僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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ふたりきりのデートは緊張なんです。

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名残惜しい気持ちで、ふたりはそれぞれの部屋に戻った。
明日からまた1週間仕事が始まるが、美峰はそんな事より、優星との来週のデートで頭がいっぱいになった。


 なんだか、急に恥ずかしい。
 優星君の家に初めて来て、付き合うようになって、でも、エッチは怖いって言ってたのに、この短期間ですごい展開になってない?
 本当に大丈夫なんだろうか。


美峰は怖いと言うより、怖気付いていた優星がそんなに自分を欲してくれる方が不思議だった。


 どうなるんだろう、来週。
 僕はどうすれば良いの?
 だって僕は、そう言う経験全くないし、女の人とも経験ないし。


そう考えていたときに、優星が買ったコンドームを思い出した。
一気に身体が火照る。
優星の指先や舌が自分の乳首に触れたことを思い出すと、身体がジンジンと疼く。


 もう、僕はバカ!
 なんで今、思い出すかな!
 やだ!
 変になりそう。


美峰は悶々としながら頭を抱える。

「んん。にゃあ」

猫の鳴き声のような明星の寝言に美峰はビクッとする。
まるで心の中を明星に見透かされているようでドキッとした。
気持ちを落ち着かせて明星を見ると、足が布団からぴょんと出ている。
美峰はフッと笑うと、明星の足を元に戻し布団を掛け直す。
可愛い寝顔の明星に、美峰も癒され気持ちが穏やかになった。
一方の優星は、美峰の温もりに自分を抑えられない。
若い熱を発散させないと身がもたない。
美峰を浮かべながら右手が止まらない。

「!」

フーと息をすると、吐き出した物の始末をしてやっと落ち着いた。


 ヤバい。
 最近、回数増えてる。
 どんだけ欲求不満かよッ!
 あー、美峰さんが悪いんだぁー!
 そうだ、美峰さんのせいだ!
 俺がこんなになったのは、美峰さんが!
 美峰さんがめっちゃ可愛すぎるんだよ!
 抱きしめるだけで気持ち良くて落ち着けて、キスはもっと気持ち良くて。
 俺がする事にすぐ反応して、震えて。
 その度に、トロンとした目で俺を誘うんだ。
 ………美峰さんの身体を見て、どうしても興奮しちゃう。
 同じ男に興奮するなんて無いと思ってた。
 今までだって修学旅行や社員旅行で男の裸なんて何度も見てんのに。
 感じたことなんか一度もなかった。
 だから美峰さんとエッチするのだって怖かったんだ。
 どうして美峰さんの裸はこんなに興奮するんだよ!


優星は枕に顔を埋め、来週まで身体がもたないと思ってしまった。
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