僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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3人でとっても幸せすぎます。

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プールで思い切り遊んだせいか、3人とも流石に疲れてだるかった。

「夕飯どうしようか。何が食べたい?」

美峰が運転しながら尋ねる。
後ろの席に座っている優星は、スマホで食事ができる場所を探す。

「明星はなに食べたい?」

「お蕎麦!」

渋いと思って優星と美峰は笑ったが、たしかにさっぱりとしたものが食べたいとなって、貸し別荘近くの手打ちそば屋に入った。
3人とも天ザルを注文して、同じものだったせいかわりと早くに天ザルは運ばれてきた。もちろん優星は大盛り。

「んー!さっぱりして美味しい!」

美峰が言うと明星も真似する。

「んー!さっぱりして最高!」

可愛らしい明星に美峰は顔が綻ぶ。

「美峰、日に焼けたところ痛くない?」

心配そうに優星は聞く。

「真っ赤になるけど腫れたりしないから大丈夫。日焼け止めもこまめに塗ったし」

今までそんなに思わなかったが、流石にプールの人達は黒く焼けた人が多かったので、色白の美峰が浮き立っていた。

「日焼け後のローションも持ってきてるから、お風呂上がったらちゃんと2人とも付けろよ」

優星がそう言うと美峰はクスッと笑う。

「なに?なにか変だった?」

キョトンとして優星が尋ねる。

「ううん。ちゃんと色々準備してて凄いなって思って。僕、そんなのすっかり忘れてた」

ズルズル蕎麦を食べる明星を優星は優しい顔で見つめる。

「明星がいなければ、そんな細かいことまで気がつかなかったよ。何年か前に焼けすぎて、明星の肌が腫れたことがあってね。凄い痛い思いをさせちゃってさ。そうやって色んなことに気付いてるって感じ。明星は弟だけど子供みたいな感覚なんだよね」

確かにまだ幼い明星のそばにいると、子育てをしてる錯覚に美峰も感じていた。

「僕もまだまだ気づかないこといっぱいだけど、優星君のお手伝いしたいよ。明星君とずっと仲良くしたいから」

美峰が明星に微笑むと明星はにっこり笑う。

「そうだよ!ずっと僕のそばにいるって約束したもんね!美峰君はずっと僕のそばにいるんだよ!」

勝ち誇ったように明星が言うと優星は余裕の笑み。

「あーあ、いつまでお前と美峰を取り合いすんの?そろそろ諦めてにーちゃんだけの美峰にさせろ」

クスクス笑いながら優星が言うと、明星は天ぷらのエビのシッポを優星の蕎麦の上に置いた。

「美峰君は僕の美峰君だもん!だからにーちゃんはエビのシッポで我慢ね」

優星と明星のやり取りに美峰は笑う。
まだ当分は明星に必要とされて、取り合いをしてくれると思うと嬉しくて楽しくなった。

「エビのシッポは好きだが、それ以上に美峰が大好きだから、ぜーったいにーちゃんだけの美峰にするもんねー」

大人気なく優星が言うと、明星はプリプリしたまま、優星が最後のお楽しみに残していた海老天を取り上げた。

「あ!こら!それは俺のだぞ!」

「シッポで我慢しないからだよーだ」

兄弟喧嘩は犬も喰わぬ。
ちょっと違うがそう思うと美峰は笑って、ふたりのやり取りを見つめていた。
もちろん心優しい?明星は、一口だけかじると海老天を優星に返してあげた。
楽しい夕食で、昼間の疲れもみんな吹っ飛んだ気がした。
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