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風呂から上がりシンと静まる廊下を、鷹雄はペタペタと音を立て部屋へと戻る。
美都子はもう布団に横になっていて、鷹雄も美都子に背を向けるように布団に入った。
目を閉じ、今日も一日無事過ごせたことに鷹雄は安堵する。

「あなた」

美都子の声が鷹雄の背後から聞こえる。

「あなたったら」

美都子が自分の布団から出て、鷹雄の布団の中に入る。

「風呂入ってやっと疲れが取れたんだ。明日も早い。寝かせてくれ」

鷹雄は一切美都子の求めを受けない。

「どうして!いっつもそうじゃない!私が抱いてって言っても抱いてくれない!いつもあなたの気分次第じゃない!今日はどこのクラブの女?」

金切り声に近い声に、鷹雄はヤレヤレとため息をつく。分かっていて結婚しただろうと思いながらも、美都子の嫉妬深さに辟易する。

「騒ぐなや。摂子が起きるだろ」

「せっちゃんに聞かれて恥ずかしいことないわッ!」

鷹雄は美都子を見る。
美都子は真っ赤になって目に涙を浮かべている。

「私とより、どこの誰とも分からない女と浮気して。どうして?どうして私だけじゃダメなの?」

堪えきれず美都子は涙を流す。
鷹雄は起き上がると美都子の髪を撫でる。

「浮気なんてしとらんて。本当に今夜は休みたいんだよ」

鷹雄が言っても美都子はイヤイヤと首を振る。
もうなだめるしかないかと鷹雄も諦めて、美都子に覆いかぶさり抱きしめる。
美都子は夜はネグリジェを着ているので、鷹雄は手で太腿を撫で開いていく。

「鷹雄!」

美都子の声が歓喜で上擦る。
鷹雄は美都子にキスをしながら、美都子の割った太腿の間に手を滑らせた。
下着を剥ぎ取り、美都子が触れて欲しがっている場所を可愛がる。

「鷹雄!気持ちいいッ!…………もっとぉ」

甘い声で喘ぐ美都子を蕩けさせる。
脚を大きく開き舌で悦ばせれば、美都子は呆気なく気をイかせた。
鷹雄にかかれば、美都子を昇天させるのは造作もない。
美都子の肉壁に擦れる熱いモノは、美都子が何度もよがりイった後に最奥で果てたのだった。
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