トライアングル

五嶋樒榴

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久利・接近

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部屋に戻りベッドに腰掛けると、スマホに着信が来ていてゾッとしたが、電話の相手は茉莉花ではなくしほなだった。

しほなは付き合ってる男の、女癖の悪さによく泣かされては俺に連絡してくる。
俺は何度となく別れるように助言するも、男と別れられないしほなは俺に吐き出して、なんとか自分の気持ちを誤魔化していた。

今の立場の俺とは全く真逆である。
俺は別れたくて仕方ない。

しほなの気持ちも分からなくはない。
後2年で俺もしほなも30だ。

しほなは女癖の悪い男ともう3年も付き合っている。
どこかで依存や期待があり別れたくないのだろう。

しほなと初めて出会ったのは高校1年の時。
同じクラス。隣の席。
大人しい感じの少女だった。
でも話し始めると楽しくて、数人の仲間の一人になった。

高校卒業後、俺は都内の大学。
しほなは神奈川の大学に。
近いせいか、大学時代も友達の関係は継続。
そしてお互い都内に就職し、今も大切な友人の一人だ。

俺は茉莉花と拗れている事はしほなには話していない。
話せる訳がない。
話したところで、しほなに心配をかけたくなかった。
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