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リベンジ
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礼央が次の日が休みの日、橋元はまた礼央を家に呼んだ。
これでオンコールがあっても、礼央に部屋で待っててもらえると思った。
ふたりで過ごす時間を少しでも長くほしかった。
内心オンコールが来ないことを祈る。
そろそろ後輩の小野田に及第点を出して、緊急時の対応も任せても良いかなと言う気持ちもあったが、後1年は正直様子を見たいと思っていた。
インターホンが鳴る。
橋元は礼央を出迎えた。
「こんばんわ。ボンゴレの材料買ってきてくれた?」
早く礼央が橋元の部屋に来れるように、礼央に頼まれた材料をスーパーで買ってきたのは橋元だった。
「えーと、あさりとニンニクと白ワインで良かったっけ?あと、レタスとトマトときゅうりと」
橋元がキッチンに進みながら礼央から頼まれたものを口にする。
「あ、あと生ハムな。買ってきたよ」
前回のやり直しとばかりに、ボンゴレと生ハムのサラダ。同じメニューだった。
礼央は材料を確認すると、手を洗って微笑む。
「大丈夫そうだね。作るから総司さんはそっちで座ってる!またちょっかい出しそうだから」
礼央が言うと橋元は笑う。
「はいはい。王子の機嫌損ねると、キスどころか飯も食えなくなるからな」
橋元がそう言って大人しくソファに座ると、礼央はあっかんべーをした。
礼央の包丁の音を聞きながら、橋元はテレビを見ていたが、リビングのテーブルの上の煙草とジッポーを手に取るとベランダに出た。
曇り空で、月は見えない。
今夜は雨の予報だった。
雨が降る前にと橋元は一服する。
橋元がベランダで煙草を吸う後ろ姿を、礼央は見つめながらパスタを茹でていた。
好きと自分も橋元に告白して、橋元も礼央を大切にしてくれるのが嬉しくて幸せで、ずっとずっとそばにいたいと思った。
しばらくすると一服を終えた橋元がリビングに戻ってきた。
「雨が降りそうだ。礼央、泊まって行くだろ?」
橋元の言葉に礼央はドキンとした。
「うん。明日、休みだし……………泊まる準備もしてきた」
礼央が答えると橋元は微笑む。
「じゃあ、今夜は抱き枕な」
ニヤリとして橋元が言うと礼央は真っ赤になる。
「良いよ!そう約束したから!でも、抱き枕だけだよ!」
照れ隠しで礼央は言う。
抱き枕だけで済むはずがないことは分かっている。
「はいはい。お前が嫌がるまでずっと抱きしめまくる」
優しい顔で橋元が言うと、礼央は恥ずかしそうに笑う。
「そろそろできるよ。サラダをテーブルに運んで」
礼央はサラダをカウンターに置く。
橋元は言われるまま、サラダを運び、皿やカトラリーもテーブルに運んだ。
熱々のボンゴレを礼央が運ぶと、ふたりは向かい合わせで座る。
全く同じメニューでも、全く違う感覚。
幸せな空間に橋元も礼央も穏やかな気持ちだった。
これでオンコールがあっても、礼央に部屋で待っててもらえると思った。
ふたりで過ごす時間を少しでも長くほしかった。
内心オンコールが来ないことを祈る。
そろそろ後輩の小野田に及第点を出して、緊急時の対応も任せても良いかなと言う気持ちもあったが、後1年は正直様子を見たいと思っていた。
インターホンが鳴る。
橋元は礼央を出迎えた。
「こんばんわ。ボンゴレの材料買ってきてくれた?」
早く礼央が橋元の部屋に来れるように、礼央に頼まれた材料をスーパーで買ってきたのは橋元だった。
「えーと、あさりとニンニクと白ワインで良かったっけ?あと、レタスとトマトときゅうりと」
橋元がキッチンに進みながら礼央から頼まれたものを口にする。
「あ、あと生ハムな。買ってきたよ」
前回のやり直しとばかりに、ボンゴレと生ハムのサラダ。同じメニューだった。
礼央は材料を確認すると、手を洗って微笑む。
「大丈夫そうだね。作るから総司さんはそっちで座ってる!またちょっかい出しそうだから」
礼央が言うと橋元は笑う。
「はいはい。王子の機嫌損ねると、キスどころか飯も食えなくなるからな」
橋元がそう言って大人しくソファに座ると、礼央はあっかんべーをした。
礼央の包丁の音を聞きながら、橋元はテレビを見ていたが、リビングのテーブルの上の煙草とジッポーを手に取るとベランダに出た。
曇り空で、月は見えない。
今夜は雨の予報だった。
雨が降る前にと橋元は一服する。
橋元がベランダで煙草を吸う後ろ姿を、礼央は見つめながらパスタを茹でていた。
好きと自分も橋元に告白して、橋元も礼央を大切にしてくれるのが嬉しくて幸せで、ずっとずっとそばにいたいと思った。
しばらくすると一服を終えた橋元がリビングに戻ってきた。
「雨が降りそうだ。礼央、泊まって行くだろ?」
橋元の言葉に礼央はドキンとした。
「うん。明日、休みだし……………泊まる準備もしてきた」
礼央が答えると橋元は微笑む。
「じゃあ、今夜は抱き枕な」
ニヤリとして橋元が言うと礼央は真っ赤になる。
「良いよ!そう約束したから!でも、抱き枕だけだよ!」
照れ隠しで礼央は言う。
抱き枕だけで済むはずがないことは分かっている。
「はいはい。お前が嫌がるまでずっと抱きしめまくる」
優しい顔で橋元が言うと、礼央は恥ずかしそうに笑う。
「そろそろできるよ。サラダをテーブルに運んで」
礼央はサラダをカウンターに置く。
橋元は言われるまま、サラダを運び、皿やカトラリーもテーブルに運んだ。
熱々のボンゴレを礼央が運ぶと、ふたりは向かい合わせで座る。
全く同じメニューでも、全く違う感覚。
幸せな空間に橋元も礼央も穏やかな気持ちだった。
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