僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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旅の思い出がいっぱいできました。

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時間はもう14時近かったが、ランチのラストオーダーが14時だったのでギリギリ間に合い、入れ替わりでちょうど席にもすぐ座れた。
明星と美峰は目玉焼きが乗ったハンバーグセットを頼み、優星はカットステーキが乗ったハンバーグセットを頼んだ。
明星と美峰はそのカットステーキも味見してみた。柔らかくて美味しいと明星も大満足だった。

「あー、今年のゴールデンウィークは本当に満喫したー。美峰さんのおかげだ」

食後のコーヒーを飲みながら優星は言う。

「そう言ってもらえると本当に嬉しい。優星君達と過ごせなかったら、どうせ家でダラダラして過ごしてたよ。ありがとうね」

美峰がお礼を言うと、優星と明星は笑顔で照れる。

「もう直ぐに高速に乗れるし、帰りは俺が運転しますから。美峰さんはゆっくりしてくださいね」

優星が車のキーを美峰から受け取る。
美峰は伝票を持ったが優星に取り上げられた。

「さっき、水族館も出してもらったし」

美峰が言うと優星は笑う。

「ガソリンは美峰さんが入れてくれたでしょ。高速代も美峰さんのETCだし。だから食事代はちゃんと俺に払わせて。甘えるってそう言う事で甘えたいわけじゃないから」

優星の男気に水を差すのは逆に傷つけると思った。

「はい。ありがとう。ご馳走様」

美峰は素直にお礼を言う。

「どういたしまして」

優星は笑顔でレジに向かった。
上りの高速に乗るとやはり渋滞だった。

「休み休み帰ろう。サービスエリアで交代するよ」

優星が疲れると思って美峰は言う。

「大丈夫ですよ。明星、トイレ行きたくなったら早めに言えよ」

優星が声をかけると、明星は目がトロンとしていた。

「うん……僕、眠い」

車に揺られて、明星は眠くなったようだった。美峰に寄っかかる。

「寝てて良いよ」

美峰が優しく明星に言う。

「あーあ。明星は良いなぁ。俺も美峰さんに寄っかかりたい」

嫉妬して優星は言う。

「家に帰ったら、いっぱい寄っかかって良いよ」

美峰が嬉しそうに言うと優星はルームミラー越しに美峰を見る。

「…………明星、寝ました?」

美峰は寄り掛かった明星のほっぺをプニっと押してみる。
明星はうーんと小さく唸って美峰に寄っかかっている。

「寝ちゃったね。今朝も1番に早起きだったし。お腹もいっぱいで眠いんだろうね」

優しい眼差しで美峰は明星を見る。

「…………今朝、ほっぺにしてくれたじゃないですか」

一応明星を気にして、優星はキスとは言わない。

「う、うん」

美峰が真っ赤になって頷く。

「美峰さんからっていつもほっぺなんだよなぁ。今夜は、美峰さんから、ちゃんと口にしてください」

照れながら優星は言う。美峰も真っ赤になる。

「……はい」

美峰は優星のおねだりが嬉しい。
渋滞が激しい高速道路だったが、そんな時間も明星が寝てくれたおかげでふたりでゆっくりと楽しめた。
途中のサービスエリアで夕飯とトイレ休憩を済ませ、なんとか無事に美峰のマンションに到着した。
美峰の荷物を部屋に置くと、優星のマンションまで電車で帰るのは面倒だったのでタクシーを呼んだ。
優星のマンションにたどり着いたのは22時を過ぎていた。
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