僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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旅の思い出がいっぱいできました。

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水族館は流石に混んでいたが、入り口で記念写真を撮ってもらって3人は館内に入って行った。
真っ暗な館内で、幾つもの水槽は色とりどりに光っていて、可愛い魚や珍しい魚がたくさん泳いでいる。
クラゲの大きな水槽は幻想的で、明星も楽しそうに見ていた。
チンアナゴやクマノミの水槽も人気で、順番で先頭で見ると明星は目を輝かせる。
館内を全て見終わると、イルカが泳いでいる水槽を見て、ショーが始まる時間を確認する。
イルカのショー、アシカのショー、シャチもアザラシも見れるようで、いい位置を確保するために早めに明星を真ん中にして座席に座った。

「今日は暑いね」

美峰はそう言って長袖シャツの腕を捲った。
自分より細い腕を見て、優星はドキッとする。

「明星君、暑くない?帽子ちゃんと被っててね」

「はぁい!」

日差しに当たって頭が熱くならないように美峰は明星に言う。明星もちゃんと聞き分けがいい。
美峰が細やかに明星を気遣う姿を見て、優星は美峰ばかり気にしている事に気がついた。


 まるで俺、ダメダメじゃん。
 美峰さんがいないとダメだ。


優星はそう思いながら美峰を見つめる。美峰はその視線を感じて照れ臭そうに笑った。まるで本当の家族のようで、美峰も優星も、この優しく流れる時間が愛おしい。
ショーが始まると明星は興奮して、手を叩き大笑いをして楽しんだ。

「すごーい!美峰君、見て見て!イルカのジャンプ凄ーい!」

「凄いね!」

明星と美峰が食い入るようにショーに熱中する。
優星はその姿をスマホのカメラにおさめる。

「美峰さん、明星、こっち向いて」

ショーが終わると優星は声をかける。
ふたりは顔を近づけてピースサイン。
優星は少しだけムッとする。

「顔!近づけすぎ!」

優星が不機嫌な声を出すと、明星はわざと美峰にベタベタして余計に優星はムクれた。
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