129 / 130
3人でとっても幸せすぎます。
8
しおりを挟む
美峰のベッドで明星は目が覚めると、いつもと景色が違って少し戸惑った。
目がはっきり覚めてくると美峰の部屋だと実感して来た。
「おはよう、明星君」
直ぐ横で美峰が微笑んでいて明星も嬉しくなって微笑んだ。
「おはよう、美峰君!あっという間に朝になっちゃった」
少し残念そうに明星は言う。
本当はもっと夜更かしをしたいと思っていた。優星のことも気になった。
「にーちゃんから何か連絡あった?」
探るように明星は尋ねる。
「昨日の夜少しだけね。ちゃんと明星君が良い子だった報告はしたよ」
明星は真っ赤になる。
「明星君がいないと寂しいから早く帰って来て欲しいって」
美峰が言うと明星はシュンとなる。
「明星君?」
「…………僕ね、にーちゃんがいなくなれば、今回のお泊まりも美峰君とふたりで楽しくて嬉しいって思ったの。でも、さっきからにーちゃんの顔ばっかり浮かぶの。美峰君がいるのに、にーちゃんがいないと寂しいの。にーちゃんが美峰君にデレデレするのがムカつくけど、3人が良いの」
明星は目に涙を浮かべ、美峰は明星をギュッと抱きしめた。
デレデレと言われた時は、ピクンと反応して笑って誤魔化してしまった。
「寂しいね。明星君が優星君を大好きだからだよ。いつもそばにいるのが普通だから、離れて初めて優星がどんなに明星君の大切な人か分かったんだね」
明星は美峰の腕の中で美峰の言葉を聞きながら何度も頷く。
「にーちゃんも美峰君も大事なんだよ。でも毎日一緒にいるにーちゃんはやっぱりちょっとだけ美峰君と違うの。でもふたりとも大好きで大事で、ずっとずっと一緒にいたいの」
明星の気持ちを優星に聞かせてあげたいと思った。
きっと優星には、面と向かっては恥ずかしがって言わないのが分かっているから。
「ねぇ朝ごはん、家に帰って食べようか!僕が家でフレンチトースト作るから」
美峰の提案に、明星は涙を拭ってとびっきりな笑顔になった。
「うん!にーちゃんも食べたがってたもんね!仕方ないから、にーちゃんにも食べさせてあげる!」
照れ隠しのように明星が言うと、美峰は急いで優星にその事を電話した。
優星は寝起きだったが、美峰からの電話で一気に目が覚めた。
美峰と明星は、明星のお泊り用のバッグとフレンチトーストの材料を持って、急いで優星が待つマンションに向かった。
インターホンを鳴らすと笑顔の優星が、玄関のドアを開けてふたりを出迎えた。
「ただいま」
明星が照れながら言う。優星は優しい瞳で明星を見つめる。
「お帰り」
優星が明星と美峰に嬉しそうに言う。
「ただいま」
美峰の笑顔に、優星は今すぐに抱きつきたかった。
大切なふたりが帰って来た事で優星もホッとした。
「フレンチトースト作るのふたりとも手伝ってよー!」
美峰が言うと、優星と明星は、えー!と言う。
「美峰がひとりで作ってよー」
「美峰君のフレンチトーストが食べたいー」
「もー!分かったよー。頑張る!」
3人の楽しそうな声が響き渡る。
これからも、幸せな時間を3人で過ごすマンションの玄関のドアは、静かにゆっくりと閉まったのだった。
完
目がはっきり覚めてくると美峰の部屋だと実感して来た。
「おはよう、明星君」
直ぐ横で美峰が微笑んでいて明星も嬉しくなって微笑んだ。
「おはよう、美峰君!あっという間に朝になっちゃった」
少し残念そうに明星は言う。
本当はもっと夜更かしをしたいと思っていた。優星のことも気になった。
「にーちゃんから何か連絡あった?」
探るように明星は尋ねる。
「昨日の夜少しだけね。ちゃんと明星君が良い子だった報告はしたよ」
明星は真っ赤になる。
「明星君がいないと寂しいから早く帰って来て欲しいって」
美峰が言うと明星はシュンとなる。
「明星君?」
「…………僕ね、にーちゃんがいなくなれば、今回のお泊まりも美峰君とふたりで楽しくて嬉しいって思ったの。でも、さっきからにーちゃんの顔ばっかり浮かぶの。美峰君がいるのに、にーちゃんがいないと寂しいの。にーちゃんが美峰君にデレデレするのがムカつくけど、3人が良いの」
明星は目に涙を浮かべ、美峰は明星をギュッと抱きしめた。
デレデレと言われた時は、ピクンと反応して笑って誤魔化してしまった。
「寂しいね。明星君が優星君を大好きだからだよ。いつもそばにいるのが普通だから、離れて初めて優星がどんなに明星君の大切な人か分かったんだね」
明星は美峰の腕の中で美峰の言葉を聞きながら何度も頷く。
「にーちゃんも美峰君も大事なんだよ。でも毎日一緒にいるにーちゃんはやっぱりちょっとだけ美峰君と違うの。でもふたりとも大好きで大事で、ずっとずっと一緒にいたいの」
明星の気持ちを優星に聞かせてあげたいと思った。
きっと優星には、面と向かっては恥ずかしがって言わないのが分かっているから。
「ねぇ朝ごはん、家に帰って食べようか!僕が家でフレンチトースト作るから」
美峰の提案に、明星は涙を拭ってとびっきりな笑顔になった。
「うん!にーちゃんも食べたがってたもんね!仕方ないから、にーちゃんにも食べさせてあげる!」
照れ隠しのように明星が言うと、美峰は急いで優星にその事を電話した。
優星は寝起きだったが、美峰からの電話で一気に目が覚めた。
美峰と明星は、明星のお泊り用のバッグとフレンチトーストの材料を持って、急いで優星が待つマンションに向かった。
インターホンを鳴らすと笑顔の優星が、玄関のドアを開けてふたりを出迎えた。
「ただいま」
明星が照れながら言う。優星は優しい瞳で明星を見つめる。
「お帰り」
優星が明星と美峰に嬉しそうに言う。
「ただいま」
美峰の笑顔に、優星は今すぐに抱きつきたかった。
大切なふたりが帰って来た事で優星もホッとした。
「フレンチトースト作るのふたりとも手伝ってよー!」
美峰が言うと、優星と明星は、えー!と言う。
「美峰がひとりで作ってよー」
「美峰君のフレンチトーストが食べたいー」
「もー!分かったよー。頑張る!」
3人の楽しそうな声が響き渡る。
これからも、幸せな時間を3人で過ごすマンションの玄関のドアは、静かにゆっくりと閉まったのだった。
完
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。
立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は
小学一年生の娘、碧に
キャンプに連れて行ってほしいと
お願いされる。
キャンプなんて、したことないし……
と思いながらもネットで安心快適な
キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。
だが、当日簡単に立てられると思っていた
テントに四苦八苦していた。
そんな時に現れたのが、
元子育て番組の体操のお兄さんであり
全国のキャンプ場を巡り、
筋トレしている動画を撮るのが趣味の
加賀谷大地さん(32)で――。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
うまく笑えない君へと捧ぐ
西友
BL
本編+おまけ話、完結です。
ありがとうございました!
中学二年の夏、彰太(しょうた)は恋愛を諦めた。でも、一人でも恋は出来るから。そんな想いを秘めたまま、彰太は一翔(かずと)に片想いをする。やがて、ハグから始まった二人の恋愛は、三年で幕を閉じることになる。
一翔の左手の薬指には、微かに光る指輪がある。綺麗な奥さんと、一歳になる娘がいるという一翔。あの三年間は、幻だった。一翔はそんな風に思っているかもしれない。
──でも。おれにとっては、確かに現実だったよ。
もう二度と交差することのない想いを秘め、彰太は遠い場所で笑う一翔に背を向けた。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる