トライアングル

久利・信じて

1

茉莉花の話は俺にとっても衝撃だった。
何者かが、俺を茉莉花から離そうとしていたのだと恐ろしかったし、茉莉花の住所を知っていたのも恐怖だった。
せめてもの救いは、茉莉花が実家にまだ居てくれたこと。
もし一人きりだったらと思うと俺は全身鳥肌が立った。

「茉莉花」

俺は、もう迷うことなく腕を伸ばし、出来るだけ優しく茉莉花を抱きしめた。
茉莉花はビクッと体を硬くした。
無意識に俺を拒絶しているんだと感じた。
あんな写真を見て、まだ心を開いてくれていないのはよく分かっている。

「辛かった。別れたくなかったの。でも、久利は他の人とあんなことしてるんだと思ったら、もうあたしおかしくなりそうだった」

逆の立場だったら、俺だって嫉妬で狂っていたに違いない。
知らなかったこととはいえ、俺は本当に馬鹿だった。

「謝っても許してもらえないよね。ずっと茉莉花に酷いこと言った。別れたいとか、勝手に逃げ出して、本当にごめんなさい」

俺は謝るしか出来なかった。
俺と一切連絡が途絶えた２ヶ月の間、茉莉花はどんな毎日を過ごしてきたんだろう。