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サン
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美都子は夕飯を終えると戸灘の部屋に向かった。
「お父さん、今良いかしら?」
美都子が襖の前で戸灘に声を掛ける。
「美都子か?なんだ?」
襖の向こうから声が聞こえて、美都子は戸灘の部屋に入った。
「お父さんにお願いがあって」
美都子のおねだりなら、なんだって戸灘は聞く。
新しいワンピースでもねだられるのかと思った。
「なんだ?ワンピースが欲しいんか?それとも鞄か?」
戸灘が笑顔で美都子に尋ねる。
「…………鷹雄が欲しい」
美都子は直球で戸灘に告げた。
「ん?鷹雄?鷹雄と結婚したいんか?」
美都子はコクリと頷く。
「鷹雄がこの家に来てもう2年になるわ。真一も大きくなって、私があの子の母親になったとしても手が掛からなくなったわ」
美都子の訴えに戸灘は黙って聞いている。
「私だってもう21よ。結婚したって良い歳だもの。それともお父さんは私をお嫁に出すのが嫌なの?」
戸灘はため息をつく。
「…………鷹雄がフラフラしてるからダメなの?」
鷹雄が女遊びが激しいことを美都子も分かっている。鷹雄の容姿で女が放って置かないのも。
「分かってるなら、儂は何も言わん。前にも言うたが、お前の母親よりもきっと女で苦労する。覚悟はあるか?儂はあいつの女遊びをやめさせるつもりはない」
「どうして?私がそれで苦労するって分かってるなら、鷹雄に遊ぶのをやめるように言ってくれたって良いじゃない!」
カッとなって美都子は言う。
「鷹雄がお前に惚れてるんならそら言うわ。だがお前が惚れての話だ。貰ってもらう儂が何を言えるか?」
戸灘の言葉に美都子は悔しくて唇を噛む。
「奴はいずれ政龍組の組長になる男だ。儂が生きてる間は奴も義理も果たすだろうが、その先は何も保証なんてない。ヤクザ者の女房になる覚悟がお前にあるなら自分で手綱を締めるしかねぇんだよ」
これも父親としての愛情ではあった。
体の弱い美都子が、鷹雄の妻としてやっていけるか戸灘にも分からない。
惚れた腫れただけで、愛する娘を鷹雄にくれてやるわけにはいかなかった。
もちろん鷹雄と美都子が夫婦になれば、戸灘の家は盤石になる。
だが、鷹雄を分かっている戸灘としては、鷹雄はこの先もっと自分で力を付けることも分かっていた。
「お父さん、今良いかしら?」
美都子が襖の前で戸灘に声を掛ける。
「美都子か?なんだ?」
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「お父さんにお願いがあって」
美都子のおねだりなら、なんだって戸灘は聞く。
新しいワンピースでもねだられるのかと思った。
「なんだ?ワンピースが欲しいんか?それとも鞄か?」
戸灘が笑顔で美都子に尋ねる。
「…………鷹雄が欲しい」
美都子は直球で戸灘に告げた。
「ん?鷹雄?鷹雄と結婚したいんか?」
美都子はコクリと頷く。
「鷹雄がこの家に来てもう2年になるわ。真一も大きくなって、私があの子の母親になったとしても手が掛からなくなったわ」
美都子の訴えに戸灘は黙って聞いている。
「私だってもう21よ。結婚したって良い歳だもの。それともお父さんは私をお嫁に出すのが嫌なの?」
戸灘はため息をつく。
「…………鷹雄がフラフラしてるからダメなの?」
鷹雄が女遊びが激しいことを美都子も分かっている。鷹雄の容姿で女が放って置かないのも。
「分かってるなら、儂は何も言わん。前にも言うたが、お前の母親よりもきっと女で苦労する。覚悟はあるか?儂はあいつの女遊びをやめさせるつもりはない」
「どうして?私がそれで苦労するって分かってるなら、鷹雄に遊ぶのをやめるように言ってくれたって良いじゃない!」
カッとなって美都子は言う。
「鷹雄がお前に惚れてるんならそら言うわ。だがお前が惚れての話だ。貰ってもらう儂が何を言えるか?」
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「奴はいずれ政龍組の組長になる男だ。儂が生きてる間は奴も義理も果たすだろうが、その先は何も保証なんてない。ヤクザ者の女房になる覚悟がお前にあるなら自分で手綱を締めるしかねぇんだよ」
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惚れた腫れただけで、愛する娘を鷹雄にくれてやるわけにはいかなかった。
もちろん鷹雄と美都子が夫婦になれば、戸灘の家は盤石になる。
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