長い夜、蒼い月

新たな男

７１

月曜日、ジェイクは優姫を思いながら自分でした事で、優姫をまともに見れなかった。
優姫もジェイクを思い浮かべて自分でした事が恥ずかしくて、ジェイクと目を合わせない。
ギクシャクした空気の中、それでも仕事を2人はこなした。
ジェイクは優姫が自分を避けていることに気がつき気分が沈む。優姫はとにかく平静を装うので精一杯だった。
ジェイクを思いながら触った時、いつも以上に気持ちよかったのが、余計ジェイクを意識させた。


　男と女って、男同士でやるのとやっぱり違うよね。
　あそこに入れるんだもんね。
　あそことお尻の穴ってどっちが狭いんだろう。 
　でも女の人の穴は伸びるの？ビヨーンて感じ？


仕事が終わり、帰り道に優姫はそんなことを思いながら歩いていた。
想像もつかず、優姫はもっと自分の身体を知らないとダメだと思った。
とりあえず思い立ち本屋に入った。
家庭の医学書や妊娠するための本など色々立ち読みした。


　精子と卵子が。
　って、そんなの知っとるわっ！
　そうじゃなくて、そうじゃなくてー！


ふと目に飛び込んだ、セックスのハウツー本。
周りをキョロキョロと挙動不審に見渡すと、さわりだけ読んでみる。


　キタコレ！
　そうだよ、コレコレ！
　でも、こんなのここで買えないし、とりあえずタイトルだけ覚えておいてネットで買おう！


優姫は本をとりあえず戻すと、興奮を抑えて何もなかったように立ち去ろうとするが人影が優姫に被さる。

「お前、マジやばい奴だったぞ」

ジェイクが優姫を見下ろしていて、悲鳴をあげそうになった。

「なっ、なんでジェイクがっ！」

ブツブツ呟きながら歩く優姫が気になって付いてきたとも言えず、ジェイクはたまたまだと誤魔化した。
優姫は自分の醜態を見られたと思うと穴があったら入りたい。

「とりあえず、コーヒーでも飲みに行くぞ」

周りの目がジェイクに集まっているので、ジェイクは優姫を連れ去った。
コーヒーショップに入ると、2人は向かい合わせで座った。

「あんなところで、なんの本探してたんだよ」

片肘で頬杖をついてジェイクは聞いた。

「えーと、生命の神秘を」

「セックスのハウツー本でか？」

優姫はアイスキャラメルマキアートを吹きそうになった。

「し、しっかり、み、見てたんじゃないかっ！」

赤面して優姫は言った。

「どうしたよ。BL好きのユーキが男女の興味出てきたか？」

ニヤニヤしてジェイクが言う。優姫は恥ずかしくて俯く。