トライアングル

しほな・テキーラサンライズ

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ちょっとだけ、私はまだ素直になれないから「じゃあ、寂しくなったらマスターに甘えようかな」と、冗談ぽく言ってみた。マスターは美しい微笑みで私を見る。

「しほなさんが素直にちゃんと甘えてくれたら、その時考えます」

その場限りの言葉は通用しない人。でもきっと私が本気で素直になれば、この人の前で泣けそう。その時この人は、本気で甘えさせてくれる気がした。私はそう思ったら心強くなった。
しばらくして、マスターが私の前にカクテルを置いた。

「これは私からしほなさんへプレゼント。テキーラサンライズ。明けない夜はありません」

私はマスターへ軽くグラスを掲げ、テキーラサンライズに唇を付けた。

テキーラサンライズの本当の意味を知ったのはだいぶ後だけど。その解釈は、ちゃんと私が素直になった時に、マスターに答えてもらうことにした。