トライアングル

五嶋樒榴

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番外編 Step1・久利

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「皆さん、入学おめでとう。今日から皆さんはこの学校の生徒になりました。今までとは違う環境の中で勉学に励み、友情を育み、そして将来の夢を実現させる一歩として、ぜひ高校生活を楽しみ、頑張って下さい」

式って名のつくものは、なぜにこんなにも退屈なのか。
俺、鉈賀久利は思った。
進学校であるこの学校は、やたらと来賓も多く式が長かった。

早く自由に体動かしてー。

俺はじっとしている窮屈さにグッタリしていた。
なるべく目だけ動かして周りをチェック。

みんな賢そうな顔してるなー。

理数系のクラスのせいか、男も女も真面目そうなのしか居なかった。
2時間近くにもおよぶ入学式が終わり、やっとクラスへの移動になった。
1年A組。生徒の人数は、男女合わせて30人。男子18人、女子12人。
流石に理数系のせいか、少しだけ男子が多かった。

「席順は、プリントを見てください。保護者の方も、どうぞ教室に入ってください」

担任は、数学の先生だった。結婚して子供が1人いると自己紹介をした。
俺は、隣に座った女子を見た。
大人しそうな感じ。真剣に担任の話を聞いているけど、真面目な勉強一筋って訳でもなさそう。
あまりじっと見てはまずいけど、どちらかと言われれば、可愛いって言うより、綺麗系。
生徒達も自己紹介を始めた。
俺の隣の子が席を立った。

「内野しほなです。○○区○○中学出身です。よろしくお願いします」

内野しほな、か。
俺は名前をインプットした。
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