トライアングル

五嶋樒榴

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久利・謎

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もう我慢できずに、何度か別れを切り出した。
その度に彼女は死をチラつかせる。
分かっている。本気で自ら死ぬことはないのも。
2ヶ月前まではリスカの痕もないことも。

月に何度か彼女の妄想は暴走する。

俺は疲れて彼女をスルーして、2ヶ月前にマンションも引っ越した。だからこのマンションは彼女は知らないはず。
でも、突き止められていたらと思うと、帰ってくるのさえ怖い。
もし、会社から跡を付けられていたらと。
不思議なことに、ストーカーのような行動はまだ見せていない。
彼女は俺の会社ももちろん知っているのだが、彼女の気配を感じたことがない。
でも油断はできない。

着信拒否やLINをブロックするのは容易い。
でも、それをしないのが、彼女に一線を越えさせないような気がして拒否はあえてしていなかった。
このまま逃げても仕方ないのは分かっている。

これが本当に最後。

そう決心して、俺は2ヶ月ぶりに彼女に電話をかけた。
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