僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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ふたりきりのデートは緊張なんです。

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明星に対して罪悪感を感じながらも、美峰のマンションに到着して美峰の顔を見ると、正直明星の顔が薄れて来た。

「どうする?少し上がる?それともドライブ行く?」

優星は部屋に入ってしまったら、そのまま美峰を抱いてしまうと思い、それだけで貴重な時間を使うのは勿体無いと思った。
せっかくの初デートなので、ちゃんとデートがしたいと思った。 

「後でゆっくり寄ります。ドライブして美味しいもの食べましょう」

優星はそう言ってにっこり笑う。
美峰はその笑顔を見て、嬉しいのと同時に不安がまた付き纏う。
それでもドライブに行ける事にホッとした。

「俺が運転します」

優星は美峰から車の鍵を受け取り、美峰の車にふたりは乗り込む。

「あまり遠くに行けないけど、海見に行きませんか?お台場はどうですか?最近美味しいシーフードレストランが出来たって聞いたんですよ。手掴みで豪快に食べるんですって」

「あ、テレビで見た!行きたいと思ってたんだ」

美峰も笑顔で答える。

「じゃあ、それで決定」

優星は目的地を設定すると、ハンドルを握ってお台場を目指した。
平日の昼間のせいか、道の混雑は普通だったがお台場は空いていた。
優星は、スーツの上着を脱いでネクタイも外して上着のポケットに入れると、ラフな格好になって車から降りた。
潮風を感じながらふたりはお台場を散歩して、ショッピングモールが開くと優星が見たがったスニーカーを見に行く。

「んー、買っちゃおうかな。美峰さん、預かっておいてもらえます?」

スニーカーを家に持って帰れないので優星は聞く。

「了解。僕が履いたらごめんね」

わざと美峰が言うと優星は笑う。

「履いてもらってもいいけど、サイズブカブカでしょ?」

優星は美峰より2cm足のサイズが大きい。
ちょっとした事に美峰は優星の男らしさが羨ましい。
身長も肩幅も、優星の方が高くて、広くて大きい。
掌も大きい。
その温かい大きな掌に何度も抱きしめられている。頬を包まれている。
美峰は優星を見ているだけでキュンとしてしまった。

「美峰さん。どうしたの?顔が赤いですよ」

優星がにっこり笑って言う。もう会計を終わらせていた。

「あ、ううん!なんでもない」

優星に見惚れてときめいてしまったとは恥ずかしくて言えない。
荷物を車に置きに行って優星はスマホで時間を確認する。

「そろそろ食事にしますか?」

時計は11時を少し過ぎたところだった。

「うん」

優星と美峰はシーフードレストランに入ると、ソース塗れのエビや蟹などのシーフードを美味しそうに頬張った。
初めてのデートをふたりは満喫した。
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