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好きって言うのが難しいんです。
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優星がビールと軽いつまみを持ってきて、美峰はソファの上でビールを受け取った。
「今日は1日お疲れ様でした」
「お疲れ様」
静かな声でふたりは乾杯した。
「なんか不思議です。柊木さんがスウェット姿で俺の家にいるなんて」
嬉しそうな顔で優星は言う。
「誘われるまま本当に泊まりにきて迷惑じゃなかった?」
美峰が気にしてると優星は首を振る。
「本心で嬉しいんです。俺、ずっと柊木さんに憧れていたって言うか、仕事は出来るし、いつも笑顔は素敵だし、うちの支店で柊木さん大人気なんですよ。だから、俺、担当になれて本当に嬉しいんです」
ベタ褒めされて美峰は恥ずかしすぎる。
「褒めすぎだし。僕なんて本当にただ必死に仕事してきただけで、休みだってほとんど寝て過ごすばかりで趣味だってないし」
美峰の自虐に優星は笑う。
「俺だって、きっと1人だったら疲れたーってゴロゴロしてるだけですよ。明星が居てくれるから、ちゃんとしようって頑張れるんです」
「うんうん!それ分かるよ!僕も明星君が懐いてくれたから、一緒に過ごすの本当に楽しいし、またこうして過ごしたいって本当に思ったし。葉山君と明星君が凄く仲が良くて羨ましいし」
美峰が熱く語ると優星はフッと笑った。
「俺、明星と柊木さんが仲良すぎて嫉妬しちゃいました」
優星の言葉に美峰はハッとした。
懐かれて浮かれて、優星を傷つけたんじゃないかと思った。
「ごめん。出しゃばり過ぎたかな」
美峰がシュンとなると優星はフッと笑った。
「……………違うんです。悔しかったのは明星に対して。自然体で柊木さんに甘えられて羨ましかった。俺だって、柊木さんに甘えたいのに」
優星の言葉をどう解釈していいのか美峰は戸惑った。
自分は男として男の優星が好きだが、優星が自分に甘えたいと言うのは、どう言う感情か分からなかった。
「すみません、こんな図体のデカい男に甘えられても気持ち悪いですよね。でも俺、甘え方、知らなくて。10歳で父と母が離婚して、父に甘える事も出来なくて、15歳で出来た母にも甘えられなくて。ずっとどこかで明星が羨ましくて」
淡々と語る優星が愛おしくて、美峰は優星の頭を抱きしめた。
それはなんの迷いもなく、体が勝手に動いていた。
「僕で良かったら甘えなよ。他人の僕になら恥ずかしくないでしょ?」
美峰の言葉が優しくて、びっくりはしたが、頭を包まれて優星は気持ちよかった。
トクントクンと美峰の心臓の音が優星に響いて、抱き締められる感覚に心地よさが倍増されていた。
「恥ずかしくないです。柊木さんになら甘えたいです。素直に甘えたい」
優星が美峰にギュッと抱きついた。
「柊木さん、良い匂いがする。明星が言う通りだ。良い匂いがしてあったかい。凄く癒されます」
美峰はドキドキしながら優星の髪を撫でた。
少し硬めのコシのある髪。
その髪を愛おしそうにゆっくり撫でた。
「……………葉山君もあったかいよ。僕の心もポカポカになった」
優星が、撫でる美峰の手を握って顔を上に向けた。
見つめ合うと、優星が美峰の髪に触れる。
「柊木さんの髪、サラサラですね。俺と違う」
そう言って、優星の顔が美峰の顔に近づく。
見つめあったまま、顔がだんだん近づいていく。
「今日は1日お疲れ様でした」
「お疲れ様」
静かな声でふたりは乾杯した。
「なんか不思議です。柊木さんがスウェット姿で俺の家にいるなんて」
嬉しそうな顔で優星は言う。
「誘われるまま本当に泊まりにきて迷惑じゃなかった?」
美峰が気にしてると優星は首を振る。
「本心で嬉しいんです。俺、ずっと柊木さんに憧れていたって言うか、仕事は出来るし、いつも笑顔は素敵だし、うちの支店で柊木さん大人気なんですよ。だから、俺、担当になれて本当に嬉しいんです」
ベタ褒めされて美峰は恥ずかしすぎる。
「褒めすぎだし。僕なんて本当にただ必死に仕事してきただけで、休みだってほとんど寝て過ごすばかりで趣味だってないし」
美峰の自虐に優星は笑う。
「俺だって、きっと1人だったら疲れたーってゴロゴロしてるだけですよ。明星が居てくれるから、ちゃんとしようって頑張れるんです」
「うんうん!それ分かるよ!僕も明星君が懐いてくれたから、一緒に過ごすの本当に楽しいし、またこうして過ごしたいって本当に思ったし。葉山君と明星君が凄く仲が良くて羨ましいし」
美峰が熱く語ると優星はフッと笑った。
「俺、明星と柊木さんが仲良すぎて嫉妬しちゃいました」
優星の言葉に美峰はハッとした。
懐かれて浮かれて、優星を傷つけたんじゃないかと思った。
「ごめん。出しゃばり過ぎたかな」
美峰がシュンとなると優星はフッと笑った。
「……………違うんです。悔しかったのは明星に対して。自然体で柊木さんに甘えられて羨ましかった。俺だって、柊木さんに甘えたいのに」
優星の言葉をどう解釈していいのか美峰は戸惑った。
自分は男として男の優星が好きだが、優星が自分に甘えたいと言うのは、どう言う感情か分からなかった。
「すみません、こんな図体のデカい男に甘えられても気持ち悪いですよね。でも俺、甘え方、知らなくて。10歳で父と母が離婚して、父に甘える事も出来なくて、15歳で出来た母にも甘えられなくて。ずっとどこかで明星が羨ましくて」
淡々と語る優星が愛おしくて、美峰は優星の頭を抱きしめた。
それはなんの迷いもなく、体が勝手に動いていた。
「僕で良かったら甘えなよ。他人の僕になら恥ずかしくないでしょ?」
美峰の言葉が優しくて、びっくりはしたが、頭を包まれて優星は気持ちよかった。
トクントクンと美峰の心臓の音が優星に響いて、抱き締められる感覚に心地よさが倍増されていた。
「恥ずかしくないです。柊木さんになら甘えたいです。素直に甘えたい」
優星が美峰にギュッと抱きついた。
「柊木さん、良い匂いがする。明星が言う通りだ。良い匂いがしてあったかい。凄く癒されます」
美峰はドキドキしながら優星の髪を撫でた。
少し硬めのコシのある髪。
その髪を愛おしそうにゆっくり撫でた。
「……………葉山君もあったかいよ。僕の心もポカポカになった」
優星が、撫でる美峰の手を握って顔を上に向けた。
見つめ合うと、優星が美峰の髪に触れる。
「柊木さんの髪、サラサラですね。俺と違う」
そう言って、優星の顔が美峰の顔に近づく。
見つめあったまま、顔がだんだん近づいていく。
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