僕と貴方と君と

五嶋樒榴

文字の大きさ
上 下
104 / 130
★明星君と隆君★

その3

しおりを挟む
今日も仲良し明星と隆。
水曜日なので美峰が優星のマンションにやってきて、珍しくふたりの宿題の様子を見ている。

「僕、九九が言えるようになったよ!」

得意げに明星が美峰に報告。

「俺だって言えるし!」

負けじと隆も言う。

「よーし、じゃあ僕が問題だすよ。答えられるかな?」

ふふふと笑って美峰は言う。

「簡単なのからね。1×1=?」

「いちッ!」

明星が手を上げて答える。

「なんだよー!早い者勝ちか!よーし、俺も頑張る!」

俄然やる気になる隆。
美峰がだんだん数を増やして難しくする。

「7×8=?」

「ごじゅーろく!」

隆が先に答えた。

「ちぇー!次は負けないよ!」

悔しがる明星。

「次は、8×7=?」

「ごじゅーはち!」

得意げに明星が答える。

「ぶー!ごじゅーろくだよ!さっきの答えと一緒なんだよ」

イヒヒと笑いながら隆が言うと、明星は真っ赤になって悔しがる。

「じゃあ最後ね。9×9=?」

「はちじゅーいち!」
「はちじゅーいち!」

ふたりで同時に答える。

「はーい!ふたりとも正解!」

美峰が言うと、あははと明星と隆は笑う。

「結構間違えずに答えられたよ。凄いねふたりとも」

美峰はそう言って明星と隆の頭を優しく同時に撫でる。
隆は美峰の笑顔を見て、ついポーッとなる。
いつもライバルだと敬遠していたが、美峰の優しさと美しさに隆もときめいてしまった。そして、その隆の顔を見て明星はムッとする。

「美峰君!僕、隆とふたりで遊ぶからもういいよ!」

真っ赤になって明星はプイッと顔を横にする。

「はいはい。仲良くね」

クスクス笑いながら美峰は言う。
大事な友達を取られた気がして、ご機嫌斜めになる明星。
もちろん隆は、そんな事は何も気付いていないのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。

立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は 小学一年生の娘、碧に キャンプに連れて行ってほしいと お願いされる。 キャンプなんて、したことないし…… と思いながらもネットで安心快適な キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。 だが、当日簡単に立てられると思っていた テントに四苦八苦していた。 そんな時に現れたのが、 元子育て番組の体操のお兄さんであり 全国のキャンプ場を巡り、 筋トレしている動画を撮るのが趣味の 加賀谷大地さん(32)で――。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】 12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。 近況ボードをご覧下さい。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

処理中です...