トライアングル

五嶋樒榴

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茉莉花・待ち人

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あたしは荷物を抱えて、新しい気持ちで、久利のマンションに向かった。
合鍵で緊張しながら鍵を開けてドアを開いた。誰もいないのについ「ただいま」なんて言ってみる。

落ち着かない気持ちで冷蔵庫を開けて、明日の朝食べられるように、来る前に立ち寄ったスーパーで買ってきたものを冷蔵庫に詰めた。

ソファに腰掛け、テレビをつけた。時計を見ると8時を過ぎていた。
特にテレビは頭に入ってこなかったけど、さっきまで久利の温もりを感じていた部屋が一人だと寂しくてたまらなくなった。
二人でいっぱい愛し合ったベッドに横になると、久利の香りに包まれて安心した。

あんなに激しく求められたの初めてだったな。
久利もあたしと会えなくて寂しかったかな。
そんな思いを巡らせていると、分かっていても今の久利が気になってきた。

しほなさんてどんな人だろう。
前に聞いた印象だと、ステキな女性なような気がする。顔が分からないから余計気になるよ。

枕をぎゅっと抱きしめて、しほなの顔を想像してみる。
男女に友情ってあるのかな。
あたしそんな男友達いないから、二人の関係がとっても羨ましいよ。
彼女の立場に幸せと嬉しい気持ちがあっても、やっぱり嫉妬しちゃう。

「早く帰ってこないかなぁ」

呟くしかできなくて、焦れったくて、あたしはスマホを眺めながらなかなか過ぎない時間にジリジリした。
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