トライアングル

五嶋樒榴

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久利・言葉

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しほなから、茉莉花を陥れた男、木田が逮捕された話を聞いた。
しほなの元彼が教えてくれたとの事。

付き合っていた女性にストーカー行為をしただけではなく、茉莉花みたいに、傷つけておいて相談に乗るふりをしては肉体関係を結び、またそれを脅迫の材料にしていたりと、かなり悪質だったようだ。

あまり大きく報道はされていなかったので、茉莉花が気がつくまで俺はその話は茉莉花には秘密にした。
一時でもそんな男を信じ頼りにしていた茉莉花に、それを告げるのはあまりに酷だったからだ。
茉莉花が毒牙にかからなかっただけでも不幸中の幸だったと思うことにした。

しかし、世の中おかしな奴はたくさん居るとは思っていたが、こんな身近にも居ることに驚きと恐怖を感じた。
穏やかな日々を過ごすうちに、付き合いに慣れてしまううちに、相手に対して思いやりが無くなっていく。そんな隙間に悪魔は揺さぶりをかける。

茉莉花とうまく行かなくなるうち、前に俺は思ったことがあった。
茉莉花からキスが変わった、扱いが雑になったと言われた時

そりゃ1年近く付き合えば変わらないか?

そう思った俺。
それは完全に俺の驕りだった。

俺の何気ない態度にも、少しずつ持ちたくもない疑惑が蓄積されていく。
どちらが恋愛のイニシアチブを持つかで、状況は予想もしない方向へ変わっていくのだ。
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