トライアングル

五嶋樒榴

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久利・俺じゃない

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「もう見たくない!これ以上、あたしを苦しめないで。初めてこの写真見たとき、息ができなかった。そのまま死んでしまいそうだった」

茉莉花は手で目を塞ぐ。

「よく聞いて。信じられないかもしれないけど、この体は俺の体じゃない。この写真は誰かが合成して作ったものだよ」

俺の言葉に、茉莉花の動きがピタッと止まった。

「嘘」

茉莉花の震えた声に俺は首を振った。

「嘘じゃない。ぱっと見は合成と分からないぐらいよくできているからね。それに茉莉花だって、俺の体を見慣れてる訳じゃない。でも、俺にはわかる。俺の体じゃないんだ」

茉莉花はポロポロ涙を流す。

「だって、誰がこんな写真作れるの?何の為に?あたしと久利に誰かがこんな手の込んだ嫌がらせをしたの?」

俺は手を伸ばして茉莉花を抱きしめたかったが、なぜか手が伸びていかない。
あんなに愛していた茉莉花なのに。
茉莉花がまだ俺を信じていないようで、怖くて抱きしめられない。

誰かが俺と茉莉花を別れさせたいのが分かった。
でもその敵が分からない。

半年前、この写真はどんなルートで茉莉花の元にきたのか、その理由を茉莉花に聞くしかなかった。
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