」
真冬は食材を吟味している。
「どっちにしようかなぁ。両方食べちゃう?」
真冬が珍しく蓮見の言うことを全て受け入れた。
「うんうん。両方にしよう。刺身は中とろが良いな」
蓮見も嬉しくなって刺身を見始めた。
「これぐらいの量ならちょうど良いね。って、めっちゃ高い。さすがいつものスーパーと違う」
値段を見て真冬は怖気ついたが、蓮見は笑って真冬が手に取った刺身をカゴに入れた。
「今夜は真冬のバイトが決まったお祝い。奮発、奮発」
蓮見が言うと真冬は笑顔で蓮見を見つめる。
「ありがとう。じゃあ、ケーキも買って」
さっきパフェを食べたのにまだケーキも食べれるのかと、辛党の蓮見には驚きだったが、もちろん可愛い真冬のおねだりはなんでも聞いてしまう。
「良いよ。どこのケーキにする?」
「目黒駅の近くのパティスリーが良い。あそこのケーキ、美味しいって評判なんだ」
さすがに詳しいなと蓮見は笑った。
真冬が食べたいと言ったヒレのステーキ肉も買って、2人はスーパーを出ると目黒駅の近くのケーキ屋に寄った。
好きなケーキを選ばせて、蓮見もお付き合いでチーズケーキを買った。
「ここね、チーズケーキが1番人気なんだ。先生にも食べて欲しかったから嬉しい」
それでこの店を選んだのかなと蓮見は思った。
確かに1人で食べるより、2人で食べた方が美味しいよなと蓮見も思った。
そう言った気遣いが、真冬はできるのだ。
蓮見はどんどん真冬にはまって、ズブズブに抜け出せなくなっているのが少しだけ辛かった。
家に着くと、真冬は食材を冷蔵庫にしまった。
「少し大学の課題をやるね。先生もゆっくりしていてね」
真冬が部屋に入っていくと、蓮見は冷蔵庫からビールを出してソファーで飲み始めた。
真冬とのデートが心地良かった。
もっと2人で色々な所に行きたかった。
カレンダーを見ると、9月は連休が多いなと思った。
2人で温泉とか行ってみたいなー。
広い温泉に入って。
と思った瞬間、また興奮してきてしまった。
真冬が温泉に浸かる姿や、浴衣姿が眼に浮かぶと、どう考えても色っぽい真冬が思い描かれて蓮見は頭に血が上ってきてしまった。
俺は馬鹿か!
真冬と温泉とか自殺行為だろ!
あー、もぉ、マジきつー。
蓮見は動けなかった。
気持ちを鎮めないと爆発しそうだった。
顔に手を当て項垂れながら、興奮を冷まそうと必死に自分と戦う。
少し落ち着いてくるとビールをゴクゴクと飲んだ。
後輩の男の子にキスしちゃってさ。
真冬の言葉が思い浮かんで苦しくなる。
嫉妬で狂いそうになる。
自分も真冬からキスされたくて堪らない。
ジュースに酒混ぜちゃうとか。
悪魔が囁く。
ダメだよ!そんな確信犯的なことして、バレたら真冬に嫌われるよ!
天使が囁く。
大丈夫、大丈夫。
少しだけだから、バレやしないって。
ダメだよ!真冬が可愛そう!
蓮見の脳内で悪魔と天使が言い争う。
「あー!マジ!うるさい!!」
つい大声を出してしまった。
しかし、逆に少しスッキリした。
「どうしたの?大声出して」
部屋から何事かと真冬が出てきて蓮見を見つめる。
「いや、なんでもない。ちょっと、声出してスッキリしたかった」
照れながら蓮見は言うが、真冬はため息をつく。
「本当に、最近先生とても変だよ。落ち着きないし、上の空だったり。仕事大変なの?病院のことは何もわからないけど、ちゃんと休んでね」
心配そうに蓮見を見る真冬に、蓮見は頭を掻いた。
「うん。ごめん、心配かけて。本当に大丈夫だから。勉強の邪魔してごめん」
恥ずかしがりながら蓮見は謝ると、真冬は天使の笑顔になった。
「あとで肩揉んであげるね」
真冬はそう言うと部屋に戻って行った。
蓮見はため息をつくと、ソファーに横になった。
食事が済むと、2人はせっかくだからと普段は使わない高級なスーパーに寄った。
真冬がカートを押す隣で、蓮見はポイポイと目につくものをカゴに入れる。
「ちょっ!先生!またそうやって無闇に入れる」
プンプンして真冬が蓮見を睨む。
「えー、だってこれも美味そうだし。ビールのつまみにしたいしー」
「全く、これだから先生は経済観念ないんだから。確かに先生はお金持ちだけど、こう言う買い方はダメ。ほら、賞味期限もチェックしてない」
ブツブツ言いながら、真冬はカゴの中身を減らす。
「あー、それもかよー」
蓮見は戻されて泣く泣く諦める。
周りから見たら、仲のいい兄弟か何かに見えたのか、近くにいた上品そうなマダムが「しっかりした弟さんね」と声をかけて行った。
「兄弟に見られたね」
嬉しそうに真冬が言うが、蓮見は少し複雑だった。
「今夜何食べたい?おにーちゃん」
わざと真冬が言うと、蓮見もフッと笑った。
「真冬が食べたい」
と言いたいのをグッとこらえた。
「昼はパスタだったし、和食かな。刺身とかいいな。でもステーキも捨てがたい」
真冬は食材を吟味している。
「どっちにしようかなぁ。両方食べちゃう?」
真冬が珍しく蓮見の言うことを全て受け入れた。
「うんうん。両方にしよう。刺身は中とろが良いな」
蓮見も嬉しくなって刺身を見始めた。
「これぐらいの量ならちょうど良いね。って、めっちゃ高い。さすがいつものスーパーと違う」
値段を見て真冬は怖気ついたが、蓮見は笑って真冬が手に取った刺身をカゴに入れた。
「今夜は真冬のバイトが決まったお祝い。奮発、奮発」
蓮見が言うと真冬は笑顔で蓮見を見つめる。
「ありがとう。じゃあ、ケーキも買って」
さっきパフェを食べたのにまだケーキも食べれるのかと、辛党の蓮見には驚きだったが、もちろん可愛い真冬のおねだりはなんでも聞いてしまう。
「良いよ。どこのケーキにする?」
「目黒駅の近くのパティスリーが良い。あそこのケーキ、美味しいって評判なんだ」
さすがに詳しいなと蓮見は笑った。
真冬が食べたいと言ったヒレのステーキ肉も買って、2人はスーパーを出ると目黒駅の近くのケーキ屋に寄った。
好きなケーキを選ばせて、蓮見もお付き合いでチーズケーキを買った。
「ここね、チーズケーキが1番人気なんだ。先生にも食べて欲しかったから嬉しい」
それでこの店を選んだのかなと蓮見は思った。
確かに1人で食べるより、2人で食べた方が美味しいよなと蓮見も思った。
そう言った気遣いが、真冬はできるのだ。
蓮見はどんどん真冬にはまって、ズブズブに抜け出せなくなっているのが少しだけ辛かった。
家に着くと、真冬は食材を冷蔵庫にしまった。
「少し大学の課題をやるね。先生もゆっくりしていてね」
真冬が部屋に入っていくと、蓮見は冷蔵庫からビールを出してソファーで飲み始めた。
真冬とのデートが心地良かった。
もっと2人で色々な所に行きたかった。
カレンダーを見ると、9月は連休が多いなと思った。
2人で温泉とか行ってみたいなー。
広い温泉に入って。
と思った瞬間、また興奮してきてしまった。
真冬が温泉に浸かる姿や、浴衣姿が眼に浮かぶと、どう考えても色っぽい真冬が思い描かれて蓮見は頭に血が上ってきてしまった。
俺は馬鹿か!
真冬と温泉とか自殺行為だろ!
あー、もぉ、マジきつー。
蓮見は動けなかった。
気持ちを鎮めないと爆発しそうだった。
顔に手を当て項垂れながら、興奮を冷まそうと必死に自分と戦う。
少し落ち着いてくるとビールをゴクゴクと飲んだ。
後輩の男の子にキスしちゃってさ。
真冬の言葉が思い浮かんで苦しくなる。
嫉妬で狂いそうになる。
自分も真冬からキスされたくて堪らない。
ジュースに酒混ぜちゃうとか。
悪魔が囁く。
ダメだよ!そんな確信犯的なことして、バレたら真冬に嫌われるよ!
天使が囁く。
大丈夫、大丈夫。
少しだけだから、バレやしないって。
ダメだよ!真冬が可愛そう!
蓮見の脳内で悪魔と天使が言い争う。
「あー!マジ!うるさい!!」
つい大声を出してしまった。
しかし、逆に少しスッキリした。
「どうしたの?大声出して」
部屋から何事かと真冬が出てきて蓮見を見つめる。
「いや、なんでもない。ちょっと、声出してスッキリしたかった」
照れながら蓮見は言うが、真冬はため息をつく。
「本当に、最近先生とても変だよ。落ち着きないし、上の空だったり。仕事大変なの?病院のことは何もわからないけど、ちゃんと休んでね」
心配そうに蓮見を見る真冬に、蓮見は頭を掻いた。
「うん。ごめん、心配かけて。本当に大丈夫だから。勉強の邪魔してごめん」
恥ずかしがりながら蓮見は謝ると、真冬は天使の笑顔になった。
「あとで肩揉んであげるね」
真冬はそう言うと部屋に戻って行った。
蓮見はため息をつくと、ソファーに横になった。
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