トライアングル

しほな・９９.９％

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余計な事を一切言わず、逃げるように雅人は去って行った。ハッとして写真の入っていた封筒も渡そうとしたが、もう、雅人は店内にいなかった。
封筒は、写真が合成と立証されてから渡してもいいかと私は思い、とにかくなぜあそこまで雅人が焦ったのか知りたかった。

『可愛い声なんだよ』

久利と雅人の声が私の中でこだました。

雅人は半年前に、本気になった彼女の相談に乗り始めた。
久利は半年前に、あの写真が原因で仲がこじれ始めた。
なんだか変に合う時系列。

『作りが素人じゃない』

雅人はそう言った。雅人は素人じゃない。編集のプロだ。

まさか、雅人の相手と、久利の彼女が同一人物だったら？
自分が彼女に送ったはずの写真を私が持っていて、それを見せられての狼狽だったら？
犯人だったら久利の顔を知っているんだから、それを見せられ焦ったのなら……。

私の中でまさかと言う言葉が何度も浮かぶ。
こんな近くでそんなに偶然って重なるもの？
そんな近い人間関係で本当に起こりうることなの？