僕と貴方と君と

五嶋樒榴

文字の大きさ
上 下
114 / 130
今度は夏休みの計画です。

しおりを挟む
優星と明星の中で大きくなっている美峰の存在に、優星は嬉しくて堪らない。
こんなに誰かを愛したことはないと思った。
大学を卒業後、明星だけを見て必死だったのに、やっと自分が心から愛せる人が現れたことがとにかく嬉しかった。
ベッドの中で、優星に抱きついて眠る美峰を見つめて優星は幸せに浸った。

「美峰、起きて」

優星は優しく美峰の身体を揺する。

「んん…………あれ?僕、どうしたの?」

裸のまま、優星に抱きついて眠ってしまっていて美峰はびっくりする。

「終わった後、俺に抱きついたままスヤスヤ眠っちゃったの。寝顔も可愛くてこのまま寝かせたかったけど、明星が朝起きた時美峰を探すと厄介だから」

優しい顔で優星は言う。

「あは。ごめんね。あったかくて気持ち良かったから寝ちゃった」

モゾモゾと美峰は優星から離れる。

「疲れさせちゃった?いっぱいイっちゃったもんね」

優星が耳元で囁くと、美峰は真っ赤になって両手で顔を隠す。

「もう!意地悪!…………優星君のせいだよ。気持ちいいことばっかりするから」

美峰が可愛すぎて優星は美峰を抱きしめる。

「美峰が感じやすいの。嬉しいよ。いっぱい満足してくれたなら」

優星にそう言われたら、美峰も何も言い返せない。
優星も満足してくれてるのは、破られたゴムのパッケージの数を見れば分かるからだ。

「…………ダメだなぁ。本当に美峰にのめり込みすぎてる。無理させてない?」

美峰の頭を引き寄せ、おでこにキスをしながら優星は言う。

「大丈夫だよ。激しすぎるけど、痛いところないし」

照れながら美峰は言う。

「あー。本当は起こしたくなかったー。朝まで一緒にこうして寝てたかったけどさ。寝顔見てたら、やっぱ離したくなくなるし」

そう言いながら優星は美峰を抱きしめる。

「旅行代理店に行った日のこと夜に電話で話したでしょ?俺だけじゃなくて、明星も美峰を大好きで家族だと思ってて。それを思い知らされると、やっぱり全部美峰を独り占めにはできなくてさ」

そう言いながらもジレンマのようである。

「でも僕は優星君の特別だよ。僕は優星君の恋人だし」

美峰にそう言ってもらえるのが、せめてもの慰めだった。

「いつか、俺だけの美峰になるよね?後何年後?」

拗ねて優星は言う。

「明星君が中学になれば、また変わってくるんじゃない?明星君も自分の世界がもっと広がるだろうし、逆に寂しくなるかも」

「寂しくねぇ。それはない」

キッパリと優星は断言する。

「明星が独り立ちしてくれれば、美峰を独り占めにはできる。美峰がいれば寂しくないし」

優星が言い切ると美峰は笑う。

「どうかなぁ。優星君の事だから、その時になったらすっごく寂しがるかも。俺が育てた明星が離れるーって」

楽しそうに美峰が言うと、優星が美峰の唇を塞いだ。
吸い付くように美峰の唇を欲する。

「んんッ…………んん」

美峰はキスが気持ち良くて吐息を漏らす。
ちゅぷっと唇が離れると、美峰は息を吸い込んだ。

「激しいから息をするのも忘れてた」

プッと笑って美峰が言うと、優星は愛おしそうに美峰の頬に手で触れる。

「いつでも美峰と一緒にいたい。もしできるなら、真剣に、一緒に住む事考えて」

優星の言葉に美峰は驚く。

「…………でも、明星君のおじいちゃんやおばあちゃんはどう思う?今だって迷惑かもしれないのに」

ドキドキしながら美峰は言う。

「大丈夫。美峰が一緒に住んでくれる気持ちが固まったらちゃんと話すから。あ、俺たちの関係はもちろん秘密だよ。でも祖父母には、明星にとっても美峰は必要だってちゃんと話すから」

優星は優しく美峰を抱きしめた。
温かい肌の温もりに、美峰は夢を見ているのではと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。

立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は 小学一年生の娘、碧に キャンプに連れて行ってほしいと お願いされる。 キャンプなんて、したことないし…… と思いながらもネットで安心快適な キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。 だが、当日簡単に立てられると思っていた テントに四苦八苦していた。 そんな時に現れたのが、 元子育て番組の体操のお兄さんであり 全国のキャンプ場を巡り、 筋トレしている動画を撮るのが趣味の 加賀谷大地さん(32)で――。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】 12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。 近況ボードをご覧下さい。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

処理中です...