トライアングル

五嶋樒榴

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茉莉花・乱れるバランス

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どれぐらいトイレにいたのか、気がつくと自分の部屋のベッドに戻っていた。
もしかして、お兄ちゃんかお父さんに運ばれたのかと思ってギョッとして、さっきのおぞましい写真を見られたのかもと焦ったけど、床に散らばっていたのを見て、なんとか自力で戻って部屋で横になったまま寝てしまったんだと気がついた。

捨ててしまおうとも思ったけど、見てしまった以上、これを久利に見せて話を聞かないとと思った。
でももし本当だったらと思うと悔しくて、怖くて、今はまだ聞ける勇気がなかった。
今何時かと思ってスマホを手に取ると、LINの通話の着信とLINのメッセージが入っていた。

「先輩だ」

あの夜以来、先輩からたまにLINが来ては、久利の愚痴を聞いてもらっていた。

【先輩。もう本当にダメかも。あたし、もう彼女じゃないかも】

そうLINEを送ったら、すぐ既読になって、LIN通話が先輩から来た。

「先輩。まだ起きてたんだ」

時間は夜中の1時を過ぎてた。

『うん。それより、何があったの?喧嘩でもしたのか?』

先輩の優しい声に泣いてしまった。
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