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ロク
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敵対組織との抗争で、三木を庇った鷹雄が大怪我を負い病院に運ばれた。
手術は成功に終わったものの予断を許さない状況で、美都子は献身的に眠り続ける鷹雄の看病をしていた。
「姐さん。少し休まれた方が良いです」
子分の1人、幸夫が心配そうに美都子に気を遣う。
「五月蝿いわ。あんたらが鷹雄を守らんと、こんな目に遭わせたんじゃないか」
この度の抗争事件は鷹雄だけでなく、三木の子分や舎弟達も何人か犠牲になり、政龍組にとっては大きな深手となった。
「ヤスは?」
鷹雄が1番可愛がっている、舎弟のヤスの姿が見えないので、美都子は更に苛立つ。
「三木組長の所に」
その答えに美都子は鼻で笑う。
「良い気なもんよね。鷹雄がこんな目に遭ってるって言うのに」
組のことを考えれば、三木が助かった事に安堵するべきだったが、今の鷹雄の姿に、美都子は内心三木が死ねば良かったのにと思っていた。
「姐さん、顔色が悪いですよ。夜通し付きっきりなんですから少しは休まれた方が」
ふらつく美都子を、幸夫が心配する。
「大丈夫よ。鷹雄を支えるのは私以外いないんだから」
少し外の空気を吸おうと美都子は病室から出ると、数人の女の姿が鷹雄の病室の前にあって、美都子は鬱陶しそうに鷹雄の愛人達を睨んだ。
「あんたら、ここで何してんのや。ここは鷹雄の病室の前だよ。やっすい香水の匂いぷんぷんとさせて邪魔だっての」
美都子の威嚇に女達はクスクス笑う。
「美都子さんがいたら、いつまで経っても会長も目、覚さないんじゃないんですか?」
「何だって!」
美都子はカッとして、挑発して来た女の髪を握って引っ張る。
「痛いッ!やめてよ!」
女同士の喧嘩が始まり、子分達は美都子と女達を引き離す。
「あんたらに何が分かるんだよッ!私は鷹雄の正妻なんだよ!さっさと帰り!」
子供を産めない美都子が、鷹雄の女達に影で馬鹿にされているのは十分に承知している。
騒ぎになり、病院の警備員達も走り寄って来た。
美都子は子分たちに支えられてハァハァと息を荒げる。
「姐さん、大丈夫ですか?姐さん!」
呼吸が不規則になり、美都子はその場で倒れた。
この騒動だけのせいではないが、元々体が弱い所に心労が祟り、美都子はそのまま鷹雄の隣の病室に入院する事になったのだった。
手術は成功に終わったものの予断を許さない状況で、美都子は献身的に眠り続ける鷹雄の看病をしていた。
「姐さん。少し休まれた方が良いです」
子分の1人、幸夫が心配そうに美都子に気を遣う。
「五月蝿いわ。あんたらが鷹雄を守らんと、こんな目に遭わせたんじゃないか」
この度の抗争事件は鷹雄だけでなく、三木の子分や舎弟達も何人か犠牲になり、政龍組にとっては大きな深手となった。
「ヤスは?」
鷹雄が1番可愛がっている、舎弟のヤスの姿が見えないので、美都子は更に苛立つ。
「三木組長の所に」
その答えに美都子は鼻で笑う。
「良い気なもんよね。鷹雄がこんな目に遭ってるって言うのに」
組のことを考えれば、三木が助かった事に安堵するべきだったが、今の鷹雄の姿に、美都子は内心三木が死ねば良かったのにと思っていた。
「姐さん、顔色が悪いですよ。夜通し付きっきりなんですから少しは休まれた方が」
ふらつく美都子を、幸夫が心配する。
「大丈夫よ。鷹雄を支えるのは私以外いないんだから」
少し外の空気を吸おうと美都子は病室から出ると、数人の女の姿が鷹雄の病室の前にあって、美都子は鬱陶しそうに鷹雄の愛人達を睨んだ。
「あんたら、ここで何してんのや。ここは鷹雄の病室の前だよ。やっすい香水の匂いぷんぷんとさせて邪魔だっての」
美都子の威嚇に女達はクスクス笑う。
「美都子さんがいたら、いつまで経っても会長も目、覚さないんじゃないんですか?」
「何だって!」
美都子はカッとして、挑発して来た女の髪を握って引っ張る。
「痛いッ!やめてよ!」
女同士の喧嘩が始まり、子分達は美都子と女達を引き離す。
「あんたらに何が分かるんだよッ!私は鷹雄の正妻なんだよ!さっさと帰り!」
子供を産めない美都子が、鷹雄の女達に影で馬鹿にされているのは十分に承知している。
騒ぎになり、病院の警備員達も走り寄って来た。
美都子は子分たちに支えられてハァハァと息を荒げる。
「姐さん、大丈夫ですか?姐さん!」
呼吸が不規則になり、美都子はその場で倒れた。
この騒動だけのせいではないが、元々体が弱い所に心労が祟り、美都子はそのまま鷹雄の隣の病室に入院する事になったのだった。
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