僕と貴方と君と

五嶋樒榴

文字の大きさ
上 下
93 / 130
喜んでくれるので頑張れるんです。

しおりを挟む
次の週の水曜日に優星のマンションに訪れた時に、久しぶりに日曜も休みだと伝えるとドライブに行こうと言う話になったので、美峰は車で優星の元に訪れた。
優星と明星は、マンションの中庭で美峰が到着するのを出迎えた。

「おはよう!美峰君」

明星は当然のように助手席のドアを開けて乗り込む。
優星ももう仕方ないと諦めている。

「今日はどこに行くの?お天気で良かったね!」

美峰はナビを鎌倉にセットした。

「今日は、紫陽花を見て、海にも行ってみよう!泳げないけど、見るだけでも良いもんだよ」

美峰がそう言ってにっこり笑うと明星もにっこり笑う。
明星を連れてちょっと渋いチョイスだったかなとも思ったが、この季節ならではの体験もさせてあげたいと思った。
鎌倉に着くと車を駐車場に停めて、江ノ電に乗り紫陽花の名所を回ったり、鎌倉の大仏を見たり、明星は初めて見る鎌倉の大仏に喜んでくれた。
写真もいっぱい撮って、明星は終始はしゃいでいた。

「鎌倉、中学生以来かも。学校の行事で寺巡りさせられて」

思い出すように優星は言う。

「僕は、大学の時に友達と海に来たのが最後かな。凄く日に焼けて大変だった」

美峰も昔の話を楽しそうに語る。
ふたりの雰囲気に、明星はムッとして美峰の手を握った。

「ん?そろそろお腹も空いたかな?お昼ご飯は何が食べたい?」

明星が手を握ってきて美峰が尋ねると、優星がネットですぐ調べ始めた。

「なんでも良いけど…………」

明星は優星と美峰が仲良く話す姿に割って入りたかった。自分の分からない話をされるのが嫌だった。

「これはどう?」

優星が見せると、明星が一緒になってスマホを覗き込んでいる。
色々見ているうちに、優星と明星はカレーを選択。
子供も食べられるカレーショップに向かった。
混雑はしていたが、そんなに長時間待たなくてもテーブルに着くことができた。

「明星君は何カレー?」

メニューを真剣に見ている明星は悩んでいた。

「チキンカレーかビーフカレー。どっちにしようかなぁ」

明星が決めかねていると優星が助言する。

「じゃあ、みんなで別々に頼んで、それぞれ食べるのはどうだ?トッピングも好きなの乗せられるぞ」

優星が提案すると明星はうん!と嬉しそうに頷く。

「じゃあ、チキンとビーフ。後は?ポークかシーフードだね」

美峰が尋ねると、明星はシーフードを選んだ。
それぞれのカレーにポーチドエッグをのせて、野菜チップ多目、チキンカレーは大盛りにしてチーズまでトッピングした。
3人の前に美味しそうなカレーが並ぶ。
それをみんなで回しながらシェアをして食べた。

「どれが1番好き?」

美峰が聞くと、明星は笑顔になる。

「どれも美味しかったけど、チキンが1番美味しかった!お肉も柔らかくて」

満足そうに明星は答える。
優星も満足したのか、最後の一口を食べると水を一気に飲み干した。

「あー、美味しかった。いろんな具材が楽しめて良かったですね」

優星が美峰に微笑みながら言うと、美峰も嬉しそうに頷いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

つまりは相思相愛

nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。 限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。 とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。 最初からR表現です、ご注意ください。

年上の恋人は優しい上司

木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。 仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。 基本は受け視点(一人称)です。 一日一花BL企画 参加作品も含まれています。 表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!! 完結済みにいたしました。 6月13日、同人誌を発売しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。

立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は 小学一年生の娘、碧に キャンプに連れて行ってほしいと お願いされる。 キャンプなんて、したことないし…… と思いながらもネットで安心快適な キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。 だが、当日簡単に立てられると思っていた テントに四苦八苦していた。 そんな時に現れたのが、 元子育て番組の体操のお兄さんであり 全国のキャンプ場を巡り、 筋トレしている動画を撮るのが趣味の 加賀谷大地さん(32)で――。

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】 12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。 近況ボードをご覧下さい。

処理中です...