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小悪魔
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日曜日になり、一夜の部屋に栞が来ていた。
一夜はリビングで栞にコーヒーを淹れる。
いつもと雰囲気が違って栞は落ち着かない。
また焦らされてる?
それとも、何かあたし嫌われるようなことした?
どうしていいか分からず栞はコーヒーを飲む。
一夜も栞を前にしてどうしたものか悩んでいた。
いっぱい可愛がる約束をしていたが、いざ栞を目の前にして何故か手が出ない。
これ以上はもう栞とも離れろ。
ジェイの言葉が頭に浮かぶ。
由紀子との昨日の情事を思い出した。
由紀子に好きと言われた時、つい自分も
僕も。
と、言ってしまっていた。由紀子には聞こえていなかったが。
ジェイクにもこれは言っていない。
一夜は由紀子を好きになっていた。
でもそれは認められない。
割り切った大人の関係として始まったのだから。
「どうして電話した時、あんなことしたの?」
一夜は何かにイラついて、つい栞に尋ねてしまった。栞はビクついて一夜を見る。
あの時のことを突然聞かれるとも思っていなかったので、栞は恥ずかしくて泣きそうになった。
「一夜に会えなくて、ずっと会いたくて。寂しかったから」
栞は答え始める。
「電話で声を聞いたら、どうしても我慢できなくて」
悪いことをして怒られている子供のように栞は下を俯く。
「ダメって思っても止められなくて。でも信じて。一夜に会うまでそんなことしたことないの。初めてしたの」
潤んだ瞳で一夜を栞は見る。
「もうしません。ごめんなさい」
ポタポタ涙が落ちる。
「正直言うと、本当に信じられないくらいびっくりした。ただ普通に電話してるつもりだったから、それだけで興奮する栞の性欲の強さに引いた」
一夜も思ったことを素直に話し始めた。
「確かに、僕にも責任あると思うけど、栞が理解できなかった。まだ会ってそんなに経ってないし、実質的に身体の繋がりも無かったし」
栞は無言で泣いている。
「でも、逆にそれが栞を欲求不満にさせたのかな?それともこうなる結果は一緒だった?」
栞は首を振った。
「あたしにも分からない。一夜があたしを変えたとしか言えない」
「僕はこの先も栞を好きになることはないよ」
一夜の言葉に栞は胸が痛い。
「前の奥さんを忘れられないから?」
一夜は無言で首を振り否定した。
「誰かと恋愛することを考えてないから。栞とのことも、最初から可愛いとは思ったけど、じっくりオンナにしてみたいって思っただけだから」
それは初めから言われている。それでもいつか好きになってくれるという期待があった。
一夜はリビングで栞にコーヒーを淹れる。
いつもと雰囲気が違って栞は落ち着かない。
また焦らされてる?
それとも、何かあたし嫌われるようなことした?
どうしていいか分からず栞はコーヒーを飲む。
一夜も栞を前にしてどうしたものか悩んでいた。
いっぱい可愛がる約束をしていたが、いざ栞を目の前にして何故か手が出ない。
これ以上はもう栞とも離れろ。
ジェイの言葉が頭に浮かぶ。
由紀子との昨日の情事を思い出した。
由紀子に好きと言われた時、つい自分も
僕も。
と、言ってしまっていた。由紀子には聞こえていなかったが。
ジェイクにもこれは言っていない。
一夜は由紀子を好きになっていた。
でもそれは認められない。
割り切った大人の関係として始まったのだから。
「どうして電話した時、あんなことしたの?」
一夜は何かにイラついて、つい栞に尋ねてしまった。栞はビクついて一夜を見る。
あの時のことを突然聞かれるとも思っていなかったので、栞は恥ずかしくて泣きそうになった。
「一夜に会えなくて、ずっと会いたくて。寂しかったから」
栞は答え始める。
「電話で声を聞いたら、どうしても我慢できなくて」
悪いことをして怒られている子供のように栞は下を俯く。
「ダメって思っても止められなくて。でも信じて。一夜に会うまでそんなことしたことないの。初めてしたの」
潤んだ瞳で一夜を栞は見る。
「もうしません。ごめんなさい」
ポタポタ涙が落ちる。
「正直言うと、本当に信じられないくらいびっくりした。ただ普通に電話してるつもりだったから、それだけで興奮する栞の性欲の強さに引いた」
一夜も思ったことを素直に話し始めた。
「確かに、僕にも責任あると思うけど、栞が理解できなかった。まだ会ってそんなに経ってないし、実質的に身体の繋がりも無かったし」
栞は無言で泣いている。
「でも、逆にそれが栞を欲求不満にさせたのかな?それともこうなる結果は一緒だった?」
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「僕はこの先も栞を好きになることはないよ」
一夜の言葉に栞は胸が痛い。
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一夜は無言で首を振り否定した。
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